男性更年期障害の発症には、普段の食生活が大きく関わっています。逆にいえば、食生活に気をつければ、発症の予防や症状の改善につなげることが可能です。
しかし「食事の重要性は分かるが、具体的に何を食べればいいの?」「どのような食生活や習慣が原因となるのだろうか」と悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、男性更年期障害に効果的な食事、そして避けるべき食べ物を具体的に解説します。ぜひ、ご自身の食生活と照らし合わせながら読み進めてみてください。
目次
男性更年期障害に効果的な食べ物
男性更年期障害は、加齢とともに男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が減少することにより、身体的・精神的な様々な症状が現れる状態です。
男性ホルモンの減少は、自然な老化現象の一つであり誰にでも起こりうることですが、その減少のスピードや程度には個人差があります。加齢以外にも、ストレスや生活習慣の乱れ、持病などもテストステロンの分泌量に影響を与える可能性があります。
更年期障害の症状に悩まされている方、または将来の更年期障害を予防したいと考えている方は、食生活の見直しも一つの有効な手段となるでしょう。バランスの良い食事は、テストステロンの産生をサポートし、更年期障害の症状緩和や健康維持に繋がることが期待できます。
おすすめの食材・レシピ例
男性更年期障害の予防・改善のためには、テストステロンの産生を促したり、その働きを助ける栄養素を積極的に摂ることが重要です。ここでは、具体的な食材とレシピ例をいくつかご紹介いたします。
1. 亜鉛を多く含む食材
亜鉛は、テストステロンの産生に不可欠なミネラルです。牡蠣、牛肉、豚肉、卵、チーズなどに豊富に含まれています。これらの食材を積極的に食事に取り入れることで、体内の亜鉛濃度を維持し、テストステロンの産生をサポートすることが期待できます。
【レシピ例】
- 牡蠣のガーリックバター焼き:牡蠣に含まれる亜鉛と、ニンニクに含まれるアリシンが、テストステロンの働きをサポート。フライパンにバターを溶かし、牡蠣とニンニクを炒めて、塩コショウで味を調えれば完成です。
- 豚肉の生姜焼き:豚肉には亜鉛だけでなく、疲労回復に役立つビタミンB1も含まれています。豚肉を薄切りにし、生姜、醤油、みりん、酒で作ったタレに漬け込み、フライパンで焼けば簡単に作れます。
2. タンパク質を多く含む食材
タンパク質は、筋肉の維持・増強に必要不可欠な栄養素であり、テストステロンの分泌にも関与しています。鶏肉、魚、大豆製品、牛乳、ヨーグルトなどに多く含まれています。
- 鶏むね肉のソテー:高タンパク低脂質である鶏むね肉は、健康維持にも最適。鶏むね肉を一口大に切り、塩コショウで下味をつけてフライパンで焼けば完成です。、。
- 鮭の塩焼き:鮭にはタンパク質に加えて、血行促進効果に期待できるDHA・EPAも豊富に含まれています。鮭に塩を振り、グリルで焼けば手軽に作れます。
3. ビタミンDを多く含む食材
ビタミンDは、テストステロンの産生を促進する効果が期待されています。魚介類(鮭、マグロ、いわしなど)、きのこ類、卵などに多く含まれています。
- きのこのマリネ:さまざまなきのこを組み合わせてマリネにすれば、彩り豊かで栄養価の高い一品に。きのこを炒め、酢、オリーブオイル、ハーブなどで作ったマリネ液に漬け込めば完成です。
- きのこのホイル焼き:きのこをホイールに包んで、レンジで加熱するだけ。
4. マグネシウムを多く含む食材
マグネシウムは、テストステロンの産生を高める効果や、ストレス軽減効果が期待されています。アーモンド、くるみ、ひまわりの種、納豆、ほうれん草などに多く含まれています。
- アーモンドやくるみなどのナッツ類:間食として手軽にマグネシウムを摂取。アーモンドとくるみを混ぜて、そのまま食べるだけで栄養補給ができます。
- ひじきやわかめなどの海藻類:漬物や汁物に入れると、手軽にミネラル補給ができます。
これらの食材をバランス良く取り入れ、規則正しい食生活を心がけることで、男性更年期障害の症状改善につながるでしょう。
ただし、食生活だけで全ての症状が改善するとは限りません。症状が重い場合や、食生活の改善だけでは十分な効果が得られない場合は、医療機関を受診し、専門医の診断と適切な治療を受けることが重要です。ご自身の体調に合わせて、無理なく食事に取り入れてみてください。
避けたい食べ物や注意点
男性ホルモンであるテストステロンの分泌を阻害するような食事は避け、バランスの良い食習慣を心がけることで、更年期障害の症状を軽減したり、発症を遅らせたりできる効果に期待できます。
加齢とともにテストステロンの分泌量が低下していくのは自然な流れですが、日々の食生活を通して、テストステロンの産生をサポートしたり、テストステロンがより効果的に働くように整えることは可能です。
毎日の食生活で、何を避け、何に気を付けたら良いのか、具体的に見ていきましょう。
避けたい食べ物
男性更年期障害の予防には、特定の食べ物を避ける、もしくは摂取量を調整することが有効です。
高脂肪・高糖質の食品は、内臓脂肪の蓄積を促進し、テストステロンの減少に繋がることがあります。内臓脂肪は、テストステロンを女性ホルモンの一種であるエストロゲンに変換する酵素「アロマターゼ」の働きを活発化させるため、結果としてテストステロンの低下を招いてしまうのです。具体的には、揚げ物、スナック菓子、菓子パン、清涼飲料水などは控えめにしましょう。
また、加工食品は、食品添加物が多く含まれており、それらがホルモンバランスに影響を与える可能性も懸念されています。ハム、ソーセージ、インスタントラーメンなどは、摂取頻度や量に注意が必要です。
食習慣の見直しのポイント
更年期障害の予防には、食習慣全体を見直すことが重要です。
まず、規則正しい食生活を心がけましょう。毎日同じ時間に食事をすることで、体内時計が整い、ホルモンバランスも安定しやすくなります。朝食は、体内時計をリセットし、1日の活動リズムを整えるために重要です。また、夕食は、就寝の3時間前までに済ませることで、睡眠の質を高めることに繋がります。
次に、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。男性ホルモンの産生や働きに必要な栄養素として、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどが挙げられます。肉、魚、卵、野菜、果物など、多くの種類の食品をバランス良く摂取するようにしましょう。
食べ過ぎにも注意が必要です。食べ過ぎは肥満の原因となり、男性ホルモンの減少につながる可能性があります。腹八分目を意識し、よく噛んでゆっくり食べることも、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎ防止に効果的です。
アルコールやたばこはNG
アルコールとタバコは、男性更年期障害の症状を悪化させる可能性があり、注意が必要です。
アルコールは、肝臓に負担をかけ、テストステロンの代謝を阻害します。過剰なアルコール摂取は避け、適量を守ることが大切です。また、アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が失われやすく、ほてりや発汗などの更年期症状を悪化させる可能性があります。水分補給を意識しながら、お酒を楽しむようにしましょう。
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させ、血行不良を引き起こします。血行不良は、更年期障害の症状である冷えや肩こり、勃起不全(ED)などを悪化させる可能性があります。更年期障害の予防・改善のためには、禁煙を強く推奨します。
医師・栄養士のサポートも活用しよう
いざ食事を改善しようとしても、何から始めればいいのかわからないものです。ここでは、医師・栄養士などの専門家を活用する重要性を見ていきましょう。
自己判断には限界がある?症状に合った食事を選ぶ難しさ
先述した通り、男性更年期障害の予防や改善には、バランスの取れた食生活が欠かせません。しかし、更年期障害は症状が多岐にわたり、ご自身の症状に合った食事を判断することは容易ではありません。
例えば、更年期障害による不眠に悩んでいる方が、睡眠の質を高めるといわれる牛乳をたくさん飲んだとします。しかし、牛乳に含まれる乳糖をうまく消化できない体質の場合、かえって消化不良を起こし、不眠を悪化させてしまう可能性も考えられるでしょう。
また、更年期障害はホルモンバランスの乱れが原因の一つです。ホルモンバランスは、食生活だけでなく、睡眠時間、ストレスレベル、運動習慣など、様々な要因が複雑に絡み合って変動します。そのため、インターネットの情報に頼るだけでなく、医師や栄養士といった専門家のサポートを活用することが重要です。
専門家とともにより効果的な対策を
医師は、血液検査でホルモン値を測定したり、問診を通して症状や生活習慣を詳しく確認したりすることで、更年期障害の有無や重症度を正確に診断します。更年期障害以外にも、甲状腺機能低下症や糖尿病などの病気が隠れている可能性も考慮しながら、総合的な判断を行うのが主な役割です。
栄養士は、医師の診断結果を踏まえ、個々の状況に合わせた具体的な食事指導を行います。「何をどのくらい食べたら良いのか」「どんな調理法が適しているのか」といった具体的なアドバイスを受けることで、更年期障害の症状緩和や健康維持に繋がる食生活を送ることができるでしょう。
例えば、テストステロンの産生を促す栄養素として、タンパク質、亜鉛、ビタミンDなどが挙げられます。栄養士は、これらの栄養素をバランス良く摂取できるような献立作成のサポートもしてくれます。具体的には、肉や魚、卵、大豆製品、牡蠣、ナッツ類などを、ご自身の生活スタイルに合わせた形で、無理なく食生活に取り入れられるようアドバイスをもらえます。
医師と栄養士、それぞれの専門性を組み合わせて活用することで、より効果的に男性更年期障害の予防・改善に取り組むことができます。まずは、かかりつけの医師、もしくは地域の保健センターや医療機関で栄養相談を受けてみましょう。
更年期障害は、適切な対応によって症状をコントロールできる可能性が高い疾患です。自分だけで悩まずに、専門家のサポートを積極的に活用し、健康な毎日を送りましょう。
まとめ
男性更年期障害の予防・改善には、亜鉛、タンパク質、ビタミンD、マグネシウムといった栄養素を積極的に摂ることが重要です。牡蠣や牛肉、鶏肉、魚、ナッツ類など、具体的な食材を参考に、バランスの良い食事を心がけましょう。高脂肪・高糖質の食品、加工食品、過剰な大豆製品は控えめにし、規則正しい食生活を送りましょう。また、アルコールやタバコも症状悪化に繋がるため、注意が必要です。
食生活の見直しと合わせて、専門家である医師や栄養士のサポートも活用し、更年期障害の症状緩和・健康維持に繋がる食生活を目指しましょう。自分だけで悩まず、専門家の知恵を借りながら、健やかな毎日を過ごしてくださいね。