
アメリカ大統領の就任式が終わった。トランプ大統領はまるでテレビや映画のスターのように扱われ、メディアがそれを無自覚に垂れ流している。彼の手元に恐ろしいほどの権力が集中し始めようとしている。わずか任期4年の大統領が、しかも商業主義に徹した彼の決裁が、アメリカの弱体化をより一層激しくさせるような気がしてならない。
悲しいかな、彼を操っているのはウォール街の金融関係者や、ビッグテック(Google、Amazon、Meta〈旧Facebook〉、Apple、Microsoftなどアメリカの主要IT企業)をはじめとしたIT系の資本家軍団。今のアメリカ経済を牛耳っている彼らにとっては、トランプを単なる人形にしているに過ぎない。じっくりと目をこすって、トランプ大統領の動きに注目する必要があるのではなかろうか。
プーチン大統領の策動によるウクライナへの侵略を平和的解決と称して、プーチン大統領と電話会談で解決しようと試みた。これに対して、ゼレンスキー大統領はもちろんのこと、EU各国も激怒した。この状態を放置しておくとEUとアメリカの関係悪化はもちろんのこと、アメリカにぶら下がっている日本にもただならぬ影響が起きることは間違いない。クラスのみんなに嫌われ、いつの間にか〝孤立〟したガキ大将に、地球上のあらゆる国が環境問題や人口問題に頭を悩ませている。
一方で、為替と株価は先が見えない。さらに狂乱と言ってもいいほど、仮想通貨のビットコインが急上昇し、併せて株価も決して今の状況を反映しているとは思えないほど高い。BRICS諸国による新たな通貨の誕生が予定されており、この通貨がデジタルマネーとなることで、ビットコインなどの仮想通貨の価値を押し下げる可能性がある。BRICSには世界の人口の約45%が集中し、そのGDPの合計は、アメリカ、日本、ヨーロッパをどんどん引き離していくだろう。
2025年は、激変の〝始まりの年〟になる。きっと25年後の2050年あたりに、今のトランプ政権を振り返ったときに地球という星が〝破滅という階段〟を登り始めるのか、それとも〝薔薇の坂道〟を降り始めたのか、の変わり目であったことが認識される。トランプ大統領というのは、誰かの駒の一つに過ぎないのだが、その駒は、意外なほど奇妙で複雑な役割を演じようとしている。
私たちは生活を司る政治から、その身を離してはならない。そんな危ない日々が続いている。
「美楽」発行人 東 正任