佐々木 裕 | Sasaki Hiroshi
前立腺がん治療数で全国上位にランキングする東京慈恵会医科大学附属病院泌尿器科で約20年スキルを積んだ。腹腔鏡手術やロボット支援手術では2000例以上の執刀・指導経験を持つ。2022年11月、慈恵医大に近い芝大門で開業。専門性がありながら相談しやすい「大学病院の外来」のようなクリニックを目指す。
2児の父親。休日もSNSでの情報発信や講演会、学会出席などで忙殺されがちだが、「まとまった休みが取れたら家族旅行したいですね」。東京で最も古い神社の一つ「幸稲荷神社」には、大学病院時代からしばしば詣っている。
目次
専門医だからこそ不調の原因を見つけ、治療や症状改善の工夫を提示
泌尿器科の症状で代表的なものが、尿漏れや頻尿、残尿感、尿の出が悪い、尿意を我慢できない、排尿時の痛みや違和感など。患者さんにとっては口に出しづらい症状です。
「歳だから仕方がない」という思いもあるのでしょう。しかし、患者さんが一人で抱えていた不調が、実はがんなどの重大病だったというケースは珍しくありません。
また、泌尿器に関する不調はQOL(生活の質)を下げます。専門医だからこそ、原因を見つけ、治療法や症状軽減のための生活の工夫を提示できます。
高度な診断・治療、あるいは他の診療科の先生と連携しての治療が必要と判断した場合は、信頼のおける大学病院や周囲の機関病院、専門クリニックへと紹介することも、開業医の大事な役割。治療の適切なタイミングを逃さないように努めています。

患者さんに最良の治療を探っていく
泌尿器の病気に限ったことではないものの、専門医が診ないと正しい原因や治療法にたどり着けないことは多いです。例えば、前立腺がんはPSAという腫瘍マーカーの数値で最初のチェックをするのですが、PSAが高いからといってがんとは言えず、低いからといって安心とは言えません。
前立腺がんは他のがんと異なり、早期発見して手術すれば良いという単純なものではなく、検査結果、患者さんの年齢・健康状態・人生観などから、治療方針を探っていく必要があります。
医師はどうしても得意なジャンルを勧めてしまいがち。私は大学病院で手術や放射線治療も数多く経験しており、その知識と経験を活かして、患者さんにとって最良の治療の道筋を提示していきたいと考えています。

いかに元気や安心を患者さんに与えられるか。それが真の外科医
泌尿器科医としての原点となっているのが、研修医時代の恩師の言葉です。体への負担が少ない腹腔鏡手術が国内で前立腺がん治療に取り入れられて数年目、私はその技術を高めたいと必死でした。
腹腔鏡手術で名高いその恩師は、しかしある時「手術だけが全てではない」とおっしゃったんです。「手術で治すことができなかった患者さんにも寄り添うのが真の外科医。外来から帰る時、いかに元気や安心をもらって笑顔になってもらえるか」と。
大学病院時代は腹腔鏡やロボット支援手術などを多数手掛けましたが、患者さんに近いところで、患者さんにもっと寄り添った治療をしたいと開業に至りました。恩師の言葉は、現在も常に念頭に置いています。
がんを高確率で検出できる「標的生検」を日帰りで。夕方の生検も開始
病院では一般的に入院で行う前立生検を、当院では日帰りで行っています。患者さんにとっては入院の準備、手間、費用を減らせる。病院にとっては、病院でしか担えない診断や治療に専念できる。
もちろんクリニックでの生検の質が高いことが大前提で、専用のコンピューターシステムを用いて高確率でがんを検出できる「標的生検(MRI/エコー融合標的生検)」という方法を取り入れています。生検については忘れられない経験があります。
カナダへの留学時、日本では若手が担う生検を、世界的な前立腺がん権威である指導医が自ら行っているのを目の当たりにしたことです。指導医は、初期診断である生検の重要性を説いてくれました。それが現在の日帰り生検への積極的な取り組みにつながっています。
※入院用のベッドが20床以上あるのが病院、19床以下がクリニック

SNSでの情報発信に注力。病気の認知度が高まれば、受診のハードルが低くなる
泌尿器専門クリニックとして、頻尿、血尿、膀胱炎など一般的な泌尿器の病気から、前立腺がんをはじめとした泌尿器がんの診断、術前・術後のフォローまで幅広く対応しています。
「どこを受診すればいいかわからなかった」という患者さんで多い訴えが、おへその病気です。おへそから変なにおいがする、膿が出るなどは尿管膜の病気が疑われます。気軽に相談していただきたいと思います。
泌尿器科の病気は知っているようで知らないものが多い。力を入れているのがホームページやブログでの情報発信です。病気の認識が深まれば、恥ずかしさより受診の必要性の気持ちが上回り、病気の早期発見へとつながると考えるからです。SNSをきっかけに、関東圏以外の遠方から受診される患者さんも増えています。

セカンドオピニオンで客観的な評価やアドバイス。オンラインでも対応
ビジネス街に近接していることもあり、中高年の働き盛りの患者さんが中心です。
50歳台以上では前立腺がんのリスクが高くなりますので、スクリーニング検査であるPSA検査を一度は受けることをお勧めします。前立腺がんは治療選択肢が多いゆえに、どれを選んでいいか迷ってしまう方もいるでしょう。
客観的な評価やアドバイスをしたいとセカンドオピニオンをしていますので、どうぞご利用ください。近くに泌尿器科がないという方には、オンラインでも対応しています。