耳の後ろにズキズキ、ピリピリとした痛みを感じ、原因がわからず不安になっていませんか。この場所には神経やリンパ節などが密集しており、痛みの原因は多岐にわたるため、ご自身で判断するのは難しいものです。
この記事では、神経のトラブルやリンパ節の腫れ、皮膚の炎症など、耳の後ろの痛みを引き起こす主な原因と病気を解説します。痛み方から原因を探るセルフチェック、痛みが続く期間の目安、受診すべき診療科もあわせて紹介します。
ご自身の症状と照らし合わせて読み進めることで、考えられる原因のあたりをつけられます。受診すべきかどうかの判断基準もわかり、次の一歩を具体的に考えられるようになります。
この記事でわかること
- 耳の後ろが痛む主な原因(神経・リンパ節・耳・皮膚)と考えられる病気
- ズキン・ピリピリ・押すと痛いなど、痛み方や伴う症状から原因を探る方法
- 痛みが続く期間の目安と、救急車を呼ぶべき症状・急いで受診すべき症状
- 症状に合わせた受診先(耳鼻咽喉科・皮膚科・脳神経内科など)
- 受診するまでの冷やす・温めるの使い分けと、避けたい行動
耳の後ろが痛い主な原因は神経・リンパ節・耳・皮膚のトラブル
耳の後ろが痛む原因は、大きく次の4つに分けられます。
- 神経:首の骨から頭皮へ伸びる神経が刺激されて痛む
- リンパ節:頭皮や耳の周囲の炎症・感染などに反応して、耳の後ろのリンパ節が腫れる
- 耳:外耳道や中耳の炎症が、耳の後ろにまで広がる
- 皮膚:帯状疱疹や、粉瘤の炎症で痛む
耳の後ろは、神経・リンパ節・耳の奥に続く骨・首の筋肉が密集している場所です。そのため、痛みの質や、しこり・赤みなどの見た目の変化、耳だれや聞こえにくさといった他の症状が、原因を探る手がかりになります。
耳の後ろが痛いときのセルフチェック
原因を探るには、「痛み方」「伴う症状」「皮膚の変化」の3つの視点で観察すると役立ちます。ここでのチェックは受診の目安です。ご自身で病名を判断せず、医師に伝える情報を整理するためにお使いください。
痛み方|ズキズキ・ピリピリ・押すと痛い
痛みの感じ方は、原因を推測する手がかりの一つです。ご自身の痛みがどれに近いか、以下の表で確認してみましょう。
| 痛み方の特徴 | 考えられる原因の例 |
|---|---|
| ズキズキ・ジンジン響く | リンパ節の腫れ、中耳炎、炎症を起こした粉瘤など、炎症や感染のサイン |
| ズキンとする鋭い痛みが数秒〜数分繰り返す | 後頭神経痛(※1) |
| ピリピリ・チクチク・ヒリヒリする | 帯状疱疹の前ぶれの痛み(※2) |
| 押すと痛む | リンパ節の腫れ、後頭神経痛(神経の通り道の圧痛)、粉瘤、首や肩のこり |
| 口を開けたり噛んだりすると痛む | 顎関節症 |
痛みが一瞬で終わるか持続するか、だんだん強くなるかといった経過も診断の助けになります。メモしておくと、診察時にスムーズに伝えられます。
伴う症状|発熱・めまい・顔の動かしにくさ
同時に現れる症状は、緊急度を判断するサインになります。
- 発熱、のどの痛み、せき:感染症に伴うリンパ節の腫れが考えられる
- めまい、耳鳴り、聞こえにくさ:中耳炎のほか、耳の周りの帯状疱疹の可能性もある
- 顔の動かしにくさ、顔の違和感、味がしない:顔面神経麻痺が疑われる
顔面神経麻痺は、原因や重症度によって治療法や回復の見込みが異なります。代表的な原因であるベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群などでは発症早期の治療が重要なため、顔の動かしにくさに気づいたら、速やかに医療機関を受診してください。手足の麻痺や、ろれつが回らないなど、脳卒中が疑われる症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。
※顔面神経麻痺の代表的な病気
- ベル麻痺:最も一般的な顔面神経麻痺です。突然、顔の片側が動かしにくくなるのが特徴です。
- ラムゼイ・ハント症候群:顔の麻痺に加えて、耳の周りの痛みや水ぶくれ、めまいなどを伴います。ベル麻痺に比べて治りにくいため、特に注意が必要です。
皮膚の変化|しこり・赤み・発疹・水ぶくれ
耳の後ろを鏡で見たり、そっと触れたりして、次のような皮膚の変化がないか確認してみましょう。
- しこりがある:リンパ節の腫れや、炎症を起こした粉瘤(皮膚の下にできる袋)などが考えられる
- 赤く腫れて痛む:粉瘤の細菌感染(※3)や、中耳炎が耳の後ろの骨まで広がったときにみられる(※4)
- 発疹や水ぶくれがある:帯状疱疹の可能性が高く、ピリピリした痛みが先に出るのが特徴(※2)
自分で潰したり強くこすったりすると、感染を広げる原因になります。まずは医療機関に相談しましょう。
耳の後ろが痛いときに考えられる主な病気
ここでは代表的な病気の特徴を、痛みの種類ごとに解説します。ご自身の症状と見比べ、受診の目安としてください。
ズキンとする鋭い痛みを繰り返す|後頭神経痛
耳の後ろから後頭部にかけて、ズキンとする鋭い痛みが数秒から数分続き、それを繰り返す場合、後頭神経痛が考えられます。
国際頭痛分類では、大後頭神経・小後頭神経・第3後頭神経のいずれかの支配領域に起こる痛みと定義され、「数秒〜数分間持続する疼痛発作を繰り返す」「激痛」「ズキンとするような、刺すような、または鋭いと表現される痛みの性質」のうち2つ以上を満たすこととされています。(※1)
さらに、頭皮や髪に軽く触れただけでピリピリとした違和感や痛みを感じること、後頭部(頭と首の境目)や耳の後ろあたりを押すと痛むこと、局所麻酔薬による神経ブロックで一時的に改善することが特徴です。(※1)そのため、洗髪やブラッシング、首を動かすといった日常の些細な動作でも痛みが起こることがあります。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による姿勢の乱れが、首周りの筋肉を緊張させる一因と考えられています。首や肩のこりと一緒に重だるい痛みが続く場合も、まずは姿勢と休息を見直しましょう。
押すと痛い・しこりがある|リンパ節の腫れ
耳の後ろのコリコリしたしこりを押すと痛むのは、リンパ節の腫れが原因かもしれません。
リンパ節は、細菌やウイルスなどに対する免疫反応に関わっています。耳の後ろのリンパ節は、頭皮や耳の周囲の炎症・感染などに反応して腫れることがあります。また、ウイルス感染などによって、耳の後ろ以外のリンパ節も腫れたり、発熱やのどの痛みを伴ったりすることがあります。
リンパ節の腫れには、炎症に反応して腫れるもののほか、頭頸部の悪性の病気がリンパ節に転移して腫れるものもあります。(※5)しこりが大きくなり続ける、複数箇所が同時に腫れるといった場合は、自己判断せず受診しましょう。
痛みのあとに発疹や水ぶくれが出る|帯状疱疹
ピリピリ・チクチクとした痛みが先行し、数日後に同じ場所に赤い発疹や水ぶくれが現れたら、帯状疱疹が強く疑われます。
帯状疱疹診療ガイドラインでは、皮膚症状が出る数日前から患部に生じる「ヒリヒリ」「チクチク」「ピリピリ」といった痛みを前駆痛と呼び、多くの症例で皮疹の出現する1週間以内に前駆痛を認めるとされています。(※2)過去にかかった水ぼうそうのウイルスが、加齢などによる免疫力の低下をきっかけに再活性化して発症する病気です。(※2)
耳の周りに発症すると、耳介部の帯状疱疹・顔面神経麻痺・内耳障害(めまい、難聴、耳鳴り)を三主徴とする「ラムゼイ・ハント症候群」に至ることがあります。耳介の帯状疱疹は19%が顔面神経麻痺に先行し、34%が後から出現すると報告されています。(※2)
抗ウイルス薬はウイルスの増殖が盛んな発症早期に最も効果を発揮するため、皮疹出現後72時間(3日)以内が最も適した投与開始時期とされています。(※2)発疹に気づいたら、様子を見ずに受診してください。
帯状疱疹の原因や治療、予防について詳しく知りたい方は、関連記事「帯状疱疹とは?」もあわせてご覧ください。
耳の痛み・耳だれを伴う|外耳炎(外耳道炎)・中耳炎
耳の中の痛みや耳だれ、聞こえにくさ、耳が詰まった感じを伴うなら、外耳炎や中耳炎が考えられます。
小児急性中耳炎診療ガイドラインでは、急性中耳炎を「急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある」と定義しています。(※6)外耳炎は、耳かきのしすぎなどで耳の穴の皮膚に傷がつき、細菌感染を起こして生じます。
特に注意したいのが、中耳の炎症が耳の後ろの骨(乳様突起)まで広がる「急性乳様突起炎」です。耳の後ろの腫れ、発赤、そして耳が前に押し出されたように見える「耳介聳立」が特徴です。(※4)耳の病気のあとに耳の後ろが赤く腫れてきた場合は、緊急性が高いと考えて受診してください。
なお、症状をうまく伝えられない小さなお子さんでは、しきりに耳を触る、機嫌が悪くぐずり続けるといった変化が手がかりになります。
耳の後ろではなく耳の奥が痛むときに考えられる原因は、関連記事「耳の奥が痛い原因とは?」もあわせてご覧ください。
口を開けると痛む|顎関節症
食事やあくびで口を大きく開けたとき、硬いものを噛んだときに耳の周りが痛むなら、顎関節症かもしれません。
日本顎関節学会は顎関節症を「顎関節やあごを動かしている咀嚼筋の痛み、顎関節雑音、開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害」と定義しています。(※7)口を開け閉めすると「カックン」「コッキン」というような音がする、口が開けにくいといったサインがないか確認してみましょう。(※8)
顎の関節は耳のすぐ前にあるため、副症状として「めまい、耳鳴り、耳がつまった感じ、難聴」といった耳の症状が現れることもあります。ただし、これらすべてが顎関節症によるものとは限らないため、医療機関で診断を受けることが勧められています。(※8)
耳の下からあごが腫れる|おたふくかぜ
お子さんで、耳の下からあごにかけて腫れて痛む場合は、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の可能性があります。
2〜3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て、唾液腺の腫れと圧痛、飲み込むときの痛み、発熱を主症状として発症します。腫れは通常48時間以内にピークを迎え、病気は通常1〜2週間で軽快します。(※9)
ただし、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん:高熱や激しい頭痛、吐き気を伴う脳の膜の炎症)や難聴を合併することがあります。おたふくかぜによる難聴は、聞こえが戻らずに障害として残るとされています。(※9)耳の下の腫れに気づいたら小児科や耳鼻咽喉科を受診し、聞こえの変化がある場合は速やかに耳鼻咽喉科に相談してください。
突然の激痛や神経症状を伴う|脳や血管の病気
頻度は高くありませんが、後頭部にかけての痛みが脳や血管の病気のサインである場合があります。日本脳卒中協会は、脳卒中の主な症状として次を挙げています。(※10)
- 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる
- ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
- 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
- 経験したことのない激しい頭痛がする
これらが突然現れた場合は、様子を見ずに救急車を呼んでください。どれだけ早く治療を始められるかが、命の危険や後遺症の程度を左右するためです。(※10)
耳の後ろの痛みが続く期間の目安
痛みがどのくらい続くかは、原因を探るヒントになります。ただし期間だけで自己判断するのは危険です。痛みの強さや、発熱・しびれといった他の症状とあわせて考えましょう。
数秒〜数分の痛みを繰り返す場合
数秒から数分で治まる鋭い痛みが何度も起こる場合、その多くは後頭神経痛など神経が原因の痛みと考えられます。ズキンとする痛みが突然現れて、すぐに消えます。(※1)
首や肩の筋肉の緊張、姿勢の乱れなどが引き金になります。痛む頻度が増える、強さが増す、痛む時間が長くなるようであれば、一度医療機関に相談しましょう。
数日〜2週間ほどで和らぐ場合
数日から2週間ほどで自然に軽快していくなら、感染症に伴うリンパ節の腫れや、一時的な筋肉の緊張が原因かもしれません。ジンジンと響くような鈍い痛みや、押すと痛む圧痛がみられます。
これはあくまで一般的な目安です。痛みが3日以上続く場合は、受診を検討してください。また、2週間経たなくても、日常生活に支障が出るほど強い場合や、高熱やめまいなど他の症状がある場合は、様子を見ずに受診してください。
日に日に痛みが強くなる・腫れが広がる場合
時間の経過とともに痛みが強くなる、腫れや赤みが広がるのは、炎症や感染が悪化しているサインです。以下にあてはまる場合、自然に治まる可能性は低いといえます。
- ズキズキと脈打つような痛みが強まる
- 耳の後ろが明らかに腫れて熱を持っている
- 赤みが周りに広がってくる
- 痛みに加えて水ぶくれや発疹が出てきた
急性乳様突起炎、細菌感染を起こした粉瘤、帯状疱疹などが疑われます。(※2)(※3)(※4)放置すると重症化する恐れがあるため、早めに受診してください。
耳の後ろが痛いときの受診目安
耳の後ろの痛みは、単なるこりが原因のこともあれば、治療が必要な病気のサインである場合もあります。ここでは、受診の目安を緊急度の高い順に解説します。
①突然の激しい頭痛や、脳卒中が疑われる症状がある場合は119番通報する
②耳の後ろの腫れや赤みが強い・急速に悪化している場合は夜間・休日でも受診する
③顔の動かしにくさ・急な聞こえの低下・耳周囲の水ぶくれがある場合は速やかに受診する
④痛みが数日続く・悪化する場合は受診を検討する
⑤受診時は痛み方・発症時期・伴う症状を伝える
①突然の激しい頭痛や、脳卒中が疑われる症状がある場合は119番通報する
経験したことのない突然の激しい頭痛、片側の手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、急に立てない・歩けない、意識がおかしいなどの症状がある場合は、すぐに119番通報してください。顔だけに麻痺やしびれが出る脳卒中もあるため、顔の症状だけだから大丈夫とは判断しないでください。
②耳の後ろの腫れや赤みが強い・急速に悪化している場合は夜間・休日でも受診する
耳の後ろが強い痛みとともに赤く腫れあがる、耳が前に押し出されて見えるといった場合は、中耳炎が骨まで広がった急性乳様突起炎などの可能性があります。夜間・休日でも医療機関に相談し、受診してください。発熱に加えてぐったりしているなど、全身状態が悪い場合も同様です。
③顔の動かしにくさ・急な聞こえの低下・耳周囲の水ぶくれがある場合は速やかに受診する
目が閉じにくい、口から水がこぼれるといった顔の動かしにくさや、急な聞こえの低下、めまいがある場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください(ベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群、突発性難聴などの可能性があります)。
また、耳の周りに痛みを伴う発疹や水ぶくれが出た場合も放置せず、皮膚科または耳鼻咽喉科を受診しましょう。
※なお、手足のしびれやろれつが回らないなど、脳卒中が疑われる場合は救急対応を優先してください。
④痛みが数日続く・悪化する場合は受診を検討する
激しい症状はなくても、痛みが長引いたり悪化したりするのは、体が助けを求めているサインです。以下にあてはまる場合は、我慢せず受診を考えましょう。
- 痛みが3日以上続いている
- 日に日に強くなる、または痛む範囲が広がってきた
- 市販の痛み止めが効かない、薬が切れるとすぐにぶり返す
- 耳の後ろのしこりが大きくなる、数が増えてきた
- 痛みで夜眠れないなど、生活に支障が出ている
⑤受診時は痛み方・発症時期・伴う症状を伝える
症状を正確に伝えることが、的確な診断への近道です。次の点をメモしておくと、慌てずに済みます。
- いつから:「昨日の夜から」「3日前から急に」など
- どこが:痛む場所を指で示せるようにしておく
- どんな痛み:「ズキズキ」「ピリピリ」「押すと痛い」など、感じたままの言葉で
- 痛みの変化:ずっと痛いのか、時々数秒だけなのか、強くなってきたのか
- きっかけ:口を開けたとき、首を動かしたときなど
- 他の症状:発熱、めまい、聞こえにくさ、耳だれ、顔の麻痺、発疹、しこりの有無
耳の後ろが痛いときは何科を受診する?
どの診療科を受診すべきかは、痛み以外にどのような症状があるかによって決まります。まずはご自身の症状がどれに当てはまるか確認してみましょう。
- 耳の症状(聞こえにくさ・耳だれ等)や顔の動かしにくさがある ➔ 耳鼻咽喉科
- 皮膚に発疹や水ぶくれが見られる ➔ 皮膚科・耳鼻咽喉科
- ピリッとした鋭い痛みや頭痛が繰り返す ➔ 脳神経内科・脳神経外科
- あごが痛み、口を開けにくい ➔ 口腔外科
※判断に迷う場合や、目立った他の症状がない場合は、まずはかかりつけ医や耳鼻咽喉科を受診してください。以下でそれぞれの詳細を解説します。
耳の症状や顔の動かしにくさがある場合は耳鼻咽喉科
聞こえにくさ、耳だれ、耳が詰まった感じなど、耳に関する症状を伴う痛みは耳鼻咽喉科を受診してください。片側の目が閉じにくい、口から水がこぼれるなど、顔の動かしにくさを伴う場合も、耳鼻咽喉科が受診先となります。
急性中耳炎は耳痛・発熱・耳漏を伴うことがあり、悪化して耳の後ろの骨まで炎症が広がる急性乳様突起炎では、耳の後ろの腫脹・発赤・耳介聳立がみられます。(※4)(※6)
頭皮や耳の周囲の炎症に伴うリンパ節の腫れや、めまい、のどの痛みといった症状も、この科の領域です。
発疹や水ぶくれがある場合は皮膚科・耳鼻咽喉科
耳の後ろの皮膚に赤い発疹や水ぶくれが見られる場合は、皮膚科または耳鼻咽喉科を受診してください。帯状疱疹やラムゼイ・ハント症候群などの可能性があり、発症早期の治療が重要です。
細菌感染を起こした粉瘤も、耳の後ろの痛みの原因です。感染した粉瘤では、切開して内部を洗浄したうえで、後日に残った腫瘍を摘出する治療が行われます。(※3)
帯状疱疹が疑われるときに何科を受診すればよいかは、関連記事「帯状疱疹は何科?」もあわせてご覧ください。
神経痛や頭痛が続く場合は脳神経内科・脳神経外科
発作的に走る鋭い痛みや頭痛が繰り返す・続く場合は、脳神経内科や脳神経外科を受診してください。
後頭神経痛などの疑いがある場合は、診察のうえ、原因を詳しく調べるために超音波(エコー)やCT、MRIなどの画像検査を行うことがあります。
受診するまでの過ごし方と注意点
原因がわからない段階での自己判断は、症状を悪化させる危険も伴います。ここで紹介するのは、病院へ行くまでの応急処置です。
① 冷やす・温める(痛みを和らげるケア)
原因によって、冷やしたほうがよいケースと温めたほうがよいケースがあります。
| 対処法 | 適している症状 | 方法 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 冷やす | ・リンパ節が腫れて熱っぽい ・ズキズキと脈打つように痛む | 保冷剤などをタオルで包み、1回15分程度を目安に優しく当てる | 直接当てたり長時間冷やしすぎたりすると凍傷や血行不良の原因になる |
| 温める | ・首や肩のこりからくる筋肉の緊張 ・血行不良による重だるい痛み | 蒸しタオルやぬるめのお風呂で、首から肩にかけてじんわり温める | 腫れや熱感、ズキズキする痛みがある場合は炎症を悪化させる可能性がある |
判断に迷うときや、試して痛みが強くなった場合は、すぐに中止してください。
② 市販薬を活用する(一時的な応急処置)
市販の痛み止めは痛みを一時的に抑えるのに有効ですが、根本原因を解決するものではないため、長期に使い続けるのは避けましょう。薬を飲んでも治まらない、切れるとすぐぶり返す場合は、市販薬では対応できない原因が隠れているサインかもしれません。自己判断で増やさず、医師に相談してください。
妊娠中・授乳中の方や持病をお持ちの方は、使用前に必ず医師または薬剤師に確認しましょう。国立成育医療研究センターには、妊娠中・授乳中の薬について相談できる「妊娠と薬情報センター」が設置されており、全国47都道府県の拠点病院に「妊娠と薬外来」があります。(※11)
③ 悪化を防ぐために避けるべきこと(注意点・NG行動)
良かれと思ってやった行動が、かえって痛みを悪化させてしまうことがあります。受診までは以下の行動を控えましょう。
- 痛む場所(首の付け根や耳の後ろ)を強く揉む・押す
気になって触りたくなりますが、強く刺激すると神経をさらに傷つけたり、炎症を広げたりする危険があります。 - 長風呂や激しい運動をする
血行が急激に良くなると、ズキズキとした痛みが強まることがあります。入浴はぬるめのお湯でサッと済ませ、安静に過ごしましょう。
まとめ|痛み方と伴う症状で受診先を見きわめる
耳の後ろが痛む原因は、神経痛やリンパ節の腫れ、耳や皮膚の病気など多岐にわたるため、自己判断は禁物です。
- 耳の症状・顔の麻痺・めまいがある ➔ 耳鼻咽喉科
- 皮膚のしこり・赤み・水ぶくれがある ➔ 皮膚科・耳鼻咽喉科
- ピリピリとした鋭い痛みや頭痛が続く ➔ 脳神経内科・脳神経外科
- あごが痛み、口を開けにくい ➔ 口腔外科
軽い痛みであっても数日改善しない場合や、症状が悪化傾向にある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
※突然の激しい頭痛や、手足の麻痺・しびれ、ろれつ障害など脳卒中が疑われる症状がある場合は、迷わず119番通報してください。
突然の激しい頭痛に関連する記事はこちら⇒【医師監修】くも膜下出血の前兆は?特徴的な症状と注意すべきケースを解説




