インフルエンザは急な38℃以上の高熱、関節の痛み、起き上がれないほどの倦怠感が特徴ですが、1つの病気と考えていませんか?実はインフルエンザには、性質が全く異なる種類の型が存在し症状の現れ方もさまざまです。
この記事では、A型・B型・C型それぞれの特徴を解説します。ご自身の症状と照らし合わせ、適切な対処や予防につなげるための知識を身につけましょう。
インフルエンザは何種類ある?
インフルエンザにはA型、B型、C型の3つのタイプがあります。症状の強さや流行の規模に違いがあり、冬の時期に流行の中心となるのはA型とB型です。なお、インフルエンザD型も存在しますが、主に動物に感染するウイルスで、ヒトでの流行は確認されていません。
ここでは、インフルエンザの種類ごとの特徴を解説します。
インフルエンザA型
インフルエンザA型は、感染力が強く、症状が重く出やすいのが特徴です。A型は、ウイルスの表面にある形を巧みに変え、変異を起こしやすい特徴があります。1年の間に少しずつ性質を変えるため、一度感染して免疫がついても、翌年も感染する可能性があり、毎年かかる人も少なくありません。
さらに、数年〜数十年に一度、ウイルスの構造が大きく変化すると、多くの人が免疫を持たない新型インフルエンザが出現し、世界的流行(パンデミック)につながります。
A型ウイルスはヒトだけでなく、鳥やブタなどの動物にも感染します。
潜伏期間は1~3日程度と短く、以下のような症状が急激に現れます。
- 38℃以上の高熱が突然出る
- 強い悪寒や寒気
- 頭痛、関節痛、筋肉痛など全身に強い痛みが出る
- 起き上がれないほどの強いだるさを感じる
高齢の方や持病をお持ちの方は、肺炎などの合併症を引き起こし、重症化する危険性があります。
インフルエンザB型
インフルエンザB型は、A型に次いで冬の終わりから春先にかけて流行することが多いタイプです。
A型のような大規模なパンデミックにはなりにくく、ヒトのみに感染します。
B型ウイルスの症状は、A型ほど急激な高熱にはなりにくいものの、咳やのどの痛みが長引く傾向があります。消化器系の症状が出やすく腹痛や吐き気、下痢などが現れることがあるので注意しましょう。小さなお子さんでは、お腹の症状が出やすい傾向があり、注意して様子を見てください。
インフルエンザC型
インフルエンザC型は、ほとんどの人が子どものうちに感染して生涯有効な免疫がつくことが多いです。
主な症状は鼻水や咳などで、熱もあまり高くならないことが多く、一般的な風邪と見分けるのは困難です。感染しても症状が出ないまま、知らないうちに治っていることも少なくありません。
C型は多くの場合、免疫を持っていない4歳~5歳くらいまでの子どもがかかります。症状が軽いため、医療機関で「インフルエンザ」として診断されることはほとんどなく、知らないうちに免疫を作っています。
インフルエンザの種類ごとの違い
ここでは、インフルエンザウイルスのA型、B型、C型のそれぞれの違いを項目ごとに詳しく見ていきましょう。
流行時期の違い
インフルエンザは冬の病気というイメージですが、種類によって流行のピークが異なります。流行パターンを知り、シーズンを通した感染対策を行いましょう。
日本のインフルエンザシーズンは、例年12月頃に始まり、翌年の3月頃まで続きます。この期間の中で、A型とB型は異なる流行パターンを示すことがよくあります。
インフルエンザの種類別、流行の時期と特徴
| 種類 | 時期・特徴の詳細 |
|---|---|
| A型 | A型は例年、11~2月にかけて流行することが多いです。感染力も強く、学級閉鎖になりやすい特徴があります。 |
| B型 |
B型はA型の流行が落ち着いた、2~4月に流行のピークを迎えます。
A型にかかったからと油断していると、春先にB型に感染するというケースも珍しくありません。
|
| C型 | C型は特定の季節に集中して大流行することはありません。1年を通して散発的に発生しますが、大きな健康問題となることはまれです。 |
合併症や重症化のリスク
インフルエンザは、さまざまな重篤な合併症を引き起こす危険性があり、重症化する前に治療を始めることが大切です。
インフルエンザの合併症には、ウイルス自体が肺で炎症を起こす「ウイルス性肺炎」と、免疫力が低下したところに細菌が感染する「細菌性肺炎」があります。気管支喘息や心臓病、糖尿病などの持病が急激に悪化する危険性もあるため注意が必要です。
乳幼児はけいれんや意識障害を引き起こす、急性脳症が合併症として発症してしまう可能性もあります。子どもの場合は中耳炎を発症することもあり、普段との違いをよく観察しましょう。
インフルエンザにかかった場合、以下のような方は重症化するリスクが高いと考えられています。
- 65歳以上の高齢者
- 5歳未満の乳幼児(特に2歳未満)
- 妊婦
- 喘息、心臓病、腎臓病、糖尿病などの持病がある方
- 免疫抑制剤の使用などで免疫機能が低下している方
インフルエンザにかかった場合に、重症化するリスクが高い人は症状がひどくなる前に医療機関を受診し、治療を開始することが重要です。
インフルエンザに関するよくある質問
ここでは、インフルエンザに関する質問に分かりやすくお答えします。
予防接種を受けるとどの型でも罹りにくくなる?
インフルエンザワクチンは、接種すれば必ずどの型に対しても感染しないというものではありません。シーズンごとに流行が予測されるウイルスに合わせて作られています。現在のワクチンは、主にA型2種類とB型2種類、合計4種類のウイルスに対応する4価ワクチンが一般的です。
ワクチンの目的は、感染後の「重症化を防ぐ」ことです。インフルエンザにかかってしまっても、ワクチンを接種していれば、命に関わる重篤な合併症に陥るリスクを軽減する効果が期待できます。(※1)しかし、ワクチンの効果は100%ではなく、接種しても感染してしまう可能性はあるため、感染症予防をすることが重要です。
インフルエンザの「亜型」とは?
「亜型」とは、主にインフルエンザA型ウイルスをさらに細かく分類するための名前です。
ウイルスの表面には、ヒトの細胞に侵入するためのカギとなる「ヘマグルチニン(H)」と、増殖したウイルスが細胞から飛び出すためのハサミの役割をする「ノイラミニダーゼ(N)」という2種類の突起があります。Hには18種類、Nには11種類あり、その組み合わせによってウイルスの性質が異なります。
A型ウイルスは、このHとNの組み合わせを大きく変化させることがあり、それによって全く新しい性質のウイルスが生まれます。多くの人がその新しいウイルスに対する免疫を持っていないため、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こす原因となるのです。
抗インフルエンザ薬の副作用は?
抗インフルエンザ薬は、重症化を防ぐ目的で広く使われていますが、医師の指示に従って適切に使用することが重要です。副作用として、吐き気や下痢などが起こることがありますが、頻度は高くなく、多くは自然に改善します。(※2)
インフルエンザにかかった際に、薬の使用後に急に走り出す、ウロウロするといった異常行動が報告されることがありました。(※3)しかし、抗インフルエンザ薬の服薬の有無にかかわらず、インフルエンザにかかったこと自体に伴う異常行動が報告されています。(※4)
小さなお子さんがいるご家庭では、発熱から少なくとも2日間は一人にせず、窓や玄関の鍵を閉めておくなどの対策を取ることが重要です。
なお、抗インフルエンザ薬の予防使用は、高齢者や基礎疾患のある方など、重症化リスクが高い場合に限り、医師が必要と判断した場合に検討されます。実際には、予防目的で処方されるケースは限られており、一般的に広く行われているものではありません。(※5)
まとめ
インフルエンザと一言で言っても、急な高熱や強い倦怠感が特徴のA型、お腹の症状や咳が長引きやすいB型など、種類によって症状の現れ方が異なります。大切なのは、ワクチン接種による予防と、かかってしまった際の重症化を防ぐことです。
つらい症状を感じたら「ただの風邪かも」と自己判断せず、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。
参考文献
- 厚生労働省:「インフルエンザワクチン(季節性)」
- 日本小児科学会:「2025/26 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」
- 厚生労働省:「令和6年度インフルエンザQ&A」
- Jeong HS, Lee YW, Rhee TG, Shim SR.Associations of oseltamivir with neuropsychiatric and behavioral adverse events: A systematic review and meta-analysis.J Manag Care Spec Pharm,2025,31,10,p.1051-1061.
日本感染症学会:「インフルンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設含めて)」
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