毎年、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのつらい花粉症の症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、今すぐできる症状別のセルフケアから、体質改善を目指す根本治療まで、あなたの状況に合わせた最適な対策を徹底解説します。あきらめる前に、今年こそ自分に合った方法を見つけて、つらい季節を快適に乗り切りましょう。
症状・状況別|今すぐできる花粉症対策
花粉症の季節は、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、次々と現れる症状に本当につらい思いをしますよね。「とにかくこの鼻水を止めたい」「肌のかゆみが我慢できない」など、お悩みもさまざまでしょう。
ここでは、症状や状況別に今すぐできる対策をご紹介します。
近年は大気汚染や気候変動といった環境要因がアレルギー症状に影響を与える可能性も指摘されており、日々の対策の重要性が増しています。ご自身の状態に合わせて、できることから試してみてください。
鼻・目の症状への対策
花粉症の代表的な症状は、アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)とアレルギー性結膜炎(目のかゆみ・充血)です。これらは鼻や目の粘膜で慢性的なアレルギー性の炎症が起きている状態で、日常生活に大きな支障をきたします。
つらい症状を和らげる基本は、原因となる花粉が体内に侵入するのを物理的に防ぐことです。
外出時は、顔にフィットする不織布マスクを着用し、隙間から花粉が入りにくい状態を作ることが基本です。目からの侵入を防ぐため、通常のメガネでも一定の効果はありますが、可能であれば花粉症用メガネを使うとより安心です。また、髪の毛には花粉が付着しやすいため、帽子をかぶることで屋内に持ち込む花粉の量を減らせます。
帰宅後は、鼻の中に入った花粉を洗い流す目的で鼻うがいを行うと、鼻のムズムズ感が軽くなります。生理食塩水を使うと刺激が少なく安心です。目に入った花粉は、防腐剤の入っていない人工涙液でやさしく洗い流しましょう。
目をこすると粘膜を傷つけ、症状が悪化しやすくなるため注意が必要です。室内では適度な加湿を心がけ、衣類や髪についた花粉を早めに落とすことも大切です。
肌・喉・全身症状への対策
花粉症の症状は鼻や目だけでなく、全身に現れることがあります。肌では、かゆみや赤みが出る花粉皮膚炎が起こりやすく、喉のイガイガ感や咳、頭痛やだるさを感じる人もいます。
肌の症状を防ぐには、花粉が付きにくい綿やポリエステルなど表面がなめらかな服を選び、帰宅後はできるだけ早くシャワーを浴びて花粉を洗い流すことが効果的です。また、肌のバリア機能を保つため、日頃から低刺激の保湿ケアを心がけましょう。
喉の違和感や咳が気になる場合は、マスクで花粉の侵入と乾燥を防ぎ、こまめな水分補給やうがいで喉を潤すことが大切です。頭痛やだるさなどの全身症状が出るときは、無理をせず十分な休息をとり、体をしっかり休ませるようにしましょう。
子ども・妊婦・授乳中の方の花粉症対策
お子さんや妊娠中・授乳中の方は、薬の使用に特に注意が必要です。自己判断で市販薬を使うことは避け、まずは花粉をできるだけ避ける生活を心がけましょう。外出時はマスクやメガネを着用し、帰宅後は花粉を落として手洗い・洗顔を行います。室内では換気を短時間にし、掃除や空気清浄機の活用も有効です。
セルフケアだけで症状がつらい場合は、医師に相談してください。お子さんは年齢に応じた薬の選択が必要です。妊娠中・授乳中は使用できる薬が限られるため、産婦人科への相談を優先し、点鼻薬や点眼薬など全身への影響が少ない治療が中心となります。
花粉症の治療方法
治療法は大きく2つに分けられます。一つは、今あるくしゃみや鼻水などのつらい症状を和らげる「対症療法」です。もう一つは、アレルギー体質そのものに働きかけ、根本的な改善を目指す「根治療法」です。それぞれの特徴を正しく理解し、自分に合った方法を見つけていきましょう。
症状を緩和する対症療法
対症療法は、今まさに出ている症状を薬の力で抑える、花粉症治療の基本です。
飲み薬、点鼻薬、点眼薬などがあり、症状の強さや種類に応じて使い分けます。
| 薬の種類 | 主な効果と特徴 | 副作用の例 |
|---|---|---|
| 薬の種類第2世代抗ヒスタミン薬(飲み薬) | 主な効果と特徴くしゃみ・鼻水・目のかゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑える | 副作用の例眠気、口の渇き |
| 薬の種類抗ロイコトリエン薬(飲み薬) | 主な効果と特徴鼻づまりを引き起こすロイコトリエンの働きを阻害する | 副作用の例頭痛、腹痛、吐き気 |
| 薬の種類鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬) |
主な効果と特徴
|
副作用の例鼻の乾燥感、刺激感 |
| 薬の種類抗アレルギー点眼薬(点眼薬) | 主な効果と特徴目のかゆみや充血の原因となるアレルギー反応を抑える | 副作用の例眼刺激感、異物感 |
花粉によるアレルギー反応が続くと、鼻の粘膜では複雑な炎症が慢性化します。放置すると慢性副鼻腔炎などに移行する恐れもあるため、症状が軽いうちから炎症を抑えることが大切です。
症状が特に重い場合には、注射薬(抗IgE抗体製剤)という選択肢もありますので、まずは医師にご相談ください。
根本的な体質改善を目指す舌下免疫療法
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体に取り入れ、時間をかけてアレルギー反応が起こりにくい体質へ近づけていく治療法です。スギ花粉症を根本から改善する方法として期待されており、毎日1回、スギ花粉エキスを含む錠剤を舌の下に約1分置いてから飲み込みます。
治療は自宅で続けられますが、効果を安定させるには3〜5年程度の継続が必要です。開始時期は花粉が飛散していない6〜12月頃が基本で、次のシーズンに向けて早めに始めるのがポイントです。
花粉シーズンの症状が軽くなったり、薬の量を減らせたりする可能性もあります。毎年薬が手放せない方にとって、生活の負担を減らす選択肢となるでしょう。
症状の軽減を目的としたレーザー治療
レーザー治療は、アレルギー反応の主戦場である鼻の粘膜にレーザーを照射して、粘膜の性質を変化させる治療法です。薬を飲んでも改善しにくい、頑固な鼻づまりに対して特に効果が期待できます。
シーズン中の薬の量を減らせる可能性があり、シーズン中の薬の量を減らせる可能性があります。治療は局所麻酔で施術時間は15〜30分程度です。妊娠中や授乳中の方、薬が合わない方でも受けられます。
費用の目安は、保険診療(3割負担)で約6,000〜10,000円程度(両鼻)です。自由診療(自費)の場合はクリニックにより異なりますが、約20,000〜70,000円程度が目安です。
一方で、個人差はありますが効果は永続的ではなく、1~2年程度で元に戻ることがあります。治療後1~2週間は、かさぶたの影響で一時的に鼻づまりが悪化することもある他、目の症状には効果はありません。
花粉症対策についてよくある質問
ここでは、患者さんからよくいただく質問に対して、一つひとつお答えします。
花粉症は自然に治ることはありますか?
残念ながら、一度発症した花粉症が自然に、そして完全に治癒することはまれです。花粉症は、ご自身の免疫システムが花粉を「異物」と誤って認識し、過剰に攻撃してしまうアレルギー疾患であるためです。
年齢を重ねたり、生活環境が変わったりすることで、症状が一時的に軽くなることはあります。しかし、体質そのものが改善したわけではないため、何かのきっかけで再び強く症状が現れる可能性は十分にあります。
ここで注意したいのは、症状を放置してしまうことです。花粉症による鼻の慢性的な炎症が続くと、慢性副鼻腔炎や中耳炎といった合併症を引き起こすリスクが高まります。
特に、免疫機能がまだ発達段階にあるお子さんの場合は注意が必要です。なかなか治らない鼻炎の背景に、免疫グロブリンの異常といった、より専門的な治療が必要な状態が隠れていることもあります。
花粉症対策はいつから始めるのが効果的ですか?
花粉症対策は、症状が出始める前からスタートする「初期療法」が重要です。毎年症状に悩んでいる方は、本格的な花粉飛散開始の1〜2週間ほど前から、抗アレルギー薬の服用などを始めることを強くお勧めします。
花粉が飛散する前に対策をしておくことで、鼻や目の粘膜が過敏に反応するのを防ぐことができます。(※1)症状が悪化してから強い薬をたくさん使うよりも、結果的にシーズンを通して使用する薬の総量を減らせるでしょう。
天気予報などで発表される花粉の飛散予測情報をこまめに確認し、「そろそろ飛散が始まりそうだ」と感じたら、早めに医療機関を受診して対策を始めてみてください。
食事や生活習慣で気をつけることはありますか?
薬による治療と並行して、日々の食事や生活習慣を見直すことは、症状のコントロールに役立ちます。体の内側と外側から、総合的に対策を立てていきましょう。
食事においては、特定の食品だけで花粉症が治るわけではありませんが、体のコンディションを整えることは大切です。免疫機能が正常に働く土台を作るため、偏りのない栄養バランスの取れた食事を基本としましょう。
またアルコールや香辛料の多い食事は、鼻の粘膜の血管を拡張させ、鼻づまりなどの症状を悪化させる原因になります。花粉シーズン中は少し控えめにすると良いでしょう。
睡眠不足やストレスはアレルギー症状を悪化させやすいため、十分な休養を確保することが大切です。花粉だけでなくPM2.5や黄砂などの刺激でも症状が出やすいので、マスクや空気清浄機を活用して総合的に対策しましょう。
まとめ
花粉症の対策では、マスクやメガネの着用、帰宅後のケアといった「花粉を避けるセルフケア」が基本です。、室内では換気を短時間にし、掃除や空気清浄機を活用すると効果的です。
症状がつらい場合は、症状に合わせて内服薬や点鼻薬・点眼薬など適切な治療を選ぶことが大切です。「毎年薬を飲むのが大変」「もっと根本的に治したい」と感じている方も、舌下免疫療法やレーザー治療など、治療の選択肢は広がっています。
自己判断で諦めてしまう前に、まずは気軽に専門の医師へ相談してみましょう。
参考文献
- Haruna T, Kariya S, Higaki T, Makihara S, Kanai K, Komatsubara Y, Oka A, Nishizaki K, Okano M.Determining an Appropriate Time to Start Prophylactic Treatment with Intranasal Corticosteroids in Japanese Cedar Pollinosis.Med Sci (Basel),2019,7,1,p.11.
