Bifurakubi
美風楽日
-
「感」(2025-3月号)
人間が動物として本来持っている〝感〟という本能が、退化している。インターネットによって、地球上のほぼあらゆる情報が検索できる時代がきて、感に頼るよりは、スマート...
-
「誤解」(2025-2月号)
誰もが信じて疑わなかった事実が、常識が、あっけなく崩れ去ることがある。世界の歴史を見ていても、日本の歴史を見ていても、信じていたものが全く違ったものだったりする...
-
「愛国元年」(2025-1月号)
海に行った帰りに、道の駅に立ち寄ったり、農協が経営するスーパーに足を運んだりすることが、楽しみの一つになっている。郷土色豊かな食べ物や、タイミングがいいと、地元...
-
「12月の晴れた日」(2024-12月号)
今朝流れた映像が一週間も経たないうちに情報としての価値がなくなっている、と感じることがある。今年も年末年始のニュース番組を手伝った。元旦の能登半島の地震から始ま...
-
「記憶」(2024-11月号)
以前勤めていた会社が、一足早くインターネット事業を始めた時の話である。米国のペンタゴンで軍事システムの研究をしていたホセという一人の若者を採用した。今でいうとこ...
-
「タイパ」(タイムパフォーマンス)(2024-10月号)
30度を超える灼熱の夏が続いている。7月初旬から、砂漠に埋もれた都市の中で息をしているようだ。街行く人の動作が、古い映画のスローモーションのように断片的で散漫。...
-
「夏休み」(2024-9月号)
「麦わら帽子は、もう消えた…」というフレーズで始まるフォークシンガー吉田拓郎の歌がヒットしてから、もう半世紀が過ぎようとしている。この『夏休み』という歌は、日本...
-
「ほおずき」(2024-8月号)
戦時中、作家の向田邦子さんは一年ほど疎開していた。私の母の実家に間借りしていたらしい。女学校の同級生だった二人は、空襲警報の音に怯えながら、裏庭のほおずきを眺め...
-
「食料」(2024-7月号)
ポテトチップスの賞味期限を1週間延ばすことによって、廃棄処分が3割程度少なくなるという。賞味期限はメーカーが勝手に決めた「うまく食べてほしい味の締切」である。消...
-
「円安の“いま”」(2024-6月号)
政府が戦闘機を輸出する法律を決めた。この商品の殺傷能力は、地球に住む人類にとって、原爆に次いで、残忍で強い。しかし、平和憲法を誇示することによって、多かれ少なか...
-
「カエル」(2024-5月号)
環境活動家のアル・ゴア元副大統領がプロデュースした『不都合な真実』という映画は、地球の温暖化を小学生の教科書のようにわかりやすくまとめてくれた。その中で印象的だ...
-
「小売店」(2024-4月号)
オフィスのエレベーターで、台車に山のように段ボールを載せている宅配業者に、一日に何度も会う。一般店舗の何百倍、いや、もっと多くの商品がインターネットで買える時代...
-
「能登のこと」(2024-3月号)
やはり、再び起こってしまった。濁流となって押し寄せた津波は、漁船を岸壁に打ちつけ、街は泥水の池に変わってしまった。新年のお節を食べていた人々は、だるま落としのよ...
-
「猫」(2024-2月号)
年が明けても、どこか落ち着かない世の中が続いている。気分転換にビルの谷間にある行きつけの喫茶店で小さな“ロマンティズム”を探している。村上春樹氏のエッセーを緩や...
-
「音楽」(2024-1月号)
ジョブ型雇用にリスキリング、フェイク画像にチャットGPT、メディアは次々と新しいネタを誇大に提供し、時代は留まることもなく前へ前へと常に何かの変化を求めていく。...