最終医学的確認日:2026年8月
朝起きるとのどが痛い、口の中がカラカラに乾いている——それは、寝ている間に口呼吸になっているサインかもしれません。睡眠中は意識して口を閉じることができないため、日中はなんとか鼻で呼吸できていても、寝ている間だけ口が開いてしまう方は少なくありません。
この記事では、大人に多い4つの原因と、自分では気づきにくい睡眠中の口呼吸を朝のサインから見分ける方法、今夜からできる対策、そして医療機関に相談したほうがよい症状までを解説します。
この記事でわかること
寝る時の口呼吸は、鼻づまり・口周りの筋力低下・あごの形・就寝前の飲酒が主な原因で、朝の喉の痛みや口の乾きから気づけます。就寝1時間前・寝る直前・寝る姿勢の3つのタイミングで対策します。
- 寝る時の口呼吸の原因は、鼻づまり・口周りの筋力低下・あごの形・飲酒や睡眠薬の4つです
- 朝の喉の痛み、口の乾燥、唇の乾き、起床時の口臭、いびきの指摘の5つが気づくサインになります
- 対策は就寝1時間前・寝る直前・寝る姿勢の3つのタイミングに分けて考えます
- 口テープは鼻が通っている人に限られ、いびきや日中の眠気がある場合は先に受診が必要です
寝てる時に口呼吸かわかる方法はありますか?朝に出る5つのサイン
あります。睡眠中の自分の状態を直接確認することはできませんが、朝起きたときの症状から高い確度で推測できます。次の5つのうち2つ以上が当てはまる場合、寝ている間に口呼吸になっている可能性があります。
| No. | 朝に出るサイン | なぜそうなるのか |
|---|---|---|
| 1 | 喉が痛い、いがらっぽい | 乾いた空気が直接喉に届き、粘膜が乾燥するため |
| 2 | 口の中がカラカラに乾いている | 口が開いた状態が続き、唾液が蒸発して行き渡らなくなるため |
| 3 | 唇が乾いてカサついている | 唇が閉じずに外気にさらされ続けるため |
| 4 | 起床時の口臭が特に強い | 唾液の自浄作用が働かず、細菌が増えやすくなるため |
| 5 | 家族からいびきを指摘される | 口が開くと舌の付け根が下がり、気道が狭くなりやすいため |
喉の粘膜が乾いた状態が毎晩続くと、風邪をひきやすいと感じる方もいます。冬場や乾燥した季節に朝の喉の痛みが強くなるのも、同じ理由によるものです。
このチェックはあくまで気づきのための目安であり、自己診断をするためのものではありません。
家族に見てもらう・録音してみる
より確実に確認したい場合は、同居されている方に、寝入ってから30分ほど経った時点で口が開いているかを見てもらう方法があります。ひとり暮らしの場合は、スマートフォンの録音アプリを一晩作動させておき、いびきや口を開けたときの呼吸音が入っていないかを確認する方法もあります。ただし録音でわかるのは音だけで、口が開いているかどうかは直接判定できません。あくまで目安として扱ってください。
寝る時に口呼吸するのはなぜ?大人に多い4つの原因
起きているときは意識して口を閉じられますが、睡眠中は意識が働きません。そのため、日中は問題なく鼻で呼吸できていても、寝ている間だけ口呼吸になることがあります。大人に多い原因は次の4つです。
原因1:鼻づまり(鼻の病気)
最も多い原因です。アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などで鼻が詰まっていると、鼻から十分な空気を取り込めず、体が自動的に口を開けて呼吸します。横になると鼻の粘膜に血液が集まりやすく、日中は気にならない程度の鼻づまりでも、就寝時に悪化することがあります。
片側だけ詰まる、寝返りを打つと詰まる側が入れ替わる、花粉の時期に悪化する、といった特徴があれば、この原因が強く疑われます。
原因2:口周りの筋力低下と舌の位置
唇を閉じる口輪筋や舌を持ち上げる筋肉の力が低下していると、睡眠中に筋肉がゆるんだときに口が開いてしまいます。舌が本来の位置(上の前歯の少し後ろのスポット)から落ちている状態だと、あお向けで寝たときに舌の付け根が喉のほうへ下がり、口が開きやすくなります。
原因3:あごの形・体格
下あごが小さい、あるいは後ろに引っ込んでいる骨格の方は、あお向けで寝たときに舌の付け根が気道を狭めやすく、口を開けて呼吸を補う形になりやすいとされています。首まわりに脂肪がつくと気道が狭くなるため、体重の増加も影響します。歯並びで前歯が前に出ている場合は、そもそも唇を閉じにくい状態です。
原因4:就寝前の飲酒・睡眠薬
アルコールや一部の睡眠薬には筋肉をゆるめる作用があり、就寝前に飲むと口周りや喉の筋肉がより強くゆるみます。その結果、普段は口を閉じて眠れている方でも、飲酒した夜だけ口呼吸やいびきが出ることがあります。飲んだ翌朝だけ喉が痛い、という心当たりがあればこの原因が関係しています。
なお睡眠薬については、自己判断で中止や減量をせず、処方を受けている医師にご相談ください。
今夜からできる対策|就寝前・寝る直前・寝る姿勢
対策は、タイミングを3つに分けて考えると実行しやすくなります。原因1(鼻づまり)に心当たりがある方は、まず鼻を通すことが最優先です。
就寝1時間前:鼻を通す・飲酒を控える
- 入浴で温まり、湯気を吸い込むことで鼻の通りが一時的によくなります。就寝直前ではなく1時間前の入浴が目安です
- 寝室の湿度を保つと、鼻や喉の粘膜の乾燥を防ぎやすくなります
- 就寝前の飲酒を控えます。原因4に該当する方は、これだけで翌朝の喉の痛みが変わる場合があります
- 鼻炎の薬を処方されている方は、服用タイミングを医師や薬剤師に相談してみてください
寝る直前:口周りの筋肉を動かす
口を閉じる筋肉を寝る前に動かしておくと、睡眠中に口が開きにくくなることが期待できます。代表的なものが、口と舌を大きく動かすあいうべ体操と、舌を正しい位置に戻すトレーニングです。どちらも道具は不要で、1回あたり1〜2分です。
それぞれの具体的な手順と回数の目安は、関連記事「口呼吸の治し方」で解説しています。
寝る姿勢:あお向けを避ける
あお向けで寝ると、重力で舌の付け根が喉のほうへ下がり、気道が狭くなって口が開きやすくなります。横向きで寝ると舌が落ち込みにくく、いびきも軽くなる場合があります。抱き枕を使うと横向きの姿勢を保ちやすくなります。
枕の高さも影響します。高すぎる枕はあごを引いた姿勢になり気道を圧迫し、低すぎる枕はあごが上がって口が開きやすくなります。あお向けに寝たときに、顔の面がやや下向き(額より少しあごが低い)になる高さが目安です。
口テープ(口閉じテープ)は使ってよいですか?
鼻で支障なく呼吸できる方であれば、口を閉じる習慣づけの補助として使う選択肢はあります。ただし、次の3つに当てはまる場合は使わないでください。
- 鼻づまりがある間。鼻で呼吸できない状態で口をふさぐことになります
- いびきを指摘されている、日中の強い眠気があるなど、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合。自己判断で使わず先に医療機関にご相談ください
- 飲酒した夜。筋肉がゆるみ、鼻からの呼吸が妨げられたときに気づきにくくなります
口を閉じるテープはSNSをきっかけに広まりましたが、有効性と安全性を検証した研究では慎重な見方が示されています。
2025年にPLOS ONE誌に掲載された系統的レビュー(Rheeら)では、条件を満たした10研究・計213人が分析されました。その結果、睡眠時無呼吸の指標(AHIまたは酸素飽和度低下)の統計的に有意な改善を示したのは10研究のうち2研究にとどまり、軽度の閉塞性睡眠時無呼吸の限られた患者群を除いて、広く臨床的な利益が立証されたとは言えないと報告されています。さらに、対象となった10研究のうち4研究が、鼻閉がある場合の窒息リスクについて明示的に論じていました。
この結果が意味するのは、鼻づまりが原因で口呼吸になっている人が口をテープでふさぐことは、原因を残したまま出口だけをふさぐ行為になる、ということです。口テープは口呼吸を治す方法ではなく、鼻で問題なく呼吸できる人が口を閉じる習慣をつけるための補助的な道具として位置づけてください。
また、口を閉じたいという目的であれば、テープ以外に口周りの筋肉を鍛える方法や、横向きで寝る、枕の高さを調整するといった対策が先にあります。テープから始める必要はありません。
いびき・睡眠時無呼吸症候群との関係
寝る時の口呼吸といびきは、同じ原因から起こることが多く、しばしば同時に見られます。口が開くと舌の付け根が下がって気道が狭くなり、狭くなった気道を空気が通るときに粘膜が振動していびきの音が生じます。つまり口呼吸はいびきの原因になり得ますが、いびきがあるからといって必ず口呼吸とは限りません。
注意が必要なのは、いびきの背後に睡眠時無呼吸症候群がある場合です。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりを繰り返す病気で、日中の強い眠気や集中力の低下、高血圧などとの関連が指摘されています。
次のような症状がある場合は、セルフケアより先に受診を検討してください。
- 家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われたことがある
- 十分に寝たはずなのに日中に強い眠気がある、運転中に眠くなる
- 朝起きたときに頭痛がある、夜中に何度も目が覚める
睡眠時無呼吸症候群かどうかは、睡眠中の呼吸の状態を調べる検査によって判断されます。セルフチェックの結果だけで判断できるものではないため、気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
受診の目安と、何科に相談すればよいか
監修医コメント:受診を判断する基準について
寝ている間の口呼吸でご相談を受けたときは、朝の症状がどのくらい続いているかと、日中に眠気があるかを必ず確認します。朝の喉の痛みや口の乾きだけで、日中の眠気やご家族からの指摘がない場合は、まず鼻の通りを整えて寝る姿勢を見直し、2〜3週間様子を見ていただくことが多いです。一方で、日中に強い眠気がある、寝ている間に呼吸が止まっていると言われた、朝に頭痛があるという場合は、様子を見るのではなく検査を受けていただくようお伝えしています。
対策を2〜3週間続けても朝の症状が変わらない場合や、前章に挙げた症状がある場合は、医療機関への相談を検討してください。相談先は原因によって変わります。
| こんなとき | 主な相談先 | 診てもらう内容 |
|---|---|---|
| 鼻が詰まる、片側だけ詰まる、においが分かりにくい | 耳鼻咽喉科 | 鼻の病気の有無と治療 |
| いびきを指摘された、日中の眠気が強い、呼吸が止まると言われた | 耳鼻咽喉科・睡眠外来のあるクリニック | 睡眠中の呼吸の状態を調べる検査 |
| 朝の口の乾燥が続く、むし歯や歯周病が気になる | 歯科(一般歯科) | 口腔内の状態と口周りの筋肉のトレーニング |
| 前歯が出ていて唇が閉じにくい | 矯正歯科 | 歯並び・骨格の評価と矯正治療 |
受診の際は、朝に出る症状のうちどれが当てはまるか、いつからか、飲酒との関係、家族から指摘された内容をメモして持っていくと、診察がスムーズになります。
よくある質問(FAQ)
寝る時に口呼吸するのはなぜですか?
睡眠中は意識して口を閉じることができないため、鼻づまりや口周りの筋力低下があると口が開いてしまいます。大人では鼻づまりが最も多い原因で、あごの形や就寝前の飲酒も影響します。
口を開けて寝てしまう原因は何ですか?
鼻づまり、口周りの筋力低下と舌の位置、あごの形や体格、就寝前の飲酒や睡眠薬の4つが主な原因です。日中は鼻呼吸できていても、寝ている間だけ口が開く方は少なくありません。
寝る時の口呼吸は危険ですか?
それ自体がすぐに命に関わるものではありませんが、朝の喉の痛みや口の乾燥、むし歯や歯周病のリスク、睡眠の質の低下につながります。いびきや日中の強い眠気を伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があるため受診が必要です。
マスクをして寝ると口呼吸は防げますか?
マスクは口や喉の乾燥をやわらげる助けにはなりますが、口が開くこと自体を防ぐものではありません。乾燥対策としては使えますが、口呼吸の対策としては原因への対処が必要です。
寝る時の口呼吸はどのくらいで改善しますか?
原因によって異なります。飲酒が原因であれば控えた翌朝から変わることもありますが、鼻づまりは治療期間が必要で、口周りの筋力は数か月単位の継続が目安とされています。効果の現れ方には個人差があります。
まとめ
寝る時の口呼吸は、睡眠中に意識が働かないために起こります。大人に多い原因は鼻づまり・口周りの筋力低下・あごの形・就寝前の飲酒の4つで、どれに当てはまるかによって対策が変わります。
まずは朝の5つのサインで自分の状態を確認し、就寝1時間前・寝る直前・寝る姿勢の3つのタイミングで対策してください。口テープは鼻で問題なく呼吸できる人に限られ、いびきや日中の眠気がある場合は先に医療機関への相談が必要です。
起きているときも含めた口呼吸そのものの治し方については、関連記事「口呼吸の治し方」で原因別の対処法と受けられる治療を解説しています。
口の中の乾燥で細菌が増えることに関連する記事はこちら⇒【医師監修】舌が白いのはなぜ?原因は舌苔か病気か|見分け方・正しい取り方・受診の目安を歯科医が解説
次のステップ:まずは朝の状態を記録することから
寝ている間の口呼吸は自覚しにくいため、まずは朝の状態を1週間ほど記録してみることから始めてみましょう。
- 起きた直後に、喉の痛み・口の乾き・唇の乾きがあったかをメモする
- 前夜に飲酒したかどうかを併記する
- 鼻が詰まっていたか、左右どちらだったかも書き添える
1週間分並べると、飲酒した翌朝だけつらいのか、毎朝同じなのか、鼻づまりと連動しているのかが見えてきます。これは受診時に医師へ状況を伝える材料としても役立ちます。対策を2〜3週間続けても変化がない場合は、一人で続けるより、一度医療機関に相談したほうが早く進みます。