40代、責任ある仕事に追われ、家庭でも大黒柱として活躍するあなた。 しかし最近、どうも体がだるい、集中力が続かない、やる気が出ない…心当たりはありませんか?実はそれ、男性更年期障害のサインかもしれません。
厚生労働省の調査によると、40〜64歳の男性の約10〜17%が更年期障害の症状を経験している、もしくは疑いがあるというデータも。 働き盛りだからこそ、見逃しがちなこの症状。 もしかしたら、あなたもその一人かもしれません。
この記事では、男性更年期障害の原因から対策、具体的な予防策まで、40代男性の抱える悩みに寄り添いながら詳しく解説します。 ご自身やパートナーの健康管理に、ぜひお役立てください。
目次
40代の男性が更年期障害になる原因
40代といえば、仕事では管理職として部下の指導や育成、取引先との重要な交渉などを任され、家庭では住宅ローンや教育費の負担、両親の介護といった問題に直面するなど、責任が増える年頃です。責任感も強く、バリバリ働きたいのに、最近どうも体がだるい、集中力が続かない、やる気が出ない…。心当たりはありませんか?
このような症状は、男性更年期障害のサインかもしれません。この年代の男性に起こる更年期障害の原因を探り、ご自身と向き合うきっかけとして見ていきましょう。
男性ホルモン減少
男性更年期障害の主な原因は、男性ホルモンであるテストステロンの減少です。テストステロンは、精巣(睾丸)から分泌されるホルモンで、男性らしい体つきや性機能、活力、精神的な安定などに深く関わっています。
20代をピークに、加齢とともにテストステロンの分泌量は徐々に減少していくのが自然な流れです。これは誰にでも起こることで、自然老化現象の一つといえるでしょう。しかし、40代で仕事や家庭でのストレスが増大すると、この減少が加速してしまうことがあります。
テストステロンが減ると、性欲の減退や勃起機能の低下(ED:Erectile Dysfunction)といった性機能に関する症状だけでなく、抑うつ気分、イライラ、集中力の低下、疲労感、発汗、ほてり、睡眠障害など、心身ともにさまざまな不調が現れることがあります。血液検査でテストステロンの値を測定することで、男性更年期障害の可能性を調べることが可能です。
身体能力の低下
40代に入ると、身体能力の低下を実感する男性も少なくありません。筋力や持久力が衰え、疲れやすくなったり、以前は簡単にできていた作業が辛く感じたり、階段の上り下りで息切れがするようになったりすることがあります。
テストステロンは筋肉の成長や維持に重要な役割を果たしているため、テストステロンが減少すると筋力が低下しやすくなります。
また、更年期障害による自律神経(自分の意思とは無関係に働く神経。呼吸、消化、血液循環、体温調節、発汗、内分泌機能などの生命維持活動に関わる)の乱れも、身体能力の低下に拍車をかける可能性があります。
日々のストレス
現代社会は、常にストレスにさらされる環境です。特に40代は、仕事で責任ある立場を任されたり、家庭では子育てや親の介護など、さまざまなプレッシャーに直面することが多く、ストレスをため込みやすい年代といえます。
過剰なストレスは、自律神経のバランスを崩し、心身にさまざまな不調を引き起こします。動悸、息切れ、発汗、めまい、不眠、消化不良、食欲不振など、その症状は多岐にわたります。
また、ストレスはテストステロンの分泌を抑制する作用もあるため、男性更年期障害の症状を悪化させる要因となります。ストレスをうまく管理し、心身の健康を保つことが大切です。
外食・アルコール摂取が多い
食生活の乱れや過剰なアルコール摂取も、男性更年期障害の症状を悪化させる要因となるでしょう。外食が多いと、栄養バランスが偏りやすく、ビタミンやミネラルなどの不足を招きやすくなります。
特に、テストステロンの産生に必要な亜鉛が不足すると、テストステロンの分泌量が減少し、更年期障害の症状が悪化します。
また、アルコールはテストステロンの分泌を抑制する作用があるため、過剰に摂取すると更年期障害の症状を悪化させる可能性も考えられるでしょう。
40代の男性更年期障害の予防策
加齢とともにテストステロンは減少しますが、過度のストレスや不規則な生活習慣によって、その減少が加速してしまうことがあります。
仕事のパフォーマンス低下や日常生活への支障をきたす前に、食生活の見直しや適度な運動など今からできる予防策を始めてみましょう。
食生活の見直し
更年期障害の予防には、まず食生活の見直しから始めましょう。バランスの取れた食事は、ホルモンバランスを整え、心身の健康を維持する上で重要です。
特に意識して摂取したい栄養素は以下の通りです。
- 亜鉛: テストステロンの産生に必須のミネラル。牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類などに豊富に含まれています。
- ビタミンD: テストステロンのレベルを維持するのに役立つ。鮭、マグロ、卵などに含まれる他、日光浴によっても体内で生成されます。
- ビタミンB群: ストレス軽減や精神的な安定に寄与。豚肉、鶏肉、うなぎ、玄米などに多く含まれています。
- マグネシウム: 神経の興奮を抑え、リラックス効果をもたらします。ひじき、アーモンド、豆腐などに豊富に含まれています。
- 大豆イソフラボン: 女性ホルモンと似た働きをする成分で、更年期障害の症状を和らげる効果が期待されています。大豆、納豆、豆腐などに多く含まれています。
これらの栄養素を効果的に摂取するために、以下の点にも注意しましょう。
- 1日3食を規則正しく食べること:血糖値の急な変動を防ぎ、ホルモンバランスの安定につながります。朝食を抜くと集中力の低下や疲労感の原因になるため、きちんと食べることが大切です。
- 野菜をたっぷり摂ること:ビタミンやミネラル、食物繊維の補給に役立ちます。色の濃い野菜には抗酸化作用があり、酸化ストレスの軽減が期待できます。
- 加工食品やインスタント食品を控えること:添加物や糖分、塩分が多く含まれており、ホルモンバランスを乱す可能性があります。
更年期障害は、適切な対策を講じることで症状を軽減したり、予防したりすることが可能です。食生活の見直しは、更年期障害対策の第一歩といえるでしょう。毎日の食事内容を振り返り、改善できる点がないか考えてみてください。
適度な運動
更年期障害による身体能力の低下や、それに伴う倦怠感などを軽減するためには、適度な運動が効果的です。運動には、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、気分を安定させるセロトニンや、幸福感をもたらすエンドルフィンなどの分泌を促進する効果があります。
更年期障害における運動療法で推奨されるのは、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。有酸素運動は、心肺機能の向上だけでなく、精神的なストレス軽減、血行促進による冷えや肩こりの改善、自律神経の調整といった効果も期待できます。
また、軽い筋力トレーニングも更年期障害の予防や改善に有効です。筋力トレーニングは、加齢とともに減少する筋肉量を維持または増加させ、基礎代謝を向上させることで、更年期に起こりやすい体重増加や体型の変化、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防にも繋がります。
運動は、週に3回程度、1回あたり30分を目安に行うのが理想的です。例えば、通勤時に一駅分歩く、エスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすだけでも効果があります。無理のない範囲で、継続的に運動習慣を身につけることが大切です。
対策する際の注意点
ここまで述べたように、男性更年期障害の改善に向けて食事や運動習慣を見直すことは有効ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。
まず、インターネットや書籍などの一般的な健康情報を鵜呑みにして、自己流で極端な食事制限や特定の栄養素に偏った食事を続けることは避けましょう。体質や症状には個人差があるため、ご自身に合わない食事法は、かえって体調を崩す原因になりかねません。
サプリメントを使って栄養を補う場合も注意が必要です。例えば、テストステロンの分泌に関係する亜鉛やビタミンDは重要な栄養素ですが、過剰に摂取するとかえって体に負担をかける可能性があります。できるだけ食事から自然に摂ることを意識し、不足を感じた場合は医師や栄養士に相談するのが安心です。
また、激しい運動は逆効果になる場合もあります。更年期障害の症状がある方は、ご自身の体調に合わせて運動の種類や強度、時間などを調整し、決して無理はしないようにしましょう。
運動中にめまいや動悸、息切れなどの症状が現れた場合は、すぐに運動を中止し、安静にしてください。症状が改善しない場合は、医療機関を受診することが重要です。
まとめ
今回は、男性更年期障害の原因や予防策をご紹介しました。
男性更年期障害は、男性ホルモンの減少やストレス、生活習慣の乱れなどが原因で起こります。 仕事や家庭で責任が増える40代は、まさに男性更年期障害に陥りやすい年代といえるでしょう。
しかし、 食生活の見直しや適度な運動、質の高い睡眠を心がけることで、症状を和らげ、健やかな毎日を送ることができます。
まずはご自身の生活習慣を振り返り、できることから始めてみましょう 少しでも不安を感じたら、気軽に医療機関に相談することも大切です。