誰もが信じて疑わなかった事実が、常識が、あっけなく崩れ去ることがある。
世界の歴史を見ていても、日本の歴史を見ていても、信じていたものが全く違ったものだったりすることは日常茶飯事だ。
もし、その時代に生きていたら、呆気に取られるような権力の崩壊やそれによる日常生活の大きな変化が庶民の生活に及んでいた場面を目の当たりにしていたのだろう。
日々の人間関係においても、同様なことが起こる。
人間の世界では、他人のことなど全く分からないと考えた方がいい。人の性格を勝手に決め込んで期待を裏切られたり、想像以上の成功を収めたり、言うなれば、思い込みは的外れに終わることが多い。
ましてや、政治や経済、投資の世界においては、どんなデータを駆使しても、その道の専門家が分析しても、むしろその通りになることが少ないと思う。
社会的にも評価が高く、テレビコマーシャルなどでバンバン信用度を上げた会社があっけなく倒産してしまう、というニュースも最近あった。
新聞やテレビなどのメディアや、SNSから津波のように流れ込む情報がスマートフォンに表示される。
そこに踊っている数字から、予測される未来を推測しようとする。しかし、信用度の高いものは、なかなか得ることができない。
結局、人間と会い、直接話を交わし、事実を確認するのが一番正しいのではないかと思う。
本を作る上で、取材は欠かせない。取材とは、事実を確認する質問のことだ。遠慮しがちに、疑問や、腑に落ちないことを率直に聞いてみる。すると、データからは得られないリアルが判明する。個人の関係においても、実は、この作業が必要だ。
気を使って、遠慮して、腰を引いている人間関係において、信頼関係を高めるためには、常日頃から取材が欠かせない。
相手の性格を身勝手に想定していると、思いも寄らないトラブルになることもある。
1月20日に、アメリカではトランプ氏が大統領に就任する。
彼を中心に国際関係の枠組みが大きく変化するのであろう。大統領の性格は強引で、ビジネスマインドに長けている。
よって、判断のスピードが早く、そこには、利益を最優先した戦略が組み込まれている…といわれている。本当にそうなのであろうか。
トランプと食事をしたことのある友人によると、彼は繊細で神経質。しかも、なかなかの理論家らしい。
日本の外交においても、ホワイトハウスから来る表面の情報だけで対応するのであれば、いささか不安が残る。
それより、年老いた一人の政治家が人生の最後の場面で何を残そうとしているのであろうか、と考えることだ。