「うちの子の歯並び、少し気になる」と、不安を抱いていませんか? 実は、歯並びの乱れは遺伝だけでなく、指しゃぶりや口呼吸などの生活習慣が大きく関係しています。
「乳歯だからそのうち大丈夫」と放っておくと、永久歯が正しく生えるスペースが確保できず、将来的に本格的な矯正が必要になることもあります。見た目のコンプレックスや発音・呼吸への影響など、心身の発達にも関わる問題です。
この記事では、子供の歯並びが悪くなる原因や早期治療のメリット、矯正を始めるタイミングをわかりやすく解説します。正しい知識を持つことで、お子さんの健やかな成長と笑顔を守る第一歩につながります。
目次
子供の歯並びが悪くなる原因
子供の歯並びが悪くなる背景には、遺伝だけでなく、日常の癖や成長の過程で起こるバランスの乱れなど、複数の要因が関係しています。なかでも生活習慣や口周りの筋肉の使い方、顎の発達に関わる骨格的な特徴は大きな影響を与えます。
ここでは、歯並びを乱す主な原因として以下の3つを解説します。
①指しゃぶり・口呼吸・頬杖などの生活習慣
②咬合異常を引き起こす成長バランスの乱れ
③遺伝や顎の大きさによる骨格的な要因
①指しゃぶり・口呼吸・頬杖などの生活習慣
子供の歯並びを乱す大きな原因の一つが、日常の何気ない生活習慣です。指しゃぶりや口呼吸、頬杖などの癖は、顎や歯に偏った力をかけ続け、成長のバランスを崩すことがあります。
指しゃぶりは、前歯を押し出して「出っ歯」や「開咬」を引き起こし、口呼吸は舌の位置を下げて上顎の成長を妨げ、歯が並ぶスペースを狭めます。頬杖は片側の顎に圧力をかけ、顔の歪みや噛み合わせのズレにつながることもあります。
こうした癖は子供自身が自覚しにくく、気づかないうちに歯並びへ影響を及ぼします。家族が日常の姿勢や呼吸の様子を観察し、早い段階で改善を促すことが、健康な歯並びを守るための重要なポイントです。
②咬合異常を引き起こす成長バランスの乱れ
子供の歯並びの乱れは、歯や顎の問題にとどまらず、舌の位置や筋肉の使い方、姿勢など全身の成長バランスの乱れが関係しています。舌の使い方や噛む力の弱さは、顎の発達に深く関わり、歯並びに以下のような影響を与える可能性があります。
| 要因 | 影響 |
| 舌の位置の異常 | 舌が低い位置にある「低位舌」や、飲み込むときに舌で前歯を押す「異常嚥下癖」により、前歯が押し出されて出っ歯や開咬を引き起こす |
| 噛む力の不足 | ・柔らかい食事が多いと顎の発達が不十分になり、永久歯が並ぶスペースが不足する ・噛む刺激が少ないと筋肉や骨の成長も遅れ、歯の重なりやねじれが生じる |
| 姿勢の乱れ | ・猫背や前かがみの姿勢は、舌や口周りの筋肉バランスを崩し、口呼吸を誘発する ・顎の成長を妨げ、歯並びを悪化させる要因になる |
このように、歯並びを整えるためには、口の中だけでなく全身の成長バランスを意識して整えることが欠かせません。
③遺伝や顎の大きさによる骨格的な要因
子供の歯並びには、遺伝的な骨格の特徴も一定の影響を及ぼします。ただし、「歯並びそのもの」が遺伝するのではなく、顎や歯の大きさ、骨格のバランスなどの要素が似ることで、結果的に歯並びが乱れやすくなる場合があります。
主に次のような遺伝的要因が関係します。
- 顎の大きさ:顎が小さいと歯が並ぶスペースが足りず、歯が重なりやすくなる
- 歯の大きさ:歯が大きい場合、顎とのバランスが取れず歯列が乱れやすい
- 骨格のバランス:上下の顎の位置関係や顔の形に影響し、噛み合わせにも関わる
しかし、歯並びは遺伝だけで決まるわけではありません。海外の研究では、母乳で育てる期間が長いほど顔の輪郭がわずかに平坦になる傾向が報告されていますが、その差はごくわずかで目立たないとされています。(※1)
このことからも、歯並びは遺伝と生活習慣の両方が影響するものであり、日々の習慣を整えることでより良い発達を促すことが可能です。
子供の「乳歯だから大丈夫」は間違い?放置によるリスク
「乳歯はいずれ抜けるから大丈夫」と思って放置すると、将来の歯並びや成長に悪影響を及ぼすことがあります。乳歯は永久歯がきれいに生えるための基盤であり、この時期の乱れを放置すると、噛み合わせや発音、心の発達にも影響が出ることがあります。
乳歯の歯並びを放置することによる主なリスクは以下のとおりです。
- 噛み合わせの乱れが成長に影響する可能性
- 発音・咀嚼・呼吸機能に悪影響を及ぼす
- 見た目によるストレスで自己肯定感が下がることも
- 永久歯がズレて生え、本格矯正が難しくなる
- 小学校低学年での対処が抜歯回避につながるケースも
噛み合わせの乱れが成長に影響する可能性
子供の歯並びが乱れると、上下の歯が正しく噛み合わず「噛み合わせの乱れ」が生じます。このズレは口の中だけにとどまらず、栄養の吸収や顎の発達、さらには全身の姿勢や運動能力にまで影響を及ぼすことがあります。
主な原因とその影響を以下の表にまとめています。
| 原因 | 影響 |
| 咀嚼機能の低下と栄養吸収への影響 | ・食べ物を十分に噛まず丸呑みになりやすく、消化器官に負担がかかる ・吸収率が悪くなり、成長期の体作りに影響する可能性がある |
| 顎と顔の骨格のゆがみ | ・偏った噛み方の習慣で筋肉のバランスが悪くなり、顎関節に負担がかかる ・顔の骨格が左右非対称に成長してしまう恐れがある |
| 全身のバランスと運動能力への影響 | ・噛み合わせのズレが姿勢の歪みや全身の筋肉の緊張を引き起こす ・運動時のバランスや踏ん張る力にも影響することがある |
このように、一見小さな噛み合わせの乱れが、成長や姿勢、体の機能にまで影響を広げることがあります。早めに気づき、正しい噛み合わせを整えることが健やかな発達には大切です。
発音・咀嚼・呼吸機能に悪影響を及ぼす
子供の歯並びの乱れは、見た目だけでなく「話す」「食べる」「呼吸する」などの基本的な機能にも深く関わっています。歯の位置がずれることで、発音が不明瞭になったり、噛む力が弱まったり、口呼吸が習慣化するなど、日常生活に影響を及ぼします。
主な影響と原因は以下のとおりです。
| 影響 | 原因・結果 |
| 発音への影響 | ・歯と歯の間に隙間があると息が漏れ、「サ行」や「タ行」が不明瞭になりやすい ・滑舌の悪さが目立ち、会話に自信を失うこともある |
| 咀嚼への影響 | ・前歯で噛み切り、奥歯ですり潰す動作がスムーズに行えず、硬い食べ物を避けるようになる ・柔らかい食事が増え、顎の発達に必要な刺激が不足する |
| 呼吸への影響 | ・出っ歯や受け口では唇を閉じにくく、口呼吸が習慣化しやすい ・口腔内が乾燥して虫歯や歯肉炎、口臭のリスクが高まる |
このように、歯並びの乱れは単なる見た目の問題ではなく、発達や生活の質に直結する重要なサインです。
見た目によるストレスで自己肯定感が下がることも
子供の歯並びの問題は、心の成長にも影響を及ぼすことがあります。思春期に入ると、見た目への意識が高まり、歯並びを気にして笑顔を控えたり、人前で話すことをためらったりする子も少なくありません。
小さな不安や恥ずかしさの積み重ねが、自信の低下や人間関係への消極性につながることがあります。海外の研究でも、歯並びに対する本人の悩みが学業成績に悪影響を及ぼす可能性があると報告されています。(※2)
歯並びの悩みは単なる見た目の問題ではなく、子供の心や学びの意欲にも関わる重要なサインです。子供が自分らしく笑い、自信を持って過ごせるよう、気持ちに寄り添う姿勢が大切です。
永久歯がズレて生え、本格矯正が難しくなる
乳歯の歯並びや健康状態は、永久歯の生え方に直接影響します。乳歯は、永久歯を正しい位置に導く「ガイド」としての重要な役割も担っています。そのため、乳歯が虫歯で早く抜けたり、歯並びが乱れていたりすると、永久歯が正しい場所に生えないリスクが高まります。
主に以下のような問題が生じます。
- 乳歯の早期喪失:虫歯などで乳歯を早く失うと、隣の歯がその隙間に倒れ込み、永久歯が生えるスペースがなくなる
- 永久歯の生える方向異常:スペース不足により、永久歯が斜めや別の位置から生える場合や、顎の中に埋まったまま出てこない場合がある
- 乳歯の感染による影響:乳歯の根の先に膿が溜まると、真下にある永久歯の形成に悪影響を及ぼし、色や形に異常が出る場合がある
このように乳歯期のトラブルは、永久歯の歯並びを複雑にし、矯正治療を難しくします。結果として治療期間の長期化、費用の増加、健康な永久歯の抜歯が必要になることもあるため、乳歯の段階での早期対応が重要です。
小学校低学年での対処が抜歯回避につながるケースも
小学校低学年での対処は、将来の抜歯を避けられる可能性につながります。この時期の子供の顎はまだ柔らかく、成長の余地が大きいため、矯正を始める理想的なタイミングです。
第1期治療では歯を無理に動かすのではなく、顎の成長を整えて永久歯が並ぶための土台を作ります。早めに取り組むことでスペース不足を防ぎ、後の矯正が軽く済む場合もあります。
口呼吸や舌の癖など歯並びを乱す習慣にも気づきやすく、改善しやすい点もメリットです。早期矯正がすべての子に必要というわけではありませんが、小学校低学年で一度相談しておくと、その子に最適な治療開始時期を判断しやすくなります。
小児矯正を始めるべきタイミング
子供の矯正治療は、年齢や成長段階によって目的と方法が大きく異なります。そのため、「いつ始めるか」が治療の成果を左右します。
顎の成長を利用して歯が並ぶ土台を整える「第1期治療」と、永久歯が生えそろってから歯並びを整える「第2期治療」について解説します。
第1期治療(6〜12歳):顎の成長を活かして土台を整える
第1期治療は、乳歯と永久歯が混在する6〜12歳頃の「混合歯列期」に行う治療で、顎の成長を活かせる時期です。歯を無理に動かすのではなく、顎の発育をサポートして永久歯が正しい位置に生えるスペースの確保が目的となります。
主な目的とメリットは以下のとおりです。
| 目的 | メリット |
| 顎の健やかな成長をサポート | ・専用の装置で顎の成長を正しい方向へ導き、上下のバランスを整える ・顔全体の骨格も自然に整う |
| 将来の抜歯リスクを減らす | 顎を広げて永久歯のスペースを確保することで、健康な歯を抜かずに済む可能性が高まる |
| 歯並びを乱す根本原因の改善 | 口呼吸や舌の癖、指しゃぶりなどの悪習慣を修正し、治療後の後戻りを防ぐ |
| 将来の治療負担を軽減 | 第1期で土台を整えることで、第2期治療が不要または短期間で済む可能性がある |
第1期治療は、将来の歯並びを根本から整えるためのスタートラインです。
第2期治療(12歳以降):永久歯の歯並びを整える
第2期治療は、すべての歯が永久歯に生えそろってから行う治療です。一般的に「歯の矯正」としてイメージされるのは、この段階の治療を指します。
第2期治療の目的は、一つひとつの歯を正しい位置に動かし、見た目も機能も整った美しい歯並びと、正しい噛み合わせを完成させることです。12歳以降は顎の成長が緩やかになり、歯そのものを動かしやすくなるため、歯並びを整えやすくなります。
第2期治療には以下のような目的とメリットがあります。
| 目的 | メリット |
| 見た目の改善による心理的なサポート | 歯並びが整うことで、見た目のコンプレックスが解消され、自信を持って笑えるようになる |
| 咀嚼(そしゃく)機能の向上 | ・噛み合わせが良くなることで、食べ物をしっかりと噛み砕けるようになる ・栄養の吸収効率が上がり、消化器官への負担も軽減される |
| 虫歯や歯周病の予防 | 歯磨きがしやすくなり、磨き残しが減ることで口内環境が整い、将来的な歯の健康維持につながる |
| 正しい発音のサポート | 歯の隙間から息が漏れる発音の不明瞭さが改善し、会話がスムーズになることでコミュニケーションへの自信が高まる |
第2期治療は、第1期治療の成果を活かして仕上げる段階でもあり、歯並びと心の両面からお子さんの自立を後押しするステップです。
小児矯正で使用される代表的な矯正装置
小児矯正で使用される装置は、子供の年齢や歯の生え方、顎の成長段階によって選び方が異なります。装置には、顎の成長を促して永久歯のスペースを確保するタイプと、歯そのものを動かして歯並びを整えるタイプの2種類があります。
ここでは、子供の矯正で使用される以下の矯正装置の特徴を解説します。
①床矯正装置:顎を広げて永久歯のスペースを確保
②ワイヤー矯正:歯を理想的な位置に移動
③マウスピース矯正:目立ちにくく取り外し可能
①床矯正装置:顎を広げて永久歯のスペースを確保
床矯正(しょうきょうせい)装置は、6〜12歳頃の「混合歯列期」に行う第1期治療で多く使用される、取り外し可能な矯正装置です。
歯を無理に動かすのではなく、顎の成長を促して永久歯が並ぶスペースを確保することが目的です。中央のネジを少しずつ調整しながら、優しい力で顎を広げていきます。
| メリット | 詳細 |
| 取り外しができ衛生的 | 食事や歯磨きのときに外せるため、虫歯のリスクを抑えやすい |
| 痛みが少ない | 顎の自然な成長を利用するため、歯に強い力がかからず違和感が少ない |
| 将来の抜歯リスクを減らせる | 顎を広げて歯列スペースを確保し、健康な永久歯を抜かずに済む可能性が高い |
床矯正装置には以下のようなメリットがあります。ただし、十分な効果を得るには以下の点にも注意が必要です。
- 装着時間の管理:1日12〜14時間以上が目安で、装着が不足すると効果が出にくい
- お子さんの協力:自分で外せるため、治療の必要性を理解して継続する姿勢が大切
- 慣れまでの違和感:初めの数週間は発音しづらさを感じることがあるが、自然に慣れる
床矯正は、成長期の力を活かして歯並びの基礎を整える、将来の健康な口元づくりへつながります。
②ワイヤー矯正:歯を理想的な位置に移動
ワイヤー矯正は、歯に小さな「ブラケット」という装置を付けてワイヤーを通し、少しずつ歯を正しい位置へ動かす治療法です。永久歯が生えそろった12歳以降の治療に多く使われます。
歯を前後・左右・回転方向に細かく動かせるため、さまざまな歯並びの乱れに対応でき、治療効果も高いのが特徴です。装置が固定されているので、自分で外す必要がなく、常に力がかかることで計画的に歯を動かすことができます。
金属製の装置は目立ちやすく、調整後に痛みを感じることもあります。装置の周りに汚れが溜まりやすいため、丁寧な歯磨きが欠かせません。透明や白色のブラケットを扱っている歯科医院なら、見た目をほとんど気にせずに矯正治療を受けられます。
③マウスピース矯正:目立ちにくく取り外し可能
マウスピース矯正は、透明で目立ちにくいマウスピース型の装置を使い、段階的に新しいものへ交換しながら歯並びを整える治療法です。オーダーメイドで作製されるため装着感が自然で、食事や歯磨きの際には自分で取り外せるため、口の中を清潔に保ちやすいのも特徴です。
主なメリットと注意点を以下の表にまとめています。
| メリット | 詳細 |
| 装置が目立たない | 透明な素材で装着しても気づかれにくく、多感な時期の子供でも心理的な負担が少ない |
| 食事・歯磨きがしやすい | 取り外し可能なため食事制限がなく、歯磨きも丁寧にできて衛生的 |
| 痛みや違和感が少ない | ワイヤー矯正より力が弱く、痛みや口内の刺激が少ない。スポーツ中のケガの心配も少ない |
効果を出すには、以下のような自己管理が必要になります。
- 装着時間の管理が必要:1日20時間以上の装着が原則で、守れないと計画通りに歯が動かない
- 適用に限りがある:顎の骨格に大きなズレがある場合など、対応できない症例もある
- 紛失・破損のリスク:外している間に失くしたり壊したりしやすいため、専用ケースでの管理が大切
見た目や快適さを重視しつつ、自分で管理できる年齢のお子さんに適した矯正方法です。
歯並びが悪くなる悪癖チェックリスト
子供の歯並びは、遺伝だけでなく毎日の癖によって乱れることが多くあります。成長期の小さな癖でも、顎の発達や筋肉のバランスを崩し、将来的な歯並びや顔の形に影響を与えることがあります。
次のチェックリストを参考に、お子さんに当てはまる項目がないか確認してみましょう。
【歯並びが悪くなる悪癖チェックリスト】
- 口を開けたままにしている
- 口呼吸をしている
- 飲み込むときに舌が前に出ている
- 指しゃぶりや、唇を噛んだり吸ったりする癖がある
- 食べ物を片側だけで噛むことが多い
- よく頬杖をつく、机に顔を傾けて座ることがある
- うつ伏せ寝や、同じ方向を向いて寝ることが多い
これらの癖が続くと、顎の成長が偏り、歯並びが悪くなるリスクが高まります。複数当てはまる場合や長期間続いている場合は、早めに歯科医へ相談することが大切です。
日常の小さな癖を見直すことが、将来のきれいな歯並びを守る第一歩になります。
子供の歯並びを守るために親ができること
子供の歯並びを整えるためには、特別な治療だけでなく、日々の生活習慣を整えることが何より大切です。子供の歯並びを守るために親ができることとして、以下の3つを解説します。
- 姿勢・食べ方・呼吸の習慣を見直す
- 口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れる
- 歯医者と連携し、定期検診を受ける
姿勢・食べ方・呼吸の習慣を見直す
子供の歯並びを整えるためには、姿勢・食べ方・呼吸などの生活習慣を見直すことが大切です。以下の表を参考に、日常生活の中で気をつけたいポイントを確認しましょう。
| 習慣項目 | チェックポイント | 歯並び・顎の影響 | できる対策 |
| ①姿勢のチェック | ・食事中や勉強中に猫背になっていないか? ・テレビを見ながら頬杖をついていないか? | ・顎に偏った力がかかる ・顔の歪みや噛み合わせのズレにつながる | ・背筋を伸ばす意識を持ち、頬杖をやめる ・外遊びで体幹の筋肉を育む |
| ②食べ方の工夫 | ・噛む回数が少なくないか・柔らかい食事になっていないか | 顎の発達が不十分になり、永久歯が並ぶスペースが足りなくなる | ・1口30回を目安に噛む・根菜類や小魚などの噛み応えのある食材を取り入れる |
| ③呼吸の確認 | 口を開けたままや口呼吸の癖がないか | 上顎の発達が遅れ、出っ歯や歯の重なりの原因になる | 鼻呼吸を意識し、鼻づまりがある場合は耳鼻科で相談する |
これらの習慣を意識して改善することで、自然な顎の成長を促し、健康で美しい歯並びを育てることができます。
口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れる
歯は、舌が内側から押す力と、唇や頬が外側から押す力の、絶妙なバランスが取れた位置に並びます。この筋肉のバランスを整えるために、「口腔筋機能療法(MFT)」という専門的なトレーニングが有効です。(※3)
家庭でも簡単に取り入れられる代表的な方法を以下の表で解説します。
| トレーニング名 | 目的 | 動きのポイント |
| あいうべ体操 | 舌や口周りの筋肉を総合的に鍛える | 「あー」大きく開く、「いー」横に広げる、「うー」唇を前に出す、「べー」舌を思いきり出す |
| 風船ふくらまし・吹き戻し | 唇を閉じる筋肉(口輪筋)を鍛える | 唇をしっかり閉じて息を強く出す |
これらのトレーニングは、一連の動きを1セットとして毎日少しずつでも続けることが大切です。お風呂の時間など、タイミングを決めて親子で一緒に楽しみながら、正しい筋肉の使い方を習慣づけていきましょう。
歯医者と連携し、定期検診を受ける
子供の歯並びを守るためには、家庭でのケアに加えて、歯医者での定期検診を受けることが大切です。
専門家が定期的に口腔内をチェックすることで、歯の生え変わりの遅れや顎の成長の偏り、噛み合わせのズレなどを早期に見つけることができます。虫歯や歯ぐきの状態だけでなく、指しゃぶりや口呼吸などの癖が、歯並びに影響していないかも確認してもらえます。
問題を早く見つけて対処することで、将来の大がかりな矯正を防げることもあります。見た目の歯並びは子供の自信にも関わるため、成長に合わせた定期検診を受けることが予防につながります。
まとめ
子供の歯並びは遺伝だけでなく、指しゃぶりや口呼吸などの些細な癖が大きく影響します。「乳歯だから大丈夫」と見過ごしてしまうと、将来の永久歯の歯並びが乱れる可能性があります。ほかにも、噛み合わせや発音、見た目のコンプレックスなど、心と体の健やかな成長にまで影響を及ぼす場合もあります。
小学校低学年のうちに専門家へ相談することが、将来の抜歯リスクを減らし、子供の負担を軽くするポイントです。少しでも気になることがあれば、一人で悩まず、まずはかかりつけの歯科医師に相談してみましょう。
参考文献
- Goovaerts S., El Sergani A.M., Lee M.K., Shaffer J.R., Claes P., Weinberg S.M. The impact of breastfeeding on facial appearance in adolescent children PLoS One, 2024, 19(9), p.e0310538
- Costa A.C.S., Paulo D.M.E., Vidigal M.T.C., Vieira W.A., Cardenas A.F.M., Paranhos L.R. Perception of malocclusion and school performance in adolescents: a systematic review Braz Oral Res, 2023, 37, p.e033
- Kujirai K., Takahashi M., Koizumi S., Seimiya K., Nakashizu T., Watanabe M., Yamaguchi T. 3D Printer-Assisted Layered Fabrication of a Novel Appliance for Oral Myofunctional Therapy and Functional Evaluation of Its Effects on Orofacial Muscles During Wear Cureus, 2024, 16(4), p.e59228
