紫外線は肌だけでなく目にも影響を与え、浴びた直後に起こる充血や痛みと、長年の蓄積で進行する白内障・翼状片(よくじょうへん)などの病気の2つに分かれます。この記事では、紫外線が目のどこまで届くのか、どんな症状や病気につながるのか、受診の目安、サングラスや帽子の選び方までを日本眼科学会認定眼科専門医が解説します。
この記事でわかること
- 紫外線が目のどこまで届き、なぜ影響が急性と慢性に分かれるのか
- 紫外線を浴びた後の症状と、眼科を受診する目安
- 白内障・翼状片など、長年の紫外線が関わる目の病気
- 紫外線の影響が強く出る場面と、影響を受けやすい人
- サングラス・メガネ・帽子の選び方と、子どもの紫外線対策
紫外線が目に与える影響とは
浴びた直後に現れる「急性症状」と、長年浴び続けることで進行する「慢性の病気」の大きく2つに分かれます。 前者の代表が紫外線角膜炎、後者の代表が白内障と翼状片です。
地表に届く紫外線は2種類
紫外線(UV)は波長によってUV-A・UV-B・UV-Cに分けられます。UV-Cは空気中の酸素分子とオゾン層にさえぎられ、地表には届きません。UV-Bも大半はオゾン層で吸収されますが一部は地表に到達し、皮膚や目に有害とされています。UV-Aは多くが地表に届くため、長時間浴びた場合の影響が懸念されています。
| 種類 | 波長 | 地表への到達 | 目での吸収 |
|---|---|---|---|
| UV-C | 100〜280nm (ナノメートル) | 届かない (酸素分子とオゾン層で吸収される) | 溶接など人工光源では発生する |
| UV-B | 280〜315nm | 一部が届く | 大半が角膜で吸収される |
| UV-A | 315〜400nm | 多くが届く | 角膜を通過した分のほとんどが水晶体で吸収される |
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)。
※UV-A/UV-B/UV-Cの区分には複数の定義があり、本表は気象庁の区分によります。
目は紫外線を段階的に受け止めている
波長が280ナノメートル以下の光は、眼球表面の角膜ですべて吸収されます。これより長い紫外線も大半は角膜で吸収され、角膜を通過した分のほとんどはレンズの役割を担う水晶体で吸収されます。網膜まで到達するのは残りの1〜2%です。
つまり角膜と水晶体が、網膜を守る形で紫外線をほとんど受け止めています。このため、紫外線の影響は角膜と水晶体に集中します 。

多量の紫外線を浴びた後に起こる目の症状
スキーや海水浴のあと、その日の夜になって目が痛み出すことがあります。紫外線角膜炎と呼ばれ、白目の充血、異物感、涙が出るといった症状が現れます。大部分は24〜48時間で自然に治りますが、痛みが強い場合は眼科を受診してください。
どんなときに起こりやすいか
日常生活で起こることはまれで、多くは次のような場面です。
- 雪山でのスキー・スノーボード、雪上での作業
- 残雪や雪渓のある山での登山
- 溶接作業など、人工光源によるもの
共通しているのは、多量の紫外線に長時間さらされることです。
紫外線角膜炎(雪目)とは
強い紫外線を浴びたときに起こる急性の角膜の炎症です。結膜(白目)の充血、異物感、流涙(りゅうるい:涙が止まらなくなる症状)がみられ、ひどくなると強い痛みを生じます。雪面のように反射が特に強い場所で起こるものは「雪目(ゆきめ)」と呼ばれます。
特徴は症状が出るまでの時間差です。昼間に浴びた場合、夜から深夜あるいは翌朝にかけて発症します。いわば目の日焼けですが、肌と違ってその場では自覚できないため、原因が紫外線だと気づかれにくいところがあります。
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
溶接による電気性眼炎はUV-Cで起きる
溶接の熱源から出る紫外線には、地上に届かないUV-Cが含まれます。数メートルの距離から3〜10分程度見ていると角膜炎・結膜炎を起こすことがあり、電気性眼炎と呼ばれます。通常は12〜24時間で自然に治まりますが、痛みや刺激症状が強い場合は眼科での治療が必要です。
自宅でできること
症状が出たときは、目を休ませ冷やすことが基本です。コンタクトレンズは外してください。目をこすると角膜の傷が広がるため避けます。
眼科を受診する目安
次の4つのうち、いずれかの症状がある場合は、早めに眼科で診察を受けてください。
- ①痛みが強く、目を開けていられない
- ②見えにくさがある、視界がかすむ
- ③24〜48時間たっても症状が軽くならない
- ④溶接作業や殺菌灯など、人工光源に曝露した
自然に治ることが多い一方、角膜の傷から感染を起こすと経過が長引くため、痛みが強いときは我慢せず受診をお勧めします。
長年の紫外線が引き起こす目の病気
紫外線の蓄積が関わるとされる目の病気には、白内障と翼状片、そして翼状片と間違われやすい瞼裂斑(けんれつはん)があります。いずれも紫外線だけが原因ではなく、リスク要因の1つと位置づけられています。
白内障とは
水晶体が濁って網膜まで光が届きにくくなり、見えにくくなる病気です。
環境省の資料では、白内障の危険因子として加齢、性別(女性が男性より多い)、喫煙、紫外線(UV-B)、糖尿病、強度近視、ステロイドなどの薬物が挙げられています。紫外線はこのうちの1つで、紫外線を防げば白内障にならないというものではありません。ただし加齢や体質と違い、対策できる要因である点に意味があります。
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
翼状片とは
翼状片とは、白目の組織(結膜)が異常に増殖し、鳥の羽のような形で黒目(角膜)に向かって伸びてくる病気です。 通常は30歳代以降に発症し進行は速くありませんが、瞳孔の近くまで進むと乱視が強まるなどして視力に影響します。農業や漁業の従事者など屋外での活動時間が長い方に多く、紫外線が関係すると考えられています。
治療は外科的な切除ですが、2〜7%は再発して再手術が必要になる課題があります。
瞼裂斑とは
瞼裂斑とは、まぶたの間から露出している黒目の横の白目(3時や9時の方向)に、黄色みを帯びた盛り上がりができる症状です。多くは経過をみることになりますが、炎症を起こすと充血や異物感が出て治療が必要になります。紫外線や乾燥、風などの刺激の影響でタンパク質や脂肪が沈着しておこります。翼状片と混同されやすいのですが、角膜に入り込まない点が異なります。
【補足】加齢黄斑変性も紫外線が原因になる?
加齢黄斑変性は、網膜の中心にある黄斑が加齢に伴って傷む病気です。日光を浴びる時間との関連を報告した研究はありますが、光の波長を分けて調べた研究では、関連が示されたのは青色光を含む可視光で、UV-A・UV-Bとの関連は認められていませんでした。網膜まで届く紫外線が1〜2%にとどまることとも整合します。
参考:Taylor HR, et al.(Chesapeake Bay Waterman Study, 1992)/Cruickshanks KJ, et al.(Beaver Dam Eye Study, 1993)
目に入る紫外線が多くなる環境
目に浴びる紫外線の量は、「地面からの反射」や「時間帯・季節」によって大きく変わります。屋外で過ごす時間が長いほど、目へのダメージも蓄積しやすくなります。
地面の反射で浴びる量
紫外線は空から降るだけでなく、地面に反射して下からも目に入ります。反射率は地面の種類で大きく異なります。
| 地面の種類 | 紫外線の反射率 |
|---|---|
| 新雪 | 80% |
| 砂浜 | 10〜20% |
| 水面 | 10〜20% |
| コンクリート・アスファルト | 10% |
| 草地・芝生・土面 | 10%以下 |
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
雪目がスキー場で起こりやすいのは、新雪の反射率が80%と際立って高いためです。帽子のつばは上からの紫外線を防ぎますが、下からの反射には効きません。雪山で目の対策が特に重要になるのはこのためです。
季節・時間帯・天候・標高による紫外線量の違い
地面からの反射だけでなく、上から降り注ぐ紫外線の量も以下の4つの条件によって大きく変動します。
- ①季節:4月から9月に、1年間のおよそ70〜80%が集中します
- ②時間帯:紫外線の多い夏は午前10時から午後2時の間に、1日のおよそ70%が集中します(冬は同じ時間帯で80〜85%)
- ③天候:薄い雲ではUV-Bの80〜90%が透過します。曇りでも紫外線は届いています
- ④標高:1000m上昇するごとに紫外線量は10〜12%増加します
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
目の紫外線対策|サングラス・メガネ・帽子の選び方
紫外線から目を守るには、サングラスやメガネ、帽子の活用が効果的です。
これらを適切に使うことで、目に入る紫外線を最大で90%減らせるとされています。しかし、サングラスそのものが紫外線予防になるという誤解や、色の濃さに関する勘違いも少なくありません。
適切なアイテムを選び、正しい対策を行いましょう。
サングラス・メガネを選ぶときに確認すること
サングラスやメガネを選ぶ際、最も誤解が多いのが「レンズの色の濃さ」です。色が濃いほど紫外線を防げると思われがちですが、レンズの色と紫外線カット率は関係ありません。
色が濃くUVカット率が低いレンズは、むしろ危険です。暗さで瞳孔が大きく開くため、かえって多くの紫外線が目の中に入り込んでしまいます。
アイテムを選ぶ際は、以下のポイント(表)を確認しましょう。
| チェック項目 | 選ぶ基準・ポイント |
|---|---|
| UVカットの表示 | 「紫外線透過率1.0%以下」「UV400」などの表示があるものを選ぶ。(※素材による違いはあるが、表示で確認するのが確実) |
| レンズの大きさ | 小さいレンズでは上・横・下から入る紫外線を防げないため、ある程度の大きさがあるものを選ぶ。 |
| 顔とのフィット感 | 顔の骨格に合わないと隙間から紫外線が入る。フィットするものを選ぶ。(※スポーツではゴーグルタイプも選択肢) |
| レンズの色の濃さ | 防止効果とは無関係。(※まぶしさの軽減が目的であり、色の濃さで選ばない) |
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
日常でできる目の紫外線ケア(帽子・時間帯)
サングラスの着用に加えて、帽子の活用や外出時間帯の工夫を組み合わせることで、予防効果をさらに高めることができます。
- 帽子の着用: つばの広い帽子(7cm以上)をかぶることで、目に入る紫外線は20%程度減少します。サングラスと併用すると、約90%の紫外線をカットできます。
- 時間帯の意識: 紫外線の強い時間帯(午前10時〜午後2時ごろ/UVインデックス3以上)を避けて外出の予定を組みましょう。

子どもの目こそ紫外線対策が必要な理由
子どもの時期は、生涯に浴びる紫外線のうち相当な割合を占めます。屋外で過ごす時間が大人より長く、紫外線による影響は数十年たってからあらわれるため、幼少期からのケアが大切です。
子どもにとって屋外で過ごす時間は発達において大切な意味があり、外遊びを無理に減らす必要はありません。大切なのは「外遊びを楽しみつつ、適切な予防策を組み合わせること」です。
日差しの強い時間帯を避けたり、帽子を活用したりすることで、安全に屋外活動を楽しめます。
家庭でできる日頃の紫外線ケア
日常の外出や外遊びの際は、以下の工夫を取り入れましょう。
- 時間帯を選ぶ: 紫外線の強い時間帯(午前10時〜午後2時ごろ)を避けて外出の予定を組みます。
- つばの広い帽子をかぶる: 首の後ろまで覆えるつば広(7cm以上)の帽子が効果的です。
- 日陰・木陰を選んで遊ぶ: 直射日光を避けるだけでも目に入る紫外線量を大幅に減らせます。
- 反射の強い場所での対策: 雪上や水辺、砂浜などは地面からの反射率が高いため、帽子やサングラスによる対策の優先度を上げましょう。
増加する紫外線と、教育現場での新たな対策
近年、国内の紫外線量はデータとしても明確な増加傾向にあり、それに伴って教育現場でも子どもたちの目を守る新しい動きが始まっています。
データが示す、国内の紫外線量の増加
気象庁の観測によると、国内の紫外線量は観測を開始した1990年以降、データ上でもはっきりと増加し続けています。
この増加はオゾン量の変動では説明できず、雲量やエアロゾル(大気中の微粒子)の減少が寄与している可能性が指摘されています。
出典:気象庁「日本国内の紫外線の経年変化」/環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
教育現場でも進む、サングラス導入の動き
こうした背景から、近年では複数の中学校・高等学校で、生徒のサングラス着用が導入、または試行されています(INTERMESTIC調べ)。
子どものサングラスを選ぶ際、紫外線から目を守るために重要なのは「レンズの色」ではなく「UVカット機能」です。学校で導入されているサングラスには、以下のような特徴(規格)があります。
- 高い紫外線カット率: UVカット機能が99%以上
- コミュニケーションを妨げない色: 相手から生徒の「目元」がうっすら見える程度の薄いレンズ
UVカット機能が紫外線から目を守り、レンズの色がまぶしさを抑える役割をしています。屋外の部活動や体育では、まぶしさで視界が妨げられることが安全面の問題にもなるからです。
よくある質問(FAQ)
まとめ:紫外線から目を守るための影響と対策
- 影響は「急性」と「慢性」の2種類: 直後に起こる紫外線角膜炎(雪目など)と、長年の蓄積による白内障・翼状片・瞼裂斑などの病気に分かれます。
- 環境による紫外線量の変化に注意: 目に入る紫外線は「時間帯」や「環境(地面や雪面からの反射)」によって大きく変わります。日差しの強い時間は特に注意が必要です。
- 正しい対策アイテムを選ぶ: 「UVカット機能付きのレンズ」と「つばの広い帽子」の併用が最も効果的です。なお、レンズの色の濃さとUVカット性能は関係ありません。
目の痛みや充血、見えにくさが続く場合は、我慢せずかかりつけの眼科にご相談ください。紫外線による症状の多くは自然に治りますが、それ以外の原因が隠れていることもあります。
参考文献
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)
- 気象庁「日本国内の紫外線の経年変化」
- 日本眼科医会「気をつけよう! 子どもの近視」
- Taylor HR, West S, Muñoz B, et al. The long-term effects of visible light on the eye. Arch Ophthalmol. 1992;110(1):99-104.
- Cruickshanks KJ, Klein R, Klein BE. Sunlight and age-related macular degeneration: the Beaver Dam Eye Study. Arch Ophthalmol. 1993;111(4):514-518.
