みぞおちのキリキリ、食後の胸やけなどの胃の不調に、「胃潰瘍では?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。胃潰瘍は、強力な胃酸から自らを守るバリア機能が壊れ、胃の粘膜が深くえぐられてしまう病気です。
胃潰瘍では約8割、十二指腸潰瘍ではほとんどの患者さんに「ピロリ菌感染」が関係していることがわかっています。(※1)普段何気なく服用している市販の痛み止めが、胃を傷つけているケースもあります。
この記事では、胃潰瘍が示す危険なサインから、ピロリ菌をはじめとする原因、治療法や再発を防ぐ生活習慣まで詳しく解説します。自己判断で放置せず、正しい知識でご自身の体を守る第一歩としましょう。
目次
胃潰瘍の主な症状6つ
胃潰瘍の症状は一つだけ現れることもあれば、複数が同時に現れることもあります。ここでは、胃潰瘍の主な症状として、以下の6つを解説します。
- ①食後・空腹時に現れるみぞおちの痛み
- ②胸やけ・吐き気・食欲不振
- ③黒い便(タール便)や吐血
- ④体重減少や倦怠感など全身症状
- ⑤背中や肩に広がる痛み
- ⑥食後の膨満感や胃の張り
①食後・空腹時に現れるみぞおちの痛み
胃潰瘍で多い症状が、みぞおち(心窩部)の痛みです。特に痛みの出るタイミングは、診断の大きな手がかりとなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状の特徴 | 食事中〜食後30分〜1時間にかけて、キリキリまたはシクシクと痛む |
| 原因 | 胃酸や食物が潰瘍部分に直接触れ、傷口を刺激するため |
| 放置による危険性 |
潰瘍が深くなり、胃穿孔や出血の恐れがあります。 ※重症化する前に早めの受診をお勧めします。 |
| 類似疾患との違い | 十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に痛みが出やすい傾向があります。 |
痛みの出る時間帯の違いは、胃潰瘍と十二指腸潰瘍を見分ける大切なポイントです。
②胸やけ・吐き気・食欲不振
みぞおちの痛みに加え、胃の不快感を伴うことがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状の特徴 | 胸やけ(胸の焼ける感覚や酸っぱい逆流)、吐き気、食欲低下 |
| 原因 | 胃潰瘍による炎症で胃の運動機能が低下し、食べ物が停滞して胃酸が食道へ逆流するため |
| 放置による危険性 | 栄養不足や体力低下のリスク、逆流性食道炎など他疾患の可能性あり |
症状が続く場合は、自己判断せず、消化器内科などでの診察を受けることが重要です。
③黒い便(タール便)や吐血
胃潰瘍で出血が起きると、命に関わる緊急事態になることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状の特徴 | 黒く変色した便(タール便)、赤い血やコーヒーかす状の嘔吐物 |
| 原因 | 潰瘍が血管を傷つけ出血し、血液のヘモグロビンが胃酸で酸化して黒く変化するため |
| 放置による危険性 | 大量出血によるショックや命の危険があるため、早急な治療が必要 |
特に、以下のような症状が現れたら緊急度が高いので、医療機関を受診しましょう。
- ●イカ墨のような真っ黒でドロドロした便が出た
- ●コーヒーかすのような黒いものを吐いた
- ●急なめまい、立ちくらみがある
- ●動悸や冷や汗が止まらない
④体重減少や倦怠感など全身症状
胃潰瘍は胃だけの問題ではなく、以下のように全身の健康状態に影響を及ぼすことがあります。
- ●体重減少:食後の痛みや食欲不振で食事量が減り、栄養不足になる
- ●倦怠感や疲労感:胃の消化吸収低下や貧血により体が酸素不足になる
- ●息切れや顔色の不良:鉄欠乏性貧血による酸素運搬能力の低下
胃潰瘍は胃の症状にとどまらず、栄養状態や血液状態に影響を与えるため、全身の変化にも注意が必要です。
⑤背中や肩に広がる痛み
胃潰瘍の痛みは、みぞおちだけでなく背中や肩に及ぶことがあります。これは「関連痛」と呼ばれ、筋肉痛と見分けにくいこともあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状の特徴 | みぞおちの痛みと同時に、背中(肩甲骨の間)や左肩に鈍い痛みが響く |
| 原因 | 胃の痛みを伝える神経と背中・肩の感覚神経が脊髄の同じ高さでつながっており、脳が痛みの位置を誤認する(関連痛) |
| 放置による危険性 | 胃潰瘍が進行して胃壁を突き破り、膵臓など背部の臓器に炎症が広がる「穿通(せんつう)」が現れる可能性あり |
単なる筋肉痛と自己判断せず、みぞおちの痛みに伴う背部痛があれば、潰瘍が悪化しているサインと考え、早めに医療機関を受診してください。
⑥食後の膨満感や胃の張り
胃潰瘍では、食後に胃が張る・重いなどの不快感が出ることがあります。これは、潰瘍の炎症で胃のぜん動運動が弱まり、食べ物が長く胃に滞留するためです。
一方で、このような症状は胃潰瘍だけでなく、機能性ディスペプシアをはじめとした他の病気の可能性もあります。機能性ディスペプシアは治療法が異なるため、胃カメラ(内視鏡検査)で胃の状態を直接確認し、正確な診断を受けることが重要です。食事を楽しめないほどの不快感が続く場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。
胃潰瘍の主な2つの原因
胃潰瘍は、食べ物を消化するための強い酸(胃酸)と、胃を守る粘液とのバランスが崩れ、胃に負担をかける力が強まることで起こります。主な原因は以下の2つです。
- ①ピロリ菌感染
- ②NSAIDs(痛み止め)による薬剤性胃潰瘍
①ピロリ菌感染
胃潰瘍の原因の8割以上は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染によるものです。(※1)幼少期に井戸水などを介して口から感染することが多く、高齢の方ほど感染率が高い傾向があります。
ピロリ菌は以下のような働きで胃潰瘍を引き起こします。
- ●有害物質による直接攻撃:アンモニアなどが胃粘膜細胞を傷つける
- ●防御バリアの破壊:慢性炎症で粘液の保護機能が低下する
- ●胃酸分泌のコントロール異常:胃酸が過剰に分泌される
このように、胃の防御因子を弱め、攻撃因子を強めることで潰瘍を発生しやすくします。検査は呼気検査や便検査で簡単に行え、感染時は抗菌薬を1週間服用する「除菌治療」で再発リスクを低減できます。
②NSAIDs(痛み止め)による薬剤性胃潰瘍
頭痛や生理痛などで使われる痛み止め(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)は、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどが代表例です。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛みや炎症の原因となる物質の働きを抑えることで、痛みを和らげたり炎症を軽くしたりする作用があります。一方で、同じ仕組みによって胃の粘膜を保護する役割を持つプロスタグランジンの生成も減少してしまうため、胃への負担や潰瘍といった症状が現れるのです。
特に以下に該当する方は、薬剤性胃潰瘍にかかりやすい状態なので注意しましょう。
- ●高齢の方(65歳以上)
- ●過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある方
- ●ピロリ菌に感染している方
- ●複数の種類のNSAIDsを併用している方
- ●ステロイド薬や抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を一緒に飲んでいる方
痛み止めによって胃痛を感じにくく、出血症状で初めて気づくこともあります。市販薬でも長期間の服用は避け、異変を感じたら医師や薬剤師に相談しましょう。
胃潰瘍は人にはうつらない
胃潰瘍はインフルエンザのような感染症ではなく、他人にうつる病気ではありません。咳やくしゃみ、食器の共有などで感染する心配はないため、過度に接触を避ける必要はありません。
ただし、ピロリ菌は人から人へ感染する可能性があります。知っておきたいポイントは以下のとおりです。
- ●主な感染時期:免疫力が未発達な幼少期(5歳ごろまで)に感染することが多い
- ●感染経路:感染者からの食べ物の口移し、衛生状態が不十分だった時代の井戸水など
- ●現代の感染リスク:衛生環境の改善により、大人になってからの新規感染は極めて低い
ピロリ菌陽性と診断された場合は、同じ環境で育った兄弟姉妹や胃の不調がある家族に、検査する選択肢を伝えておきましょう。
胃潰瘍の対処法
胃潰瘍の治療の基本は、原因を取り除いて、胃を守り、治癒を促すことです。ここでは、診断から治療、生活上の注意点まで、以下の4つに分けて解説します。
- ●胃カメラ(内視鏡)
- ●薬物療法
- ●内視鏡治療・外科手術
- ●仕事を休めない場合の注意点
胃カメラ(内視鏡)
胃潰瘍の正確な診断と適切な治療方針の決定には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が欠かせません。口または鼻から細いスコープを挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察します。主な目的は以下のとおりです。
- ●正確な状態把握:潰瘍の有無・大きさ・深さ・形・活動性を詳細に評価
- ●がんとの鑑別:見た目が似ている胃潰瘍と胃がんを、生検で確定診断する
- ●原因の特定:採取した組織でピロリ菌感染の有無を迅速に判定
- ●緊急時の治療:出血があればその場で止血処置が可能
検査は通常10分程度で終了します。鎮静剤(静脈麻酔)を使用すれば、眠っている間に楽に受けられます。不安が強い場合は、事前に医師へ相談すると安心です。
薬物療法
主な胃潰瘍の治療は、薬物療法です。目的は、胃酸(攻撃因子)の分泌を抑えて粘膜の修復を促すことです。症状や原因に応じて、以下の薬を組み合わせて使用します。
| 薬の種類 | 主な働きと特徴 |
|---|---|
| 胃酸分泌抑制薬 |
・胃酸を作る「蛇口」を強力に閉める ・胃酸分泌そのものを抑え、高い治療効果を発揮(例:PPI、P-CAB) |
| 胃粘膜保護薬 |
・傷ついた粘膜に「絆創膏」のように付着して保護 ・血流を増やし修復を促進 |
| 制酸薬 |
・出てしまった胃酸を化学的に中和する ・粘膜の血流を増やして、組織の修復を早める |
通常は4〜8週間ほど服用を継続します。症状が早く改善しても、自己判断で中断すると再発リスクが上がるため、必ず医師の指示に従いましょう。
胃カメラでピロリ菌感染が判明した場合は、これらの薬と並行して除菌療法を行います。除菌療法は、抗菌薬2種類と胃酸を抑える薬を1〜2週間服用する方法です。
ある研究では約9割の方が除菌に成功し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発リスクを大きく減らしたという報告があります。(※3)
内視鏡治療・外科手術
胃潰瘍はほとんどの場合、薬物療法で改善しますが、合併症を伴った重症例では専門的な処置が必要です。主な治療法と特徴は、以下のとおりです。
- 胃カメラで出血部位を確認し、小型クリップで血管を挟む(クリッピング術)
- 特殊薬剤を注入して血管を固める
- 出血が続く場合に実施
- お腹を切らず体への負担が少ない
- 胃の穴を縫合する
- 潰瘍を含めて胃の一部を切除
- 穿孔(胃壁に穴が開き腹膜炎を起こす危険)
- 内視鏡で止血困難な出血
- 瘢痕による狭窄で食べ物が流れにくい
- 難治性潰瘍(薬物療法でも改善しない)
| 治療法 | 主な内容 | 適応・特徴 |
|---|---|---|
| 内視鏡治療 |
|
|
| 外科手術 |
|
|
外科手術は最終手段ですが、重篤な合併症から命を守るために必要な治療です。
仕事を休めない場合の注意点
胃潰瘍の治療でも仕事を休めない場合は、以下のポイントを意識して取り入れましょう。
- 一度に多く食べず、1日4〜5回の分食にする
- 消化の良い食品を選ぶ(おかゆ、うどん、豆腐、白身魚、鶏ささみなど)
- 揚げ物や香辛料、コーヒー、アルコールは控える
- 処方薬を自己判断で中断しない
- 用法・用量を必ず守り、症状が軽くなっても飲み切る
- 仕事の合間に深呼吸や軽いストレッチで緊張をほぐす
- 十分な睡眠を確保し、夜更かしを避ける
診断書を提出し、業務内容や負担の軽減を相談する
| 対策のポイント | 実践方法 |
|---|---|
| 食事の管理を徹底する |
|
| 薬の服用を忘れない |
|
| ストレスを上手に受け流す |
|
| 職場での配慮を得る |
診断書を提出し、業務内容や負担の軽減を相談する |
無理は禁物です。痛みが強まる、黒い便が出る、めまいがするなどの症状が現れた場合は、なるべく早く医療機関を受診してください。
胃潰瘍の回復を早める生活習慣のポイント5つ
胃潰瘍の回復を早める生活習慣のポイントは、以下の5つです。
- ①消化に優しい食事を選ぶ
- ②アルコール・コーヒー・タバコを控える
- ③治療期間中は無理なく仕事・学業を続ける
- ④ストレスを減らすセルフケアを実践する
- ⑤規則正しい睡眠と十分な休養を取る
胃の防御力を高め、少しでも早く健康を取り戻しましょう。
①消化に優しい食事を選ぶ
胃潰瘍の治療中や回復期では、胃の状態はデリケートです。この時期の食事は「消化のしやすさ」を最優先に考え、胃の負担を最小限に抑えることが大切です。
食事で心がけるべき3つのポイントは以下のとおりです。
- ●調理法を工夫する:「煮る・蒸す・ゆでる」調理法で、食材を柔らかくする
- ●腹八分目を心がける:満腹まで食べずに消化活動を抑える
- ●食事の時間を守る:就寝の3時間前までに済ませる
具体的にどのような食材を選べばよいか、以下の表を参考に日々の献立を考えてみてください。
| 分類 | 胃に優しいおすすめの食材 | 回復期に避けたい食材 |
|---|---|---|
| 主食 | おかゆ、柔らかく炊いたご飯、うどん、食パン | 玄米、食物繊維の多いパン、ラーメン、パスタなどの中華麺 |
| タンパク質 | 白身魚(たら、かれい)、鶏ささみ・胸肉(皮なし)、豆腐、卵、牛乳・ヨーグルト | 脂身の多い肉(豚バラ肉など)、加工肉(ベーコン、ソーセージ)、青魚(さば、さんま)、貝類 |
| 野菜 | じゃがいも、かぼちゃ、大根、にんじん、キャベツ、ほうれん草(すべて柔らかく煮込む) | ごぼう、たけのこ、きのこ類など食物繊維が多いもの、香味野菜(にら、にんにく、玉ねぎ) |
| 果物 | バナナ、りんご(すりおろしが望ましい)、桃 | 柑橘類(みかん、グレープフルーツ)、パイナップルなど酸味が強いもの |
脂肪分や食物繊維が多い食品は消化に時間がかかります。香辛料や酸味の強い食品は、胃酸の分泌を直接促したり、弱った粘膜を刺激したりするため、注意しましょう。
②アルコール・コーヒー・タバコを控える
アルコール、カフェイン、タバコは、胃潰瘍の悪化や再発に直結する「三大リスク」の嗜好品です。治療効果を高め、再発を防ぐために、以下のポイントを押さえましょう。
胃の健康のために控えていただきたいもの
胃への影響
粘膜を直接刺激し炎症を悪化させます。また、胃酸の分泌を過剰に促進します。
控える理由・代替案
- 治療中は禁酒が原則です。
- 回復後も、食事と一緒に少量を嗜む程度に留めてください。
胃への影響
胃酸の分泌を促進し、胃粘膜への負担を強めます。
控える理由・代替案
- 症状がある間は、コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクを避けてください。
- 代替品として、麦茶やハーブティーがおすすめです。
胃への影響
- 血管収縮により粘膜の血流が低下します。
- 胃粘膜の修復力が阻害されます。
控える理由・代替案
再発防止と早期回復のため、完全禁煙が必須です。
③治療期間中は無理なく仕事・学業を続ける
胃潰瘍の治療では、薬の服用と並行して「心身の休養」を取ることが回復への近道です。しかし、仕事や学業を完全に休めない場合もあります。その場合は、負担を減らしながら治療と両立する工夫が重要です。
無理なく仕事・学業を続けるポイントを表にまとめています。
工夫の内容
- 残業や休日出勤を避ける
- 夜更かしでの勉強を控える
- 上司や先生に相談して業務や課題を調整してもらう
目的
胃へのストレスと疲労を減らし、回復を促進します。
工夫の内容
- 昼休みに食事を急がずゆっくり取る
- 食後に少し目を閉じて休む
- 深呼吸などで緊張を和らげる
目的
自律神経を整え、胃の負担を軽減します。
工夫の内容
- 症状が重い場合は「傷病手当金」などを申請
- 会社や健康保険組合に制度の有無を確認
目的
経済的な不安を減らし、安心して治療に専念します。
無理を続けると回復が遅れるだけでなく、穿孔や出血などの重篤な合併症の危険が高まります。体を最優先に守る判断を心がけましょう。
④ストレスを減らすセルフケアを実践する
過度なストレスは、自律神経の乱れを引き起こし、胃潰瘍の発症や再発の大きな要因となります。薬で潰瘍が治っても、ストレス環境が続けば再び悪化する可能性が高まります。
以下のような日常生活で取り入れられるセルフケアを実践し、心と体の両面から胃を守りましょう。
実践内容
- 腹式呼吸(1日数回、お腹を膨らませてゆっくり吸い、長く吐く)
- 38〜40℃のぬるめ入浴でゆったり温まる
期待される効果
副交感神経を優位にし、心身の緊張を和らげる
実践内容
- ウォーキング
- ヨガ
- 軽いストレッチ
期待される効果
自律神経を整え、気分転換を促す
実践内容
- 音楽を聴く
- 読書をする
- 友人と会話を楽しむ
期待される効果
心のリフレッシュ・ストレス解消
ストレスを完全になくすことはできませんが、複数の対処法を持つことで、ストレスと上手に付き合い、胃潰瘍の再発予防にもつながります。
⑤規則正しい睡眠と十分な休養を取る
睡眠は、1日の疲れを癒やし、体の修復を促す重要な時間です。胃潰瘍の回復期における質の良い睡眠は、胃粘膜の再生を助け、再発予防にもつながります。
睡眠には胃を守る大切な働きがあります。眠っている間に胃粘膜の細胞が活発に新陳代謝を行い、潰瘍の回復を助けてくれるうえ、副交感神経が優位になることで胃酸の過剰分泌や血流低下も防がれ、胃にとって安定した環境が整うのです。
質の良い睡眠をとるために以下の3つのポイントを意識しましょう。
- ●生活リズムを一定に保つ:毎日同じ時間に就寝・起床し、朝は日光を浴びて体内時計をリセットする
- ●寝る前の環境を整える:スマホやPCの使用を控え、部屋を暗く静かに保ち、リラックスできる環境を作る
- ●こまめに休憩を取る:夜間の睡眠だけでなく、日中も意識的に体を休ませる時間を確保する
ご自身の体を大切にする生活を今日から始めてみてください。
まとめ
みぞおちの痛みや胸やけ、黒い便などの症状は、胃が発する大切なSOSサインです。背景には、ピロリ菌や痛み止めなどの薬剤や、日々のストレスなどの要因が隠れていることがあります。
胃潰瘍は原因を特定し、薬物療法と生活習慣の見直しを行うことで、きちんと治せる病気です。大切なのは「ただの胃もたれ」と軽視せず、自分の体の変化に気づいてあげることです。
自己判断による我慢はしないで、気になる症状があれば、ためらわずに消化器内科などの専門医へ相談しましょう。
参考文献
※1.A Ateshkadi, N P Lam, C A Johnson.Helicobacter pylori and peptic ulcer disease.Clin Pharm,1993,12,1,p.34-48.
※2Aleksandra Góralczyk-Bińkowska, Dagmara Szmajda-Krygier, Elżbieta Kozłowska.The Microbiota-Gut-Brain Axis in Psychiatric Disorders.Int J Mol Sci,2022,23,19,p.11245.
※3D Y Graham, G M Lew, H M Malaty, D G Evans, D J Evans Jr, P D Klein, L C Alpert, R M Genta.Factors influencing the eradication of Helicobacter pylori with triple therapy.Gastroenterology,1992,102,2,p.493-496.
