「熱が出てつらい、インフルエンザかな。」「インフルエンザと風邪は何が違うんだろう。」と考えて、心配になりますよね。
インフルエンザと風邪は、原因ウイルスや感染力、重症化のリスクなども異なります。この記事では、インフルエンザと風邪の違いを7つのポイントで解説します。ご自身の症状と照らし合わせ、受診すべきかの判断材料にしてください。
インフルエンザと風邪の違い
インフルエンザと風邪は、咳や発熱といった症状が似ているため、ご自身で見分けるのは難しいことがあります。しかし、これらは原因となるウイルスが異なり、適切な対処法も変わってきます。
ここでは、以下の7つのポイントからインフルエンザと風邪の違いを解説します。
- ①症状の違い
- ②原因ウイルスの種類
- ③感染力
- ④潜伏期間と進行の速さ
- ⑤治療の期間
- ⑥流行時期
- ⑦重症化リスク
①症状の違い
インフルエンザと風邪のわかりやすい違いは、症状の現れ方と強さです。
| 症状の種類 | インフルエンザ | 風邪 |
| 発症の仕方 | 急激 | 緩やか |
| 発熱 | 38℃以上の高熱になりやすい | 微熱〜38℃程度が多い |
| 全身症状 | ・強い倦怠感、関節痛、筋肉痛など ・顕著に現れやすい | ・発熱、倦怠感、頭痛など ・症状は軽い |
| 局所症状 | ・咳、鼻水、のどの痛みなど ・高熱のあとに遅れて現れることがある | のどの痛み、鼻水、くしゃみなど |
インフルエンザは、突然強い全身症状が現れるのが特徴です。一方で風邪は、のどの痛みや鼻水などの局所的な症状から始まり、数日かけてゆっくりと進行します。
しかし、インフルエンザでも熱があまり上がらないことや、風邪でも高熱が出ることがあるため、症状だけで100%判断することは難しいでしょう。
②原因ウイルスの種類
インフルエンザと風邪は、どちらもウイルス感染によって引き起こされますが、原因となるウイルスの種類が異なります。
インフルエンザの原因となるのは、インフルエンザウイルスです。ウイルスは大きく分けてA型、B型、C型、D型の4つの種類に分類されます。このうち、流行の原因となるのは主にA型とB型です。
風邪の原因は、80〜90%がウイルスといわれてます。主にライノウイルス、季節性コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど、多くの種類のウイルスが関与します。(※1)
③感染力
インフルエンザは、風邪に比べて感染力が強い特徴があります。一人がかかると、家庭内や学校、職場などで短期間に集団感染を引き起こすこともあります。主な感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つです。
風邪も同じ経路で感染しますが、感染力はインフルエンザより低い傾向にあります。
④潜伏期間と進行の速さ
ウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間と、症状が進行する速さにも違いが見られます。
| 特徴 | インフルエンザ | 風邪 |
| 潜伏期間 | 1〜3日程度と比較的短い | 数日程度(原因ウイルスにより異なる) |
| 進行の速さ | 症状が急激に現れる | 症状がゆるやかに現れる |
このように、インフルエンザと風邪では、症状が出るまでのタイミングや体調の変化のスピードに違いがあります。体調の崩れ方が急かどうか、徐々に進むかといった点も、両者を見分ける一つの手がかりになるでしょう。
⑤治療の期間
治療や回復にかかる期間も、インフルエンザと風邪では異なります。
インフルエンザは、一般的に発症から3日程度経過すると症状が改善していき、1週間程度で回復するといわれています。(※2,3)解熱後も無理せず安静に過ごすことが大切です。
風邪には特効薬がないため、治療は発熱、咳、鼻水などのつらい症状を和らげる対症療法が中心となります。十分な休養と水分補給、栄養を摂ることで、ご自身の免疫力がウイルスを排除するのを助けます。多くの場合、数日〜1週間程度で自然に回復に向かいます。
⑥流行時期
インフルエンザと風邪は、流行しやすい時期にも違いが見られます。
インフルエンザは、例年12月頃から流行が始まり、1月〜3月上旬にピークを迎えます。ただし、近年では冬以外の季節に流行することもあるため、1年を通して地域の流行情報を確認しましょう。
風邪は、原因となるウイルスが多種多様です。それぞれの活動時期も異なるため、季節を問わず一年中かかる可能性があります。特に季節の変わり目や、疲れが溜まっている時など、体の免疫力が低下しているときにかかりやすいです。
⑦重症化リスク
風邪は多くの場合、安静にすることで自然に回復しますが、高齢者や基礎疾患を有する方では肺炎などの合併症を来すことがあります。
中でもインフルエンザは、風邪に比べて全身症状が強く、重症化や合併症を引き起こしやすい感染症です。
インフルエンザの主な合併症は以下のとおりです。
| 合併症 | 詳細 |
| 肺炎 | ・ウイルス自体が引き起こすウイルス性肺炎・抵抗力が落ちたところに細菌が感染する細菌性肺炎 |
| 気管支炎 | 咳が長引き、呼吸が苦しくなることがある |
| インフルエンザ脳症 | 小さなお子さんに多く見られ、意識障害やけいれんなどを引き起こし、後遺症が残ることもある |
| 心筋炎 | 心臓の筋肉に炎症が起こり、不整脈や心不全の原因となることがある |
特に、高齢者、乳幼児、妊婦、心臓や肺などの基礎疾患をお持ちの方は重症化するリスクが高く、注意が必要です。
インフルエンザと風邪を見分けるポイント
インフルエンザと風邪を、見分けるポイントは以下のとおりです。
- 急に寒気やだるさを感じ始めた
- 38℃以上の高熱が出ている
- 体を動かすのがつらいほどの倦怠感がある
- 関節や筋肉が痛む(関節痛・筋肉痛)
- 家族や職場、学校など身近でインフルエンザが流行している
当てはまる項目が多いほど、インフルエンザの可能性が考えられます。
インフルエンザと風邪はどう治す?受診の目安について
治療の進め方や医療機関を受診すべきタイミングは風邪かインフルエンザによって、異なります。ここでは、それぞれの症状に合わせた対処法や受診の目安を解説します。
風邪
風邪の治療は、つらい症状を和らげながら体の回復を待つ対症療法が基本です。十分な休養と睡眠をとり、こまめに水分を補給し、消化のよい食事を心がけることが回復を助けます。また、室内の乾燥を防ぎ、のどや鼻の粘膜を保護することも大切です。
一方で、高熱が長く続く場合や、食事や水分がほとんど取れない場合、症状が1週間以上改善しない場合は、ほかの病気の可能性もあるため、医療機関の受診を検討しましょう。
インフルエンザ
インフルエンザには、体内でウイルスが増えきる前に使用することで、ウイルスの増殖を直接抑える抗インフルエンザ薬があります。発症してから48時間以内に服用を開始すると、発熱期間を1〜2日短縮することが期待されます。(※2)
受診の目安として、突然38℃以上の高熱が出たり、身の回りでインフルエンザが流行していたりしたら、インフルエンザの可能性を考えて医療機関を受診しましょう。
診断後は、医師の指示に従って薬を服用し、熱が下がっても、体内のウイルスがすぐになくなるわけではないため、安静に過ごすことが大切です。
インフルエンザと風邪はどちらも予防が大事
インフルエンザや風邪のつらい症状で悩まされないためには、日々の予防が大切です。ウイルスを体に入れないための対策と、ウイルスに負けない体づくりを両立させることが大切です。
すぐに実践できる基本的な予防策は以下のとおりです。
- 手洗い:石けんと流水で指先や爪の間、手首まで丁寧に洗い流す
- 適切な湿度管理:加湿器などを使い、部屋の湿度を50~60%に保つ
- 定期的な換気:定期的に窓を開け、部屋の空気を入れ替える
インフルエンザに対しては、ワクチン接種が予防の柱となります。ワクチンを接種することで、感染を完全に防ぐことは難しい場合でも、重症化するリスクを減らす効果が期待できます。
また、体の抵抗力を高めておくことも、感染症予防の基本です。バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、ウイルスに負けない体を作りましょう。
もしご家族が感染してしまった場合は、部屋を分ける、タオルや食器の共用は避ける、皆がよく触るドアノブなどを消毒するなど、家庭内で感染を広げないための対策も必要です。
まとめ
インフルエンザと風邪の症状は似ていますが、インフルエンザは急な高熱や強い倦怠感が特徴で、重症化するリスクもある病気です。特に、抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内の服用が効果的なため、発熱や倦怠感などの症状が現れたら医療機関を受診することが大切です。
風邪の場合は、十分な休養と水分補給を心がけましょう。ご自身の症状を正しく見極めることが、つらい症状を長引かせず、周りの人への感染拡大を防ぐことにもつながります。
参考文献
- 一般社団法人日本呼吸器学会:「呼吸器の病気」
- 厚生労働省:「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
- 厚生労働省:「令和7年度 今冬の急性呼吸器感染症(ARI)総合対策」
