
どこかで虫の知らせでは聞いていたものの、やはりイスラエルがイランにけんかを売った。おそらくトランプ政権との根回しを十分にした上でのことだろうが、イランがプルトニウムを増産したという理由で、先回りしてイランの軍需施設にミサイルを撃ち込んだ。
これに対して、さすがにガザの問題もあり、人間性を全く評価されないネタニヤフ政権を、ヨルダンをはじめとした中近東各国は非難した。おそらくシリアの動きなどを中心に、この戦いは長期化し、世界経済に大きな負荷を加えるだろう。
トランプが輸入関税を投じ、中国やEUが対抗したことで、日本も巻き込まれ、間違いなく世界不況の入り口にいる。石油価格の上昇により、日本経済もインフレが加速し、低所得者層の生活はまさに火に油が注がれるような状況だ。
そうした中、政府は選挙対策として1人2万円程度のばらまきを行うことを決めたが、根本的な解決策にはならない。この国の政治家が世界の舞台に踊り出て、アメリカに根回しをして何かを成し遂げると期待するのも空虚な話だ。せめて、消費税や所得税の減税に
よって、当面の苦境をしのげるようにしてほしいと思う。参議院選挙が控えているが、相変わらず政治家は数字に弱い。スローガンや政策をもっと日常の数字に置き換えて分かりやすくすべきだ。
例えば、昨今の米問題。日本人は平均して年間50~56㎏の米を食べる。簡単な計算だが、これに1億人をかければ約50億㎏、つまり約500万トンが年間で必要となる。これに対して備蓄米や在庫は約3カ月分、約125万トンが目安である。同様に、防衛費を単
純に人口で割れば、1人当たり年間5万円。私たちは、月額にすると5千円程度を自分の命を守るために支払っていることになる。
日本の借金の話になるが、国債発行残高は約1300兆円。これを国民1人当たりに換算すると約1千万円になる。政府は、日本銀行を通して、今後とも国債を発行し続けるつもりなのであろう。
耳にタコができる話だが、今年の夏は地球温暖化の影響で、折れ線グラフが極端に上に跳ねるような猛暑になりそうだ。予想を上回る暑さと集中豪雨が重なり、思わぬ災害を招く恐れがある。6月の中旬から30度を超える猛暑が続いている。ビルも、各家庭も24時間クーラーをつけないと暮らしていけない。
こうなると、気にしてほしいのが為替レートのこと。そもそも借金大国のこの国のドル円レートは180円とも200円ともいわれている。となると、近い将来間違いなく石油の輸入価格が上がり、それに伴ってさらなるインフレと物価高が起こる。ますます庶民の生活は脅かされる。
「美楽」発行人 東 正任