家族が昨日まで元気だったのに、急な高熱や体の痛みなどの体調不良になると「もしかしてインフルエンザ?」と心配になりますよね。インフルエンザは、感染してすぐに発症するわけではなく、潜伏期間があります。
この記事では、インフルエンザの潜伏期間や初期症状の特徴、普通の風邪との違い、対処法・予防法などを詳しく解説します。正しい知識を身につけ、ご自身と周りの大切な人の健康を守りましょう。
インフルエンザの潜伏期間は?
冬が近づくと気になるのがインフルエンザの流行です。インフルエンザになると、急な発熱や関節痛、寒気などの症状が現れます。
インフルエンザにはA型(いくつかのタイプ)、B型、C型の3種類がありますが、感染する人のほとんどはA型かB型です。C型は小児が感染しやすい傾向にありますが、症状は軽く、普通の風邪に似ています。
ここではインフルエンザの潜伏期間や感染経路など、次の3つを解説します。
- ①潜伏期間
- ②感染経路
- ③ほかの感染症との違い
①潜伏期間
インフルエンザの潜伏期間は、一般的に1~4日です。(※1)しかし、潜伏期間はウィルスの種類や感染した人の免疫力によって変わります。
ある研究では、A型インフルエンザの潜伏期間は約1.4日、B型インフルエンザでは約0.6日と報告されています。(※2)潜伏期間の前日からウィルスを排出している可能性があり、発症する約1日前から感染力があるため注意が必要です。
潜伏期間後は、発熱・倦怠感など突然インフルエンザの症状が現れます。症状が現れたら、早めに医療機関を受診しましょう。
②感染経路
インフルエンザは、主に飛沫(ひまつ)感染と接触感染によってほかの人に広がっていきます。
飛沫感染は、感染した人の咳やくしゃみ、会話などで飛び散るしぶきを吸い込むことでウィルスがうつります。飛沫は1〜2メートルほど飛ぶため、人が密集する空間では注意が必要です。
接触感染はウィルスが付着したものに触れることで、間接的に他人にうつる経路です。感染した方が咳やくしゃみを抑えた手で何かに触れると、そこにウィルスが付着してしまいます。
③ほかの感染症との違い
インフルエンザは、普通の風邪や新型コロナウィルス感染症と症状が似ていますが、潜伏期間や症状の現れ方が異なります。
インフルエンザと新型コロナウィルス、普通の風邪の潜伏期間や症状は以下のとおりです。
| 感染症の種類 | 潜伏期間の目安 | 症状の現れ方と主な症状 |
|---|---|---|
| インフルエンザ | 1〜4日 (※1) |
・急激な体調不良
・38℃以上の高熱 ・強い悪寒、頭痛 ・関節痛、筋肉痛などの強い全身症状 |
| 新型コロナウィルス | 1〜12.5日 (※3) (流行株により異なる) |
・発熱、咳、のどの痛み
・強い倦怠感 ・味覚・嗅覚の異常(見られることがある) |
| 普通の風邪 | 数日程度 |
・のどの痛み、鼻水、くしゃみ
・発熱しても37℃台の微熱が多い |
インフルエンザの特徴は「突然の高熱」と「強い全身症状」です。急な寒気とともに体の節々が痛みだした場合は、インフルエンザの可能性があります。
インフルエンザの初期症状
インフルエンザを疑うべき、代表的な初期症状は以下のとおりです。
- 突然38℃を超えるような高い熱が出る
- ガタガタと体が震えるような強い寒気
- 体が重く、動くのも辛く感じるような全身の倦怠感
- 手足の節々や背中、腰が痛みや激しい頭痛
インフルエンザは、潜伏期間が短く、急激に強い症状が出る特徴があります。しかし、子どもやご高齢の方は、典型的な症状と異なることがあるため注意が必要です。
子どもの場合は嘔吐や下痢など、お腹の症状を伴うことがあります。高熱が原因で熱性けいれんを起こすこともあるでしょう。
ご高齢の方が感染しても高い熱が出にくく、「食欲がない」「なんとなく元気がない」などの変化がサインになることも少なくありません。ご自身で症状を訴えられないこともあるため、こまめに観察してください。
インフルエンザを疑う場合の受診の目安と治療法
インフルエンザが疑われるときは、発熱してから12〜48時間以内に受診してください。発症直後は体内のウィルス量が少ないため、検査をしても正確な結果が出にくく、感染していても陰性になる可能性があります。
次のような症状が見られる場合は、重症化する危険性があるので、すぐに医療機関を受診してください。
- 息が苦しそう
- 肩で息をしている
- 唇の色が紫色になっている
- 呼びかけへの反応が鈍く、ぼーっとしている
- 意味不明な言動がある
- 体がガクガクと震える
- けいれん後に意識がはっきりしない
- 水分を全く受けつけない
- 半日以上おしっこが出ていない
小さなお子さんやご高齢の方、持病のある人も重症化しやすいため注意が必要です。
インフルエンザの治療には、抗インフルエンザウィルス薬のタミフル・リレンザ・イナビル・最近販売されたゾフルーザなどが用いられます。ウィルスの増殖を抑えられるよう、発症後48時間以内に服用を始めることが重要です。
抗インフルエンザ薬だけでなく、高熱や頭痛を和らげる鎮痛剤や鼻水、咳などの症状を緩和する薬が処方されることもあります。
感染後の対処法
インフルエンザ感染後は、ほかの人にうつさないよう適切な対応を取ってください。感染後の対処法として、次の3つを詳しく解説します。
- 発症時の正しい対処法
- 家庭内感染を防ぐ方法
- 登園・登校再開の基準
発症時の正しい対処法
インフルエンザを発症したら、体をしっかりと休め、こまめに水分補給をしてください。高熱で汗をかくと、多くの水分と電解質を失うため、脱水症状を起こす恐れがあります。水分補給は経口補水液やスポーツドリンク、麦茶、湯冷ましなどがおすすめです。
食欲がないときは、無理に食べる必要はありません。おかゆやうどん、ゼリー、スープなど、消化が良く食べやすい物から摂りましょう。
高熱や頭痛などの症状は、解熱剤を服用すると楽になります。ただし、アスピリンやジクロフェナクナトリウムなどは、小児年齢での使用の場合、インフルエンザ脳症などの重い合併症との関連が指摘されています。(※4)どの薬を使えば良いか迷う場合は、医師や薬剤師に相談してください。
家庭内感染を防ぐ方法
インフルエンザにかかったときは、同居する家族への感染を防ぐ対策が重要です。感染拡大を防ぐために、以下のような適切な対策を取り、家族を守りましょう。
| 対策項目 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 部屋を分ける | 療養する部屋を分け、ほかの家族との接触を最小限にする |
| マスクの着用 | 療養していたり看病したりする方も、不織布マスクを正しく着用する |
| こまめな換気 | 1〜2時間に1回、5〜10分程度部屋の空気を入れ替える |
| 手洗い・消毒 | ・看病や共有部分に触れたあと、石けんと流水で丁寧に手洗いする ・手洗いできない場合はアルコール手指消毒を利用する |
| タオルの共用禁止 | タオルや食器などを共有しない |
| 環境の消毒 | ドアノブ、電気のスイッチ、トイレのレバーなど、皆が触れる場所をアルコールなどで消毒する |
| お世話役の限定 | 看病はできるだけ一人に限定する |
これらの対策を家族全員で意識し、徹底することが家庭内での感染拡大を防ぐ鍵となります。
登園・登校再開の基準
インフルエンザにかかったお子さんは、発症したあと5日を経過し、かつ、解熱したあと2日(幼児にあっては3日)を経過するまでは休ませてください。日数の数え方は、発症した日を0日目、発症した翌日を1日目として数えます。
出席停止期間は、「学校保健安全法」により基準が明確に定められています。(※6)集団感染を防ぐためにも、学校保健安全法の基準を必ず守りましょう。
インフルエンザの予防法
インフルエンザの流行シーズンを健やかに乗り越えるためには、日頃からの予防が何よりも大切です。ここでは、以下の3つの予防法を具体的に解説します。
- ①予防接種を受ける
- ②感染症対策を行う
- ③生活習慣を改善する
①予防接種を受ける
ワクチン接種は、インフルエンザの予防に有効な手段の一つです。インフルエンザワクチンには、発症する可能性を低減させたり、感染しても重症化を防いだりする効果があります。(※6)
予防接種を受けてから体内に抗体ができるまでは約2週間かかり、その後の効果は約5か月間持続すると考えられています。(※7)
日本のインフルエンザ流行は、1〜2月にピークを迎えることが多いです。流行のピーク時に免疫がしっかりと働くよう、10月中旬〜12月中には予防接種を受けておくことが望ましいでしょう。
②感染症対策を行う
ウィルスを体内に侵入させないためには、日常生活での基本的な感染対策が大切です。
接触感染を防ぐために、丁寧な手洗いを心がけましょう。石鹸と流水で、手の間や手首まで30秒ほどかけて洗い流してください。手洗いできないときはアルコール消毒も活用することがおすすめです。
インフルエンザの流行シーズンは、できるだけ外出を控えましょう。外出する場合、人が密集する場所では飛沫感染するリスクがあるため、マスクを着用してください。
室内は加湿器などを使い、湿度を50〜60%に保つとウィルスの活動を抑制できます。1〜2時間に1回、数分間窓を開けて換気し、室内のウィルス濃度を下げて感染しにくい環境を作りましょう。
③生活習慣を改善する
私たちの体には免疫という強力な防御システムが備わっており、インフルエンザの発症を防いだり、症状を軽く済ませたりすることが可能です。
免疫力を高めるために、以下のように生活習慣を見直すことが大切です。
- 食事の栄養バランス:タンパク質、ビタミンA、ビタミンC・Dをバランス良く摂取
- 良質な睡眠と十分な休息:毎日決まった時間に就寝・起床し、生活リズムを整える
- 適度な運動:血行が良くし、ウィルスが侵入しても早期に発見し攻撃できる
ウィルスに負けない体を作るため、日々の生活習慣を見直してみましょう。
まとめ
インフルエンザの潜伏期間は平均1〜4日と短く、突然の高熱や関節痛などの強い全身症状が現れるのが大きな特徴です。ご自身やご家族にこのような症状が見られた際は、発症後12〜48時間を目安に医療機関を受診してください。
感染しないために大切なのは、日頃からの予防対策です。予防接種に加え、丁寧な手洗いやバランスの良い食事、十分な睡眠を心がけ免疫力を高める生活習慣を過ごしましょう。
参考文献
- World Health Organization:「Influenza (seasonal)」
- Lessler J, Reich NG, Brookmeyer R, Perl TM, Nelson KE, Cummings DAT. Incubation periods of acute respiratory viral infections: a systematic review. Lancet Infect Dis, 2009, 9, 5, p.291-300.
- 厚生労働省:「新型コロナウイルスを防ぐためには」
- 厚生労働省:「医療用医薬品の家庭における使用について」
- 学校保健安全法施行規則:「第十九条 令第六条第二項」
- 厚生労働省:「インフルエンザワクチン(季節性)」
