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2025.04.30

医療コラム

胃がんの99%は、ピロリ菌!?【専門医監修】

胃・十二指腸消化器(胃・腸など)胃がん胃炎胃がん消化器内科内科

南毛利内科 抗加齢/人間ドックセンター院長

内山 順造

最近、テレビや新聞などでもよく取り上げられるピロリ菌。

誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

ピロリ菌は1983年にオーストラリアの2人の研究者により発見されました。胃の中に生息しているらせん形の細菌で、その後の研究により慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの病気に深くかかわっていることが明らかにされてきました。

今回は、そんなピロリ菌の検査、治療法などについて南毛利内科 抗加齢/人間ドックセンター院長 内山順造医師にお聞きしました。

高齢の方ほどピロリ菌の感染率は高く、日本の人口の約半数の6,000万人が感染しているとの報告もあります。気になる方はぜひ内科を受診して検査をしてみてください。

目次

  • 1 Q1.ピロリ菌とはどういう菌ですか?
  • 2 Q2.だれの胃の中にもいる菌ですか?
  • 3 Q3.ピロリ菌に感染しているかどうかは、検査でわかるのでしょうか?
  • 4 Q4.どういう人が検査でピロリ菌の有無を調べたほうがいいのでしょうか?
  • 5 Q5.除菌治療はどのように行いますか?
  • 6 Q6.除菌治療は、保険適用ですか?
  • 7 Q7.高齢者の場合、寿命との兼ね合いから、積極的に除菌治療を受ける必要があるのか、疑問に思いますが…。
  • 8 Q8.年をとると除菌治療の成功度が下がる、ということはありませんか?
  • 9 Q9.親にピロリ菌がいた場合、子供も調べるべきでしょうか?
  • 10 Q10 内山先生の美学を教えてください   
  • 11 この記事を監修した医師
    • 11.1 内山 順造

Q1.ピロリ菌とはどういう菌ですか?

ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は1983年に発見された、胃粘膜に生息する細菌です。胃粘膜は強力な酸である胃酸で覆われており、細菌が存在しづらい環境です。しかしピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出してアルカリ性のアンモニアを作り、胃酸を中和し、胃粘膜への生息を可能にしています。

Q2.だれの胃の中にもいる菌ですか?

ピロリ菌に感染していなければ、胃の中にはいません。感染経路は、高齢者では水や食べ物だといわれていますが、現在ではほとんどがピロリ菌陽性のお父さんお母さんから口移しの食事で感染しています。免疫機能が不十分な子供の時に感染し、大人になってからの感染はほとんどありません。

日本では、昔はかなりの人がピロリ菌に感染していました。しかし水道水などのインフラが整備されるにつれピロリ菌の感染者が減っていき、現代の若い人の感染率は、かつてとは大きく異なります。20代で10%以下、30代で15〜20%、50代で50%以上が感染しているという報告もあります。世代により感染率が違うのは、免疫機能が不十分な子供時代に井戸水や親、祖父母からピロリ菌に感染する機会があったかによると考えられます。

Q3.ピロリ菌に感染しているかどうかは、検査でわかるのでしょうか?

検査で分かります。方法はいくつかあります。「採血や採尿で抗体を調べる」「検査薬服用後、呼気を調べる」「便中の抗原を調べる」「内視鏡で胃の粘膜を採集して調べる」という方法です。

Q4.どういう人が検査でピロリ菌の有無を調べたほうがいいのでしょうか?

ピロリ菌の有無を一度も調べたことがなければ、ぜひ検査を受けてください。特に年齢が高い人ほど、受けたほうがいいでしょう。お父さんお母さんにピロリ菌感染者がいる、家族に胃がんや胃潰瘍にかかった人がいる場合は要注意です。前述の通り、大人になってからの感染はほとんどありませんから、検査は一度だけで十分です。

なぜピロリ菌を調べたほうがいいのか? それは、ピロリ菌と病気との関連が指摘されているからです。

特に注目すべきは、胃がんです。WHO(世界保険機構)の外部組織であるIARC(国際がん研究機関)は1994年、「ピロリ菌は胃がんの原因」という報告を行いました。ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べると20〜30倍も胃がんになる確率が高く、胃がんの99%はピロリ菌感染がベースにあるといわれているのです。ピロリ菌が自分を胃酸から守るために作り出すアルカリ性のアンモニアが胃の粘膜を傷つけたり、ピロリ菌が胃粘膜に有害な活性酸素や毒素を作り出すからです。ピロリ菌がいるかどうかを調べ、いる場合は除菌治療を行えば、胃がんのリスクはかなり減らせられるでしょう。

胃がん以外では、胃炎や胃潰瘍もピロリ菌によってリスクが上がります。

Q5.除菌治療はどのように行いますか?

合計3種類の薬を1日2回、7日間飲み続けます。2種類の抗菌薬(アモキシシリン、クラリスロマイシン)と、胃酸の分泌を抑制するカリウム拮抗型胃酸分泌抑制薬やプロトンポンプ阻害薬などです。治療が終わって1~2カ月後にピロリ菌の検査を行い、ピロリ菌がいなくなったことを確認できれば治療終了です。

もし、ピロリ菌が残っていることが分かれば、2回目の除菌治療を行います。アモキシシリン、そしてメトロニダゾールという新たな抗菌薬、胃酸の分泌を抑制する薬の合計3種類を、1日2回、7日間飲み続けます。やはり治療後1~2カ月後にピロリ菌の検査を行います。一度目でピロリ菌が残った人でも、二度行えば、成功率は99%以上です。

Q6.除菌治療は、保険適用ですか?

2013年2月以降は、ピロリ菌に感染したすべての胃炎が、保険適用になっています。

通常診療で内視鏡検査を受けて胃炎が見つかり、ピロリ菌検査の結果、陽性であれば、保険適用でピロリ菌除菌治療が可能。あるいは、自治体などの胃がん検診で高リスクと判断され、要精密検査で内視鏡検査を医療機関で受けることになれば、保険適用になります。

なお、自治体の胃がん検診に対して、「胃カメラ(内視鏡検査)は嫌だから受けたくない」と考えている人もいるでしょう。しかし近年は、ABC検診という、患者さんの負担の少ない検査法が多くの自治体で導入されています。採血して、血液中のピロリ菌血清抗体を調べ、加えて、ペプシノゲンという物質から胃の萎縮、炎症の状態を調べます。これで高リスクと判定されれば、内視鏡検査となります。ABC検査は注射1本で判定できるので、最初の検査としてハードルが低いかと思います。

Q7.高齢者の場合、寿命との兼ね合いから、積極的に除菌治療を受ける必要があるのか、疑問に思いますが…。

もしピロリ菌を持っていても、たとえば70代、80代といった高齢者の場合、胃がんを発症するのが先か、それ以外の病気を発症するのが先か、なんとも言えない部分があります。また、確率は低いものの、薬を用いる除菌治療には副作用もあります。日本ヘリコバクター学会では「検査でピロリ菌感染が分かれば、胃がん予防のために除菌治療を受けるべき」としていますが、臨床の現場では、年齢によっては強く勧めないことも多々あります。

しかし、痛み止め(NSAIDs)、ワルファリンやNOACといった血栓予防薬を服用している人の場合は、高齢者であっても、ピロリ菌がいるなら除菌治療を受けるべきです。

なぜなら、痛み止めや血栓予防薬は、消化管からの出血を起こしやすくし、時に、命に関わるリスクがあるからです。NOACを服用している人の消化管出血と生命予後を調べた研究では、NOAC服用によって消化管出血が起こりやすく、死亡率が15%上がるとのことです。

消化管出血のリスクは、ピロリ菌でも高くなります。ピロリ菌がいる人は1.8倍高く、痛み止めを飲んでいる人は4.9倍高く、ピロリ菌がいて痛み止めを飲んでいる人は6倍高い、という報告もあるのです。

痛み止めや血栓予防薬は、たいてい、やめられる薬ではありません。これらを服用している人はピロリ菌の有無を調べ、もしピロリ菌がいるようなら除菌治療を受ける。それによって、消化管出血のリスクを下げられます。

5歳以下の孫にピロリ菌を感染させないためにも、高齢者の除菌は意味があります。

Q8.年をとると除菌治療の成功度が下がる、ということはありませんか?

私が、上部内視鏡検査でピロリ菌陽性の患者さん103例を調べたところ、そのような結果は出ませんでした。

彼らは除菌治療前、炎症に関連する好中球と単核球という2つの細胞が多かったのですが、除菌治療後は大幅に減少し、炎症がない状態になったことが認められました。彼らを70歳以下と71歳以上に分けて調べると、減少の程度は同等で、「高齢者でも除菌治療で炎症を起こさない消化管粘膜」を得られることがわかりました。除菌治療の成功度も、70歳以下、71歳以上ともに同程度。副作用に関しても、どちらの年代も同程度でした。

Q9.親にピロリ菌がいた場合、子供も調べるべきでしょうか?

がんについてほとんど検査をしない40歳以下の人に発症するスキルス胃がんの患者さんの90%以上が、ピロリ菌感染陽性者です。若年者の胃がんの悲劇をなくすためにも、お子さんの検査をお勧めします。尿検査や便中抗原検査でピロリ菌がいるかいないか解ります。

Q10 内山先生の美学を教えてください   

座右の銘は「忙中閑あり」です。5年後になりたい自分を常に追いかけて行く日々にこそ、一瞬の得難い安らぎが生まれると信じています。

この記事を監修した医師

  • 南毛利内科 抗加齢/人間ドックセンター院長

    内山 順造

    1991年、国立香川医科大学(現・香川大学医学部)卒業。川崎市立川崎病院で内科、外科、泌尿器科、産婦人科、麻酔科で研鑽を積む。1993年、東海大学医学部大学院入学、消化器内科専門医としての研鑽を積むと同時に、ウイルス学の研究で医学博士号を取得する。2001年、米ハーバード大学医学部がん研究所へ博士研究員として留学し、がん・老化の研究を行う。2013年、南毛利内科を開業。毎年、全国のトライアスロン大会8試合に参加し、完走。50歳を過ぎてからソプラノサックスのレッスンを受けている。

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