内視鏡検査を控えているけれど、食事や下剤の準備、当日の持ち物など、不安なことはありませんか? 実は、検査前の準備こそ、スムーズな検査と正確な診断結果を得るための重要なカギなのです。
本記事は、内視鏡検査を初めて受ける方にも分かりやすいよう、前日・当日の食事、薬や下剤、そして服装や持ち物まで、徹底的に解説した完全ガイドです。 検査前日の夕食は何時までに何を食べれば良いのか、検査当日は絶食?水も飲めないの? といった疑問から、下剤の種類や飲み方、副作用への対処法まで、具体的な方法を見ていきましょう。
内視鏡検査を受ける前の食事の準備3つのポイント

内視鏡検査は、口や鼻、肛門から内視鏡という細いカメラを挿入し、消化管(食道、胃、十二指腸、大腸など)の内部を観察する検査です。検査をスムーズに進め、正確な診断結果を得るためには、事前の準備、特に食事の内容が非常に重要です。
適切な食事を摂ることで、消化管内をきれいにし、検査の精度を高めることができます。初めての方でも安心して検査に臨めるよう、食事の準備について3つのポイントに絞って解説します。
検査前日の夕食について
検査前日の夕食は、消化の良いものを選び、夜9時までに済ませるようにしましょう。消化の良い食品とは、胃や腸で速やかに分解・吸収される食品のことです。具体的には、おかゆ、うどん、白米、よく煮た野菜、鶏肉や白身魚などの脂肪分の少ない食品がおすすめです。
反対に、脂っこいもの、食物繊維の多いもの、消化に悪いものは避けましょう。これらの食品は消化に時間がかかるため、検査当日に消化管内に残ってしまう可能性があり、検査の妨げになることがあります。
例えば、食物繊維は消化されにくいため、腸内に残留しやすく、検査の精度を低下させる可能性があります。また、脂肪分の多い食事は胃の排出を遅らせるため、検査中の不快感を引き起こす可能性があります。
検査当日の朝食について
検査当日は、原則として朝食は摂らないでください。水やお茶は飲んで構いませんが、カフェインを含むもの(コーヒー、紅茶など)や乳製品、糖分の多い飲み物は避けましょう。
これらの飲み物は、胃酸の分泌を促進したり、消化管の動きを活発にしたりする可能性があり、検査に影響を与えることがあります。
どうしても水分が必要な場合は、検査の1時間前までに、少量の水かお茶を飲むようにしてください。薬を服用している場合は、医師に相談の上、少量の水で服用しても良い場合があります。
食べてはいけないもの
検査前日と当日には、食べてはいけないものがあります。検査前日には、食物繊維の多い野菜(ごぼう、ほうれん草、ブロッコリーなど)、キノコ類、豆類、海藻類は避けましょう。
これらの食品は消化されにくく、検査の妨げになることがあります。また、脂っこい料理や、黒っぽい食品(こんにゃく、ひじきなど)も、検査画像に影響を与える可能性があるので控えましょう。検査当日は、固形物は一切食べてはいけません。
さらに、赤、紫、オレンジ色の食品(トマトジュース、ぶどうジュースなど)は、検査後の便の色に影響を与えることがあるため、避けるべきです。
特に、大腸内視鏡検査では、ポリープの発見率を高めるために、腸内をきれいにする必要があります。そのため、食事制限をしっかり守ることが重要です。
内視鏡検査のための薬と下剤の準備
内視鏡検査において普段服用している薬や、腸内をきれいにするための下剤の準備は、検査の精度や安全性を左右する重要な要素となります。この章では、内視鏡検査をスムーズに受けるための薬や下剤の準備について、詳しくご説明します。
普段服用している薬について
現在服用している薬がある場合は、必ず事前に医師に相談してください。薬の種類によっては、内視鏡検査の結果に影響を与えたり、検査中の出血リスクを高める可能性があります。自己判断で服薬を中止せず、必ず医師の指示に従うことが重要です。
特に注意が必要な薬としては、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)、糖尿病の薬、血圧の薬などがあります。抗凝固薬は、出血を止めにくくする作用があるため、検査前に服用を一時中断したり、服用量を調整する必要があるかもしれません。
糖尿病の薬は、血糖値をコントロールする薬ですが、検査前に絶食が必要なため、服用方法の変更が必要になる場合があります。血圧の薬も、検査前の絶食や水分摂取制限の影響を受ける可能性があるため、医師との相談が必要です。
お薬手帳をお持ちの方は、持参することで医師に薬の情報がスムーズに伝わり、適切な対応が可能になります。
下剤の種類と飲み方
大腸内視鏡検査では、腸の中をきれいにするために下剤を服用します。下剤には、大きく分けて経口腸管洗浄剤と刺激性下剤の2種類があります。
経口腸管洗浄剤(例:モビプレップ、ニフレック、ビジクリア)は、大量の水分を腸に送り込み、便を洗い流すタイプの薬です。粉末を水に溶かして服用します。2リットル程度の液体を飲む必要があり、人によっては飲みにくいと感じるかもしれません。
刺激性下剤(例:ピコスルファートナトリウム)は、腸を刺激して便の排出を促す薬です。錠剤や坐薬のタイプがあり、少量で効果を発揮します。ただし、腹痛などの副作用が出やすい傾向があります。
最近では、リン酸ナトリウムとポリエチレングリコール電解質を組み合わせた下剤も使用されています。
下剤は医師または看護師から指示された方法をきちんと守り、正しく服用することが大切です。
下剤を飲むタイミング
下剤を飲むタイミングも、使用する下剤の種類によって異なります。一般的には、検査前日の夜に刺激性下剤の服用を行い、検査当日に経口腸管洗浄剤を飲むケースが多いです。
いずれの場合も、医療機関から指示された時間通りに服用することが重要です。指示された時間以外に服用すると、腸管洗浄が不十分で検査がうまくできない場合や、逆に脱水症状を起こす場合があります。
下剤による副作用と対処法
下剤を服用すると、下痢や腹痛、吐き気、嘔吐、脱水症状などの副作用が現れることがあります。副作用が心配な方は、事前に医師に相談しておきましょう。
下痢や腹痛は、下剤の効果によって起こるものなので、ある程度は避けられません。水分をこまめに摂ることで、脱水症状を予防することができます。
吐き気や嘔吐がひどい場合は、服用を中断し、医師に連絡してください。大量に嘔吐すると、脱水症状を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。
内視鏡検査当日の持ち物と服装

いよいよ内視鏡検査当日。初めての検査であれば、緊張や不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
少しでも安心して検査に臨めるように、当日の持ち物や服装、検査後の注意点について詳しく解説します。事前の準備をしっかり行い、落ち着いて検査に臨みましょう。
必要な持ち物リスト
検査当日や検査前の診察時に必要な持ち物は、以下があげられます。事前に確認しておきましょう。
- マイナンバーカード・健康保険証:本人確認や検査費用を計算するために必須です。
- 診察券:過去の受診履歴を確認するために必要です。初診の場合は不要です。
- 紹介状:かかりつけ医などから紹介状を受け取っている場合は、必ず持参してください。
- お薬手帳:服用中のお薬があれば、必ず持参してください。
- 検査同意書:予め記入して持参することで、当日の手続きがスムーズになります。
- タオル:検査後、少量の出血がある場合に備えて持参しましょう。
- 替えの下着:万が一、検査後に下着が汚れる場合に備えて持参しましょう。
- お尻拭き用のウェットティッシュ:検査後に使用すると、より清潔に過ごせます。
- 自動植込み型除細動器(AICD)ウォレットカード:AICDを装着している方は、必ず持参してください。内視鏡検査においても、AICDに関する情報は重要です。
- 救急吸入器:喘息をお持ちの方は、念のため持参しましょう。
- 眼鏡ケース・入れ歯ケース:眼鏡や入れ歯を使用している方は、検査中は外す必要があるため、ケースを持参しましょう。
- 医療委任状:作成している方は持参してください。
上記以外にも、医療機関から指示されたものがあれば、忘れずに持参してください。予約票や検査費用に関する書類なども確認しておきましょう。
服装の注意点
検査当日の服装は、検査を受けやすく、リラックスできるものを選びましょう。検査前後の着替えやすさも考慮すると、以下の点が重要です。
- 締め付けの少ない服装:検査着に着替える場合もありますが、検査前後の着替えやすさを考慮し、締め付けの少ない、ゆったりとした服装がおすすめです。
- アクセサリー・化粧・ネイル:アクセサリー類は検査前に外すように指示される場合が多いです。
- 靴:検査室ではスリッパに履き替えることが多いです。脱ぎ履きしやすい靴で来院しましょう。
まとめ
内視鏡検査をスムーズに受けるための前日・当日の準備について解説しました。検査前日は、消化の良いものを夜9時までに済ませ、繊維質の多いものや脂っこいものは避けましょう。
検査当日は、原則絶食です。水やお茶は摂取可能ですが、カフェインや糖分を含むものは避けましょう。服用中の薬がある場合は、必ず医師に相談してください。大腸内視鏡検査では、検査前日から下剤の服用が必要になります。医師の指示に従い、正しく服用しましょう。
検査当日は、マイナンバーカード(健康保険証)、診察券、お薬手帳など必要な持ち物を忘れずに持参し、締め付けのない楽な服装で来院しましょう。