今朝流れた映像が一週間も経たないうちに情報としての価値がなくなっている、と感じることがある。
今年も年末年始のニュース番組を手伝った。元旦の能登半島の地震から始まり、大谷選手の活躍、中東におけるイスラエルの暴挙、さらには、石破政権の誕生、アメリカの大統領選挙など、大きな見出しになるような出来事が続いた。
そして、不思議なことにそれらのことは、遠い昔のことのように感じる。
来年の干支は、巳(み)である。巳年は、物事の本質があらわになり、いくつかのことが「再生」され、「復活」し、「成長」する年である。蛇が脱皮するからであろうか?しかし、きっと来年も落ち着いた年にならないと思う。
このネガティブな気持ちは、全ての人が根深く感じているのではないだろうか。つまり、この地球という星が私たち人間の力では及ばないほど病んでしまったということに尽きる。
すでに耳慣れた言葉になってしまったが、海水温の上昇と地球温暖化。それによる想定以上の災害、人類誕生以来繰り返される宗教戦争と、資源と国境を争う愚かな争い。そんなことを目の当たりにする中で、平和な日々が続くと感じる人は誰もいないだろう。
美楽は創刊以来、デジタルによる情報配信より優先して、活字と紙の持つ魅力を発信し続けてきたが、いよいよ来年の4月からこれまで掲載した医療特集を中心にスマートフォンサイトへの記事の提供を行うことになる。
お世話になった数百名のドクターや、それ以外の著者の情報も今より少しはたくさんの人にお届けできるようになると思う。
12月の晴れた日は、毎年、神田の古書街を歩くようにしている。
古本というにはあまりにも悲しいかな、今年、出版して在庫になってしまった新刊も山積みになっている。日本の書店数は、この二十年間でほぼ半減したわけであるが、出版点数は依然、年間3万点程度とまだまだ元気だ。
私たちの生活も変わった。徐々にテレビを見なくなり、本を読まなくなった。一方、一日に数時間もの長い付き合いをスマートフォンとしている。その弊害も起きつつある。
「スマホ病」といわれる病気の蔓延である。一見、便利なメールやSNSなどのコミュニケーションに実は人間関係を希薄化するリスクがあったり、少しずつ一日の運動量が落ちていたり(肥満が増えている)といった弊害が明らかになってきている。
人は、楽をするのが好きだが、楽をすることで失うことも意外と多い。
一見、合理的だが、振り返って考えてみると、実はそれが回り道だったと判明することがある。
バランス感覚を鍛えるのも悪くはないが、皆さんそれぞれが、原点に帰って、一度、自分の歴史を白紙にするのも、年の瀬としては悪くないと思う。