冬になると肌がカサカサし、保湿をしてもすぐにツッパってしまう乾燥肌で悩んでいませんか。皮膚が乾燥するのは、肌を守るバリア機能が低下しているからかもしれません。
乾燥肌は、空気の乾燥や加齢だけでなく、日々のスキンケアの方法や食事・睡眠などの生活習慣の影響も受けます。
この記事では、乾燥を引き起こす原因を解剖し、自宅で実践できる正しい保湿ケアや、体の中から潤う生活習慣を詳しく解説します。正しい知識と保湿ケアで、潤いのある心地良い肌を手に入れましょう。
乾燥肌になる主な原因
乾燥肌の原因は一つではなく、肌質や年齢、生活習慣、環境など複数の要因が絡み合って起こります。主な乾燥肌の原因は、以下のとおりです。
- 肌のバリア破壊とターンオーバーの乱れ
- 加齢による皮脂量・水分保持力の低下
- 紫外線や冷暖房などによる環境要因
肌のバリア機能とターンオーバーの乱れ
肌の乾燥には、バリア機能の低下とターンオーバーの乱れが関係しています。
肌のバリア機能は角質層が水分を保持し、外部刺激から肌を守る仕組みで、これを支える要素の一つがフィラグリンです。フィラグリンは天然保湿因子へと変化し、肌のうるおいを保つ役割を担います。
加齢によりフィラグリンが減少すると、肌の水分が逃げやすくなり、乾燥だけでなく炎症やかゆみも起こりやすくなります。
また、睡眠不足やストレスなどで生活習慣が乱れるとターンオーバーが滞り、バリア機能の低下した状態が続くことで、乾燥を招きやすくなります。
健やかな肌を保つには、保湿によるケアとあわせて、生活習慣を整え、ターンオーバーとバリア機能を維持することが重要です。
加齢による皮脂量・水分保持力の低下
年齢を重ねるごとに肌が乾燥しやすくなるのは、肌内部の皮脂量と水分保持力が低下するためです。
昔はベタつきが気になっていた方でも、年齢を重ねるにつれて、カサつきやツッパリ感を感じやすくなります。若い頃は肌の保水力が高いものの、加齢とともに肌の潤いを支える成分は少しずつ減少していきます。
バリア機能が弱まると、外部からのわずかな刺激にも敏感になり、乾燥やかゆみ、炎症などが起こりやすくなります。(※1)加齢による乾燥は、油分とのバランスも崩れやすいため、不足した成分を補うためのエイジングケアが欠かせません。
紫外線や冷暖房などによる環境要因
肌の乾燥を招く原因として、紫外線や冷暖房などの外部環境にも注意が必要です。
肌の乾燥で見落としがちなのが、紫外線のダメージです。紫外線は日焼けやシミができるだけでなく、肌のバリア機能を傷つけてターンオーバーを乱し、水分を蓄える力を弱めます。健やかな肌を保つためにも、日頃からUVケアを習慣にしましょう。
空気の乾燥も、肌の水分を奪いやすくする要因です。秋から冬にかけての乾いた外気に加え、夏の冷房や冬の暖房も湿度を下げます。低湿度の環境では、肌表面の水分が蒸発しやすくなり、カサつきの原因となります。
乾燥しやすい人の特徴
乾燥肌になりやすい人とその理由を、以下の表にまとめました。
| 乾燥しやすい人 | 乾燥しやすい理由 |
|---|---|
| 子ども・高齢者 | 皮脂分泌が未熟、または加齢による天然保湿成分(NMF)の低下 |
|
・アトピー性疾患
・糖尿病の方 ・透析中の方 |
・セラミドやフィラグリンが少なく、バリア機能が弱い
・血行不良や除水の影響で、汗や皮脂の分泌が減少する |
| 抗がん剤使用の方 | 薬の副作用による乾燥 |
|
・ストレスが多い方
・冷え性の方 |
自律神経の乱れや血行不良により、皮脂や汗の分泌が低下する |
こうした体質や環境の影響に加えて、日々無意識に行なっている生活習慣が、肌のバリア機能を低下させるケースがあります。
熱すぎるお湯は、肌に必要な皮脂まで流してしまいます。また、ナイロンタオルでのゴシゴシ洗いも、バリア機能を低下させる原因です。
季節の変わり目など環境の変化がある時期は、刺激に対してより敏感になります。偏った食生活によるビタミン不足や、冷え性による血行不良は、肌に栄養が行き渡るのを妨げ、乾燥を進行させるでしょう。
乾燥肌の正しいスキンケアと保湿の方法
乾燥肌をケアするには、正しい手順を守ることが大切です。正しいスキンケアと保湿のために、以下の4つのポイントを解説します。
- ①クレンジングと洗顔は優しく
- ②化粧水・美容液で潤いを与える
- ③乳液・クリームで水分を閉じ込める
- ④若い頃と同じケアを見直す
①クレンジングと洗顔は優しく
乾燥肌対策のポイントは、汚れを落としつつ潤いを残すために優しく洗顔することです。
クレンジングと洗顔では、肌に必要な成分まで洗い流すことが乾燥の原因になります。大事なのは刺激を抑え、洗いすぎないことです。
クレンジングですすぐ際の温度には、注意が必要です。熱いお湯は、肌の潤いを保つ皮脂まで洗い流してしまうため、ぬるま湯を使いましょう。
洗浄力が強すぎない肌に合った洗顔料を選び、しっかりと泡立てることも大切です。泡をクッションにして肌を転がすように洗えば、摩擦による角質層へのダメージを抑え、バリア機能の低下を防ぎやすいでしょう。
シャワーを顔に直接当てると水圧が刺激になるため、手でお湯・水をすくって優しく流してください。最後は清潔なタオルで顔を軽く押さえ、水分を吸い取らせるように拭き上げましょう。
②化粧水・美容液で潤いを与える
洗顔後の肌は乾燥しやすいため、すぐに化粧水と美容液で水分と栄養を補給するのがおすすめです。
まずは化粧水で肌を整えましょう。
より効率的なケアを求めるなら、特定の肌悩みにアプローチする美容液の活用がおすすめです。ヒアルロン酸、グリセリン、アミノ酸など、水分を抱え込む成分を取り入れることで、肌のみずみずしさをキープしやすくなります。
③乳液・クリームで水分を閉じ込める
乾燥肌対策の仕上げとして、乳液やクリームで潤いを閉じ込めることが重要です。
化粧水や美容液で補給した水分は、時間の経過とともに乾燥します。油分を含むアイテムを最後に重ねることで、肌表面に疑似的な皮脂膜を作り、バリア機能をサポートしながら水分を逃さない状態を整えられます。
朝には水分と油分のバランスが良い乳液、夜や冬場には保護力の高いクリームなど、時間帯や季節に合わせて使い分けるのがおすすめです。目元や口元など、乾燥が気になる部分には乳液やクリームを重ね付けしましょう。
④若い頃と同じケアを見直す
年齢を重ねると、肌には以下のような変化が起こります。
- 皮脂量の減少
- 水分保持力の低下
- ターンオーバーの遅延
さっぱりタイプの化粧水を使っていた方は、保湿成分が豊富な高保湿タイプへの切り替えを検討してください。これまでのシンプルなケアに、美容液や油分を補えるクリームをプラスするのも良いでしょう。
皮脂の分泌が減少する50代以降は、保護力の高いクリームのスキンケア習慣が、なめらかに整った肌を保つためのポイントとなります。
生活習慣で見直す乾燥肌対策
乾燥肌の対策は、外側からのケアだけでなく、内側から肌を整える生活習慣が重要です。
健康的な肌を育むためのポイントとして、以下の3つを解説します。
- ①肌に良い食べ物を意識する
- ②質の高い睡眠で肌の修復を促す
- ③加湿やこまめな水分補給を行う
①肌に良い食べ物を意識する
健やかな肌を保つためには、栄養バランスの良い食事を摂ることがポイントです。
以下の栄養素を食事に取り入れてみてください。
| 栄養素 | 主な働き | 含まれる食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 肌の細胞やコラーゲンの材料となり、バリア機能を維持する | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
| ビタミンA(β-カロテン) |
・皮膚や粘膜の健康を維持する
・ターンオーバーの正常化を助ける ・肌のハリ・弾力をサポートをする |
にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、レバー |
| ビタミンC |
・コラーゲンの生成を助け、肌のハリを保つ
・肌の炎症を抑える |
赤ピーマン、ブロッコリー、キウイ、柑橘類 |
| ビタミンE |
・血行を促進し、肌の隅々まで栄養を届ける
・強い抗酸化作用で肌を健やかに保つ |
アーモンド、アボカド、うなぎ、植物油 |
| セラミド | 角質層で水分を蓄え、バリア機能を支える | 生芋こんにゃく、しらたき、ブロッコリー、わかめ |
肌の主成分であるタンパク質は、乾燥に負けにくい肌づくりに欠かせません。日々の食事を見直し、肌に良い食材を取り入れることで、内側からうるおいを支えることができます。
②質の高い睡眠で肌の修復を促す
乾燥肌の改善には、質の高い睡眠を確保し、肌の再生力を高めることが重要です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、紫外線や乾燥によるダメージを修復し、肌のターンオーバーを促します。
睡眠不足が続くと再生リズムが乱れ、バリア機能が低下して、かゆみや赤みを招きやすくなります。睡眠の質を高めるためには、朝は太陽の光を浴びて体内時計を整え、就寝前はぬるめの入浴やスマホ・カフェインを控える習慣を心がけましょう。
③加湿やこまめな水分補給を行う
肌の潤いを守るには、部屋の湿度管理とこまめな水分補給の両面を意識することが大切です。
空気が乾燥すると肌の乾燥が進むため、加湿をして適切な環境を整えましょう。肌の外側からのケアとして、室内の湿度を40〜60%に保つことが理想的とされています。
加湿器がない場合でも、濡れたタオルを干したり観葉植物を置いたりすることで、湿度を補う助けになります。
肌の乾燥を防ぐには、体の内側からの水分補給も欠かせません。水分不足は、肌細胞まで潤いや栄養が届きにくくなる原因となります。水や白湯、麦茶などカフェインを含まない飲み物を、こまめに摂るようにしましょう。
乾燥肌で病院に行くべき判断基準
セルフケアを続けても改善が見られない場合や、肌に強い不快感がある場合は、皮膚科を受診してください。乾燥のみならず、湿疹・皮膚炎に発展してしまっているかもしれません。
以下のような状態が、皮膚科を受診する目安です。
- 市販の保湿剤を使っても乾燥や肌荒れが改善しない
- 症状が悪化している
- かゆみが強く、睡眠や仕事、勉強に集中できない
- 肌に赤み、熱感、じゅくじゅくがある
- ひび割れ・あかぎれ・痛みがある
- 全身に粉をふく状態や、うろこ状の皮むけが広がる
ここでは、皮膚科を受診する際の「病院での診察の流れ」や「市販薬と処方薬の違い」を解説します。
皮膚科で行う診断の流れ
皮膚科では、問診や診察を通して乾燥の原因を確認します。まず、症状が出ている部位や時期、かゆみの程度、入浴後や夜間に悪化するかなどを聞かれます。あわせて、使用中の保湿剤やスキンケア用品、これまで試した市販薬についても確認します。
次に、食事や睡眠、ストレス、アレルギー体質、服用中の薬など生活背景を把握します。診察では、カサつきや赤み、皮むけ、炎症の有無など皮膚の状態を直接確認し、必要に応じてダーモスコピーと呼ばれる専門的な検査を行います。(※2)
事前に症状を整理しておくと、診察がスムーズです。
市販薬と処方薬の違い
市販の保湿剤と皮膚科で処方される薬の違いは、配合成分の濃度と、治療を目的としているかどうかという点にあります。
| 項目 | 市販薬 | 処方薬 |
|---|---|---|
| 目的 |
・乾燥予防、保湿
・軽い乾燥症状の緩和 |
・治療
・皮膚疾患の改善 |
| 成分 | 穏やかな保湿成分中心 | 科学的に効果が証明された有効成分 |
| 種類 |
・保湿剤
・弱いステロイド外用薬 |
・保湿剤
・ステロイド外用薬 ・抗アレルギー薬 ・抗ヒスタミン薬 |
| 入手方法 | ドラッグストアなどで購入可能 | 医師の診察と処方箋が必要 |
| 費用 | 全額自己負担 | 健康保険が適用される |
症状の程度に合わせて適切に使い分けることが、肌の状態を改善するためには大事なので、気になる症状があれば皮膚科を受診してください。
まとめ
乾燥肌を整えるには、スキンケアだけでなく、日々の生活習慣もあわせて見直すことが大切です。
化粧水で水分を補い、その後に乳液やクリームでうるおいを保つ基本的な保湿を続けましょう。あわせて、食事の内容や睡眠の質、室内の湿度など、毎日の積み重ねも肌の状態に影響します。外側のケアと内側からのケアを意識することで、乾燥しにくい肌を目指せます。
セルフケアを続けても乾燥によるかゆみや赤みが改善しない場合は、早めに皮膚科へ相談すると安心です。
参考文献
- Murphy GF. “Aging Skin: A Dermatitis To Which All Flesh Is Heir?” Journal of cutaneous pathology 53, no. 1 (2026): 121-124.
- 日本皮膚科学会:「皮脂欠乏症診療の手引き2021」.
