政府が戦闘機を輸出する法律を決めた。この商品の殺傷能力は、地球に住む人類にとって、原爆に次いで、残忍で強い。
しかし、平和憲法を誇示することによって、多かれ少なかれ評価を上げてきた日本にとって、将来的にこの国の価値を下げるということは否めない。
かつて(1976年)、当時の宮沢喜一外相は国会答弁で「わが国は武器の輸出をして金を稼ぐほど、落ちぶれていない。もっと高い理想を持った国であり続けるべきだ」とコメントを残した。
高度経済成長がぼちぼち長く続くとは思えない時期に、このコメントを発した外務大臣は、新しい日本の「価値」を作ることの「意味」をよく知っていたに違いない。
「道徳的矛盾」という言葉がある。この言葉は、今や世界的に流行語となっている。言い換えれば、二枚舌、あるいは、「裏・表」ともいう。
バイデン政権は、イスラエルにガザへの攻撃縮小を求めているものの、その裏側で少なくとも100人以上は殺傷できる爆弾を数千億円で売却している。この道徳的矛盾は、日本においてもお分かりの通りである。岸田政権は、企業に賃金のアップを要求し、インフレ政策を提唱しているものの、実態的には現在のインフレは、為替による円安インフレで、それによる物価高を企業に押し付けているに過ぎない。結局のところ、アベノミクスで散々金融緩和という名前の真水(現金)を垂れ流しにし、その結果、円の価値が堕落したに過ぎない。
この反省を、派閥に属する若手議員が果たしてきちんと総括し、学びとることができるのであろうか。
円安インフレだが、マスコミが報道しているように、アメリカと日本の金利差で生まれていると思われがちだが、事態はもっと深刻。日本経済の力の弱さが浮き彫りになり、この国の将来性は世界の各国から置き去りにされている。資源のない国にとって、一番の収入のめどは、貿易収支。その数字は、コロナが明けてから赤字続き。これが世界各国の失望感を生み、根本的に、「円」の評価を下げている。無策を続ける自民党は、その日暮らしの政策を国民に押し付けて、庶民を物価高による格差社会へと落とし込んでいくのだろう。
学生の頃、お茶の水の楽器屋で憧れの、ギター(アメリカ製)のマーチンが数十万円で売られていた。初任給を頭金にして手にしたマーチンは、今、3分の1程度の価格になっている。
ギターを弾くたびに為替レートを考えるのも嫌なものだ。