「水を飲んでもすぐに喉が渇く」「夜中に喉の乾きで目が覚める」などの症状が続いていませんか。
喉の渇きを一時的な水分不足と判断してしまう方は少なくありません。しかし、糖尿病やシェーグレン症候群など、治療が必要な病気が背景にある場合もあります。
この記事では、喉が渇く原因と考えられる病気、注意すべき喉の乾き、対処法を解説します。
症状を冷静に確認し、適切な対応につなげてください。
いくら飲んでも喉が渇く原因と考えられる病気
喉の渇きは、誰にでも起こる身近な症状です。しかし、注意が必要な病気のサインが隠れていることもあります。
喉の渇きを引き起こす可能性のある原因を以下の項目に沿って解説します。
①生活習慣・ストレス・加齢
②糖尿病
③食中毒や感染性胃腸炎
④シェーグレン症候群
⑤副甲状腺機能亢進症
⑥尿崩症
⑦薬の副作用
①生活習慣・ストレス・加齢
喉の渇きは、病気以外の日常の些細な要因でも起こります。主な要因を、以下の表にまとめました。
| 要因 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 水分不足・塩分の摂りすぎ | 発汗量が多い状況や塩分の多い食事で体内の塩分濃度が上がると、濃度を下げるために水分摂取が必要になり喉が乾く |
| アルコールやカフェインの影響 | 利尿作用があるアルコールやカフェインを飲むと、尿量が増えて体内の水分が失われ、喉が渇きやすくなる |
| 乾燥した環境や口呼吸 |
・乾燥した空気に長時間さらされると、皮膚や呼吸を通じて水分が失われる ・口呼吸が続く場合は口腔内の乾燥が進み、喉の渇きを感じやすくなる |
| ストレスや緊張 |
ストレスにより交感神経が優位になると、唾液の分泌が低下して口の中が乾燥し、喉の渇きを自覚する |
喉の渇きの多くは一時的なもので、対処すれば改善することがほとんどです。しかし、思い当たる節がない喉の渇きが続く場合は、病気の可能性も考えられます。
②糖尿病
喉の渇きで心配される病気の一つが糖尿病です。糖尿病による喉の渇きは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が関係しています。
健康な人の場合、尿に糖が漏れ出ることはほとんどありません。しかし、糖尿病で血糖値が高くなると、腎臓が糖を処理しきれなくなり、尿中に糖が出てしまいます。
糖と一緒に大量の水分も尿として排出されるため、体は水分不足の状態になり、喉が渇きます。結果、水分をたくさん飲む(多飲)ようになり、飲んだ水分も尿として大量に出ていく(多尿)悪循環に陥るでしょう。
喉の渇き以外に、以下のような症状が同時に見られる場合は、糖尿病が進行しているサインかもしれません。
- トイレの回数や一回の尿量が増えた
- 食事量は減っていないのに体重が急激に減った
- 十分休んでも全身のだるさや疲れが取れない
急な喉の渇きから甘い清涼飲料水を大量に飲み、さらに高血糖を招く悪循環(ペットボトル症候群)にも注意が必要です。
糖尿病を放置すると血管に負担がかかり、将来的に心疾患や脳血管疾患などの合併症を引き起こすリスクが高まります。
心当たりのある方は、早めに内科や糖尿病内科を受診し、血液検査(血糖値やHbA1c)を受けましょう。
糖尿病検査についての詳しい記事はこちら⇒【医師監修】糖尿病検査の内容とは?血糖値やHbA1cなどの基準値をわかりやすく解説
③食中毒や感染性胃腸炎
突然強い喉の渇きを感じる場合は、食中毒やウイルス性の感染性胃腸炎が関与している可能性があります。激しい下痢や嘔吐が続くことで、体内の水分と電解質が急速に失われ、深刻な脱水状態に陥ります。その結果、強い喉の渇きが生じるという仕組みです。
水分を摂取してもすぐに吐いてしまう、高熱が続く、便に血が混じるなどの症状は、重度の脱水や合併症のサインかもしれません。強い腹痛が持続したり、意識がはっきりしなかったり、尿量が著しく減少したりするときも注意が必要です。
胃腸炎と考えていても、別の病気が隠れていることがあります。症状が改善しない場合や長引くときは、自己判断せず医師に相談してください。
④シェーグレン症候群
喉の渇きに加えて目の乾きが続くケースは、シェーグレン症候群かもしれません。シェーグレン症候群は、免疫機能の異常により唾液腺や涙腺が障害される自己免疫疾患です。(※1)中年以降の女性に多い傾向があります。
シェーグレン症候群で唾液腺が障害されると、唾液分泌が低下し、口腔内が持続的に乾燥します。乾いた食品が飲み込みにくい、口の中が粘ついて会話がしづらい、味覚が低下する、虫歯や口内炎が増えるなどの症状もみられるでしょう。
涙腺の機能低下により涙の分泌が減少し、目の異物感や乾燥感を伴うこともあります。
口腔内の乾燥感に対しては、少量の水をこまめに口に含んで潤したり、無糖のガムやトローチを用いて唾液の分泌を促したりすることが不快感の軽減に役立ちます。症状が続く場合は、医療機関への受診を検討してください。
⑤副甲状腺機能亢進症
副甲状腺機能亢進症の患者さんには、喉の渇きや多飲が症状として現れることがあります。
副甲状腺は、甲状腺の裏側に位置する小さな臓器で、血液中のカルシウム濃度を調節するホルモンを分泌しています。副甲状腺機能亢進症は、ホルモンが過剰に分泌され、血液中のカルシウム濃度が異常に高くなる病気です。(※2)
血液中のカルシウム濃度が高い状態が続くと、腎臓で尿を濃縮する働きが低下し、尿量が増加します。その結果、体内の水分が失われやすくなり、喉の渇きや頻回の水分摂取につながります。
喉の渇き以外に現れる症状は、以下のとおりです。
- 疲れやすい、なんとなく体がだるい
- 食欲がない、吐き気がある
- 骨が痛む、骨折しやすくなる
- 尿路結石ができやすい
- イライラ感、気分の落ち込みなどの精神的な不調
原因がはっきりしない体調不良や喉の渇きが続く場合は、血液検査でのカルシウム値の測定が診断の手がかりになります。まずは内科に相談しましょう。
⑥尿崩症
尿崩症では、尿量を調節する抗利尿ホルモンの分泌や作用に異常が生じ、強い喉の渇きと多尿が現れます。
糖尿病とは異なり血糖値は正常ですが、抗利尿ホルモンが十分に働かないことで腎臓で水分の再吸収ができず、薄い尿が大量に排出されます。
尿量は1日10リットルを超えることもあり、通常より増加しがちです。失われた水分を補うために大量の水分を摂取しても、すぐに尿として排出されるため、喉の渇きが改善しない特徴があります。
尿崩症の診断には専門的な検査が必要で、脳に原因がある中枢性尿崩症と、腎臓に原因がある腎性尿崩症があります。
日常生活に支障をきたすほどの多尿や強い喉の渇きが続く場合は、内分泌内科などの専門医を受診しましょう。
⑦薬の副作用
何かの薬を服用している場合、副作用として喉の渇きが起きている可能性も考えられます。口渇を引き起こす可能性がある薬は、以下のとおりです。
| 薬の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 利尿薬 |
・高血圧などの治療薬 ・尿量を増やして血圧を下げるため、体内の水分が減り、喉が渇きやすくなる |
| 抗ヒスタミン薬 |
・アレルギー性鼻炎やじんましんの治療薬 ・鼻水などを抑えると同時に、唾液の分泌を抑える作用もある |
| 抗コリン薬 | 胃腸の痙攣を抑える薬や、頻尿・尿もれの治療薬などに含まれ、唾液の分泌を抑制する |
| その他 | 一部の抗うつ薬や睡眠導入剤、パーキンソン病治療薬などにも口渇の副作用がみられることがある |
特定の薬を飲み始めてから喉の渇きを感じる場合でも、自己判断で服用を中止してはいけません。薬の中断により、治療中の病気が悪化するおそれがあります。
喉の渇きが気になる方は、処方医または薬剤師に相談してください。相談の際は、お薬手帳を持参すると、服用状況の確認がスムーズに進みます。
注意すべき喉の渇きの見分け方|症状チェックと受診の目安
喉の渇きが長期間続いたり、水分を摂っても改善しなかったりする場合は注意が必要です。発汗後や塩分の多い食事のあとに感じる喉の渇きは生理的な反応ですが、慢性的な症状は体の異常のサインかもしれません。
ここでは、注意すべき喉の渇きの見分け方として、以下の内容を解説します。
- 注意すべき症状|頻尿・体重減少
- 受診の目安|セルフチェックリスト
- 診療科の選び方
注意すべき症状|頻尿・体重減少
喉の渇きに加えて頻尿がみられる場合は、体に何らかの異常が起きている可能性が高いです。
頻尿は、水分を多く摂るために尿の回数が増えていると考えられがちです。しかし、病気が原因の場合、体が必要以上に尿を作ることで水分を失い、結果として強い喉の渇きが生じます。特に、夜間に喉の渇きや尿意で何度も目が覚める状態は注意が必要です。
食事量が変わらない、食欲があるにもかかわらず体重が減少するなどの症状も見過ごせないサインです。糖尿病ではブドウ糖を十分にエネルギーとして利用できず、筋肉や脂肪の分解により体重が減少します。短期間で数キロ以上の体重減少もみられるでしょう。
これらの症状に加えて、原因がはっきりしない強い倦怠感や疲れやすさも、放置すべきではありません。喉の渇きと複数の症状が重なる場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
受診の目安|セルフチェックリスト
喉の渇きが、一時的な水分不足と病気のサインのどちらの可能性があるかを見極める目安は、以下のとおりです。
当てはまる項目が多いほど、体に何らかの変化が起きている可能性が高いです。
2項目以上該当する場合は、早めに医療機関に相談してください。
診療科の選び方
喉の渇きの原因は多岐にわたるため、まずは全身の状態を総合的に評価できる内科やかかりつけ医への相談が基本です。問診や診察、血液検査、尿検査で原因を探り、必要に応じて専門の診療科が紹介されます。
体重減少や頻尿が目立ち、糖尿病やホルモンの異常が疑われる場合は、糖尿病内科や内分泌内科が適しています。口の乾燥やネバつきが主な症状で、ドライマウスが疑われる方は耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
口や目の乾きに加えて関節の痛みを伴う場合は、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患の可能性があります。リウマチ・膠原病内科を相談先として選びましょう。
ただし、ろれつが回らなかったり、激しい嘔吐・下痢がみられたりしたら、重度の脱水かもしれません。強い胸の痛みや頭痛、めまい、息苦しさなどがある場合は、命に関わる病気も疑われます。すみやかに救急外来の受診か救急車を要請してください。
喉の渇きが続くときの対処法
喉の渇きが続くときは、日常生活の工夫で改善が期待できる場合もあります。
ここでは、喉の渇きへの対処法として、以下の内容を解説します。
適切な水分補給
喉の渇きを感じたときの対処法は、適切な水分補給が基本です。
水分補給で重要なのは、一度に大量に飲むことではなく、少量をこまめに摂取することです。コップ1杯程度の水分を間隔を空けて飲むことで、体に無理をかけず、効率良く水分を補えます。
大量の水分を一気に摂取しても、吸収されなかった分は尿として排出されやすく、十分な潤いにつながりません。適切な水分補給の具体的な方法を、以下に整理しました。
| 方法 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 飲むタイミングを習慣化する | 起床直後、食事中、スポーツの前後、入浴の前後、就寝前など、生活の節目で水分を摂る習慣をつける |
| 飲み物の種類を選ぶ |
・基本は糖分やカフェインを含まない水や麦茶などが適している ・清涼飲料水や甘いジュースの摂りすぎは、血糖値の変動により喉の渇きを強めることがある |
| 汗をかいたときは電解質も意識する | 大量に汗をかいた場合は、水分とともにナトリウムなどの電解質も失われるので、経口補水液などで水分と電解質をバランス良く補給する |
喉の渇きは、単なる不快感ではなく、体の水分不足を知らせる重要なサインです。水分不足が頭痛などの体調不良につながる可能性も指摘されています。(※3)渇きを感じる前から、意識的に水分を摂る習慣を身につけましょう。
口の中の乾燥を防ぐセルフケア習慣
十分に水分を摂取しているにもかかわらず、喉の渇きが続く場合は、唾液の分泌量が低下している可能性があります。唾液には口腔内を潤す役割があり、喉の渇きに大きく関与するため、口の中の乾燥を防ぐには分泌を促すことが重要です。
唾液の分泌を促す方法として、唾液腺マッサージがあります。唾液腺マッサージのやり方は以下のとおりです。
- 耳下腺:
- 耳の前に指を当て、前方向へ円を描くようにやさしく動かす(約10回)
- 顎下腺:
- あごの内側を、耳の下からあご先へ向かって軽く押す(各5回)
- 舌下腺:
- あごの真下を、舌を持ち上げるようにゆっくり押す(約10回)
冷たい水で口をすすいだり、氷を口に含んだりすることで不快感の軽減が期待できるでしょう。ミントやメントールを含むタブレットやうがい薬も、清涼感で口の乾燥感を和らげる助けになります。
生活環境を整えることも、口の中の乾燥を防ぐのに重要です。空気が乾燥しやすい季節やエアコン使用時には、室内の湿度を50〜60%程度に保つと、口の乾燥予防につながります。
口腔内の乾燥を防ぐには、呼吸にも気をつけましょう。口呼吸は口の中の水分を蒸発させやすいため、日頃から鼻呼吸を意識することが大切です。
食事の工夫
食事内容の工夫は、喉の渇きを防ぐことにつながります。
塩分の多い食事は体内の塩分濃度を高め、水分を必要以上に欲する原因です。麺類の汁を残したり、漬物・塩辛・ハムなどの加工食品を控えたりし、塩分を摂りすぎないようにしましょう。できるだけ香辛料や香味野菜、柑橘類の酸味を活用して味付けしてください。
食事から水分を補給できる点も意識しておきたいポイントです。水分を多く含むきゅうりやトマト、レタスなどの野菜や、スイカ・メロンなどの果物を日々の食事に取り入れましょう。スープや味噌汁などの汁物を毎日の食事に一品加えることも大事です。
食事内容だけでなく、食べ方にも意識を向けることが大切です。柔らかい食品に偏らず、きのこ類や根菜などの歯ごたえのある食材を取り入れ、30回を目安によく噛んで食べましょう。咀嚼による刺激が唾液腺を活性化し、喉の乾燥予防につながります。
生活習慣の見直し
喉の渇きは、日常の生活習慣が影響している場合も少なくありません。日々の過ごし方を見直すことで、不快な症状が和らぐことがあります。
コーヒーやお茶、お酒は、利尿作用のある飲み物です。摂取すると、尿として排出されやすいので、同量程度の水を合わせて飲むよう心がけましょう。
また、喫煙は口腔内の粘膜を刺激し、唾液の分泌を妨げることで乾燥を招きます。口や喉の潤いを保つためには、禁煙することが重要です。
強いストレスや慢性的な緊張状態にも注意しましょう。深呼吸や軽い運動、音楽鑑賞など、自分に合った方法で心身をリラックスさせる時間を意識的に確保してください。
エアコンの風が直接体に当たる環境では、皮膚だけでなく口や喉の乾燥も進みやすくなります。風向きを調整したり、直接当たらない位置に移動したりする工夫に加え、必要に応じて加湿器の併用も大切です。
まとめ
喉の渇きは誰にでも起こる症状ですが、生活習慣の乱れやストレス、病気が隠れていることもあります。まずは、こまめな水分補給や食事内容の見直しなど、できることから試してみてください。
症状が長く続いたり、頻尿や体重減少などの気になる症状があったりする場合は、放置せず医療機関への相談が大切です。些細なことと感じても、体からの重要なメッセージの可能性もあります。ご自身の体の声に耳を傾け、早めに対処していきましょう。
参考文献
- 公益社団法人 難病医学研究財団/難病情報センター:「シェーグレン症候群(指定難病53)」.
- 小児慢性特定疾病情報センター:「副甲状腺機能亢進症」.
- Arca KN, Halker Singh RB.Dehydration and Headache.Curr Pain Headache Rep,2021,25,8,p.56.
