急な高熱や体の節々の痛みが出て、「もしかしてインフルエンザ?」と不安になっていませんか。風邪や新型コロナと症状が似ているため、違いがわかりにくく、どう対処すべきか迷う方は少なくありません。
この記事では、インフルエンザの症状を解説するとともに、風邪や新型コロナとの違い、医療機関を受診する目安を紹介します。検査や治療薬のタイミングもお伝えします。
ご自身の症状と照らし合わせることで、すぐに受診すべきかを判断しやすくなります。適切な初期対応を知り、インフルエンザの重症化を防いで早期回復を目指しましょう。
この記事でわかること
- インフルエンザの主な6つの症状と、それぞれの特徴
- 風邪・新型コロナとの違い(発熱の仕方・全身症状・咳や鼻水・潜伏期間)
- 検査と抗インフルエンザ薬を受けるタイミング
- 重症化しやすい方と、早めに受診したいケース
- 夜間・休日でもすぐに受診が必要な4つの症状
インフルエンザの主な症状
インフルエンザでは、風邪とは異なり、強い全身症状が突然現れます。主な症状は以下の6つです。
①38℃以上の急な高熱
②強い倦怠感
③関節痛・筋肉痛
④悪寒・寒気
⑤頭痛
⑥咳・のどの痛み・鼻水
①38℃以上の急な高熱
インフルエンザの代表的な症状が、38℃を超える急な高熱です。「朝は普段どおりだったのに、昼過ぎから急に寒気がして39℃の熱が出た」。このように、短時間で症状が進むケースが多くみられます。
高熱は、体に侵入したインフルエンザウイルスに免疫が反応しているために起こります。多くの場合、発熱などの症状は4〜5日ほど続いたあと、自然に軽快します。(※2)ただし、高齢の方や免疫力が落ちている方では、高い熱が出ないことがあります。熱が高くなくてもインフルエンザを否定できないため、ほかの症状もあわせて確認しましょう。
A型・B型など型ごとの症状の特徴は、関連記事「インフルエンザの種類」もあわせてご覧ください。
②強い倦怠感
インフルエンザでは、体が鉛のように重く、起き上がるのもつらいほどの強い倦怠感(だるさ)が現れます。このだるさが、仕事や学校を休む主な理由の一つになる方も多くいます。
風邪でもだるさを感じますが、インフルエンザの倦怠感は強く、突然現れる傾向があります。無理に活動するとインフルエンザの回復が長引きかねないため、強い倦怠感を覚えたら体を休めましょう。
③関節痛・筋肉痛
インフルエンザでは、体の節々が痛む関節痛や筋肉痛が現れます。痛みは発熱とほぼ同時に始まり、腰や背中、手足の筋肉に強く感じられることが多いです。
ウイルスに反応して体内で放出されるサイトカインという物質が、筋肉や関節を刺激するためと考えられています。風邪でも軽い体の痛みはありますが、インフルエンザでは痛みが広い範囲に及び、強く感じられるのが特徴です。
④悪寒・寒気
急な高熱が出る直前に、ゾクゾクする強い悪寒や寒気が現れるのも、インフルエンザによくみられる症状です。体温を急に上げようとする防御反応で、筋肉を小刻みに震わせて熱を生み出します。
そのため、厚着をしたり布団にくるまったりしても、ガタガタとした震えが止まらないことも珍しくありません。悪寒は体温が上がりきるまでのサインであり、熱がピークに達したあとは汗が出て暑さを感じるようになります。
⑤頭痛
ズキズキ、ガンガンと響くような強い頭痛も、インフルエンザのつらい症状です。高熱や倦怠感、筋肉痛と同時に起こることが多く、目の奥が痛むように感じる方もいます。
市販の痛み止めで一時的に楽になる場合もありますが、ウイルスが体内にいる間は、薬が切れると再び痛み出すことがあります。つらさを我慢せず、医師に相談しましょう。お子さんの場合、解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが使われ、アスピリン、ジクロフェナク、メフェナム酸は使ってはいけない成分とされています。(※6)
⑥咳・のどの痛み・鼻水
咳やのどの痛み、鼻水などの呼吸器症状は、高熱や全身の症状に続いて現れるのが一般的です。(※4)風邪はのどや鼻の症状から始まることが多いのに対し、インフルエンザは全身症状が先に現れる傾向にあります。
はじめは乾いた「コンコン」という咳でも、次第に痰がからむ湿った咳に変わることもあります。これらの症状だけでインフルエンザと断定するのは、専門家でも容易ではありません。一つの症状だけで判断せず、全体の経過を確認しましょう。
インフルエンザの原因や治療、予防接種については、関連記事「インフルエンザとは?」もあわせてご覧ください。
インフルエンザと風邪・新型コロナの症状の違い
インフルエンザ、風邪、新型コロナは症状がよく似ているため、症状だけで見分けるのは困難です。ただし、それぞれの病気には現れ方の傾向があります。違いは以下の4つの視点で整理できます。
①発熱の仕方
②全身症状の強さ
③咳・のどの痛み・鼻水
④症状が現れるまでの期間
①発熱の仕方
発熱の仕方には、インフルエンザの急激な高熱と、風邪の緩やかな発熱または熱なしという違いがあります。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
| 病気 | 熱の程度 | 現れ方 |
|---|---|---|
| インフルエンザ | 38℃以上の高熱が多い | 悪寒とともに急激に上がる |
| 普通の風邪 | 微熱から高熱までさまざま | 緩やかに上がる |
| 新型コロナ | 微熱〜38℃以上 | 人によってさまざま |
ただし、これらはあくまで目安です。高齢の方や免疫力が落ちている方は、インフルエンザでも高い熱が出ないことがあります。
②全身症状の強さ
倦怠感や節々の痛みなどの全身症状は、インフルエンザで特に強く現れる傾向があります。典型的な現れ方を以下の表にまとめました。
| 症状の種類 | インフルエンザ | 普通の風邪 | 新型コロナ |
|---|---|---|---|
| 全身倦怠感 | よくみられる | 軽いか、感じないことも多い | 強い場合がある |
| 関節痛・筋肉痛 | よくみられる | ないか、あっても軽い | 強い場合がある |
| 頭痛 | よくみられる | 軽いことが多い | 強い場合がある |
インフルエンザでは強い全身症状が突然現れますが、風邪では鼻やのどの不快感が中心です。新型コロナでも強い倦怠感が出ることがあり、程度や症状の組み合わせには個人差があります。
③咳・のどの痛み・鼻水
咳やのどの痛みなどの症状は、現れる順番に違いがみられる傾向があります。それぞれの病気でよくみられる経過を以下の表にまとめました。
| 病気 | よくみられる経過 |
|---|---|
| インフルエンザ | 高熱などの全身症状に続いて、咳やのどの痛みが現れる |
| 普通の風邪 | のどの痛み、鼻水、くしゃみから始まる |
| 新型コロナ | 強いのどの痛みやしつこい咳が特徴とされることがあるが、症状はさまざま |
このように傾向はあるものの、個人差が大きいため、症状だけで病気を判断することはできません。気になる症状がある場合は、医療機関で検査を受けましょう。
④症状が現れるまでの期間
ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間を潜伏期間といいます。それぞれの目安を以下の表にまとめました。
| 病気 | 潜伏期間の目安 |
|---|---|
| インフルエンザ | 1〜4日ほど(※7) |
| 普通の風邪 | 原因のウイルスによって異なる |
| 新型コロナ | 変異株によって異なる |
これらの日数はあくまで目安であり、ウイルスの量や免疫の状態によって前後します。また、インフルエンザでは、症状が出る前日からウイルスが体外に排出され、周囲に感染を広げる可能性があります。(※2)
潜伏期間や人にうつしやすい時期については、関連記事「インフルエンザの潜伏期間は何日?」もあわせてご覧ください。
風邪との見分け方をさらに詳しく知りたい方は、関連記事「インフルエンザと風邪の違い」もあわせてご覧ください。
インフルエンザで医療機関を受診する目安
インフルエンザかもしれないと迷ったときは、「検査」と「薬」の2つのタイミングが受診の目安になります。ただし、重症化しやすい方は早めの受診が欠かせません。以下の2つに分けて解説します。
①検査は発症から時間をおいて、薬は48時間以内
②重症化しやすい方は早めに受診
①検査は発症から時間をおいて、薬は48時間以内
インフルエンザの検査と薬には、それぞれ受けるのに適したタイミングがあります。目安を以下の表にまとめました。
| 項目 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 迅速抗原検査 | 発症から一定の時間をおいて | 発症直後はウイルス量が少なく、陰性と出ることがあるため |
| 抗インフルエンザ薬 | 発症から48時間以内 | 発熱期間の短縮が期待できるため(※2) |
発症してすぐは体内のウイルス量が少なく、感染していても検査で陰性と出ることがあります。これを偽陰性といいます。発症後早い時期は偽陰性が起こりやすいため、発症から一定の時間をおいて検査することがあります。(※5)迅速抗原検査は、ウイルスの検出感度が十分でない場合があり、偽陰性になるケースも報告されています。(※1)そのため、検査が陰性でも、症状や周囲の流行状況から医師がインフルエンザと診断する場合があります。
抗インフルエンザ薬は、ウイルスが体内で増えるのを抑える薬です。48時間以内に服薬を始めると、発熱期間が通常1〜2日短くなるとされています。(※2)
ただし、抗インフルエンザ薬はすべての患者さんに必須というわけではありません。高齢の方や免疫が低下している方、お子さんなど重症化のリスクが高い方では重症化を防ぐ効果があるとされる一方、それ以外の方では重症化を防ぐ効果は限定的とされています。薬を使うかどうかは、症状が出てからの時間や体の状態をふまえて医師が判断します。(※2)
48時間を過ぎると薬の効果は薄れますが、重症化のリスクが高い方などは、状態によって処方が検討されることもあります。(※3)検査と服薬のタイミングを意識して、早めに医療機関を受診しましょう。
②重症化しやすい方は早めに受診
インフルエンザが重症化すると、肺炎や脳症などの合併症を起こすことがあります。そのため、リスクが高い方は、48時間の目安にかかわらず、症状が軽くても早めに受診しましょう。特に注意が必要な方は以下のとおりです。(※8)
- 65歳以上のご高齢の方
- 5歳未満のお子さん
- 妊娠中の方
- 喘息、心臓病、糖尿病、腎臓病などの持病がある方
- 病気や治療により免疫機能が低下している方
これらの方は、急な発熱や体のだるさなど、インフルエンザを疑う症状が出た時点で、ためらわずにかかりつけ医へ相談しましょう。
また、高熱が長引く場合や、一度下がった熱が再び上がる場合は、肺炎などを起こす細菌による二次感染を合併している可能性があります。熱が何日続いているかに加えて、全身の状態が悪化していないかにも注意し、早めに医療機関に相談しましょう。
妊娠中にかかった場合の赤ちゃんへの影響や対処法は、関連記事「妊婦がインフルエンザに感染したら」もあわせてご覧ください。
お子さんがかかったときの受診の目安や登園・登校の基準は、関連記事「子供のインフルエンザの症状」もあわせてご覧ください。
インフルエンザですぐに受診が必要な症状
インフルエンザは、多くの場合、安静にすることで回復に向かいます。ただし、まれに肺炎や脳症などの重い合併症を起こすことがあります。お子さんやご高齢の方、持病のある方は特に重症化しやすいため、以下の4つの症状がみられたら、夜間や休日でも救急外来を受診するか、119番で救急車を呼んでください。
①意識障害がみられる
②呼吸が苦しい・息が荒い
③激しい嘔吐や下痢が続く
④けいれんが起こる
①意識障害がみられる
呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしないなどの意識障害は、脱水や呼吸不全、血圧低下によるものかもしれず、インフルエンザ脳症などの重い合併症を示すサインである可能性もあります。
直ちに医療機関での対応が必要です。ご家族から見て「明らかにいつもと様子が違う」と感じる違和感は、重篤な状態に気づく手がかりとなります。意識障害のサインは以下のとおりです。
- 呼びかけても反応が鈍い、またはまったく反応しない
- 意味のわからない言葉を話す
- 会話がかみ合わない
- 視線が合わず、ぼーっとしている
お子さんの場合、突然興奮して走り回る、おびえて奇声を上げるなどの異常行動が、インフルエンザ脳症の初期症状として現れることもあります。これらのサインを見つけたら、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を要請しましょう。
②呼吸が苦しい・息が荒い
呼吸の苦しさや息の荒さは、ウイルスが肺にまで達し、肺炎を起こしている可能性を示すサインです。肺に炎症が起きると、血液中に十分な酸素を取り込めなくなり、命に関わる状態に陥ることがあります。見逃してはいけない呼吸の異常は以下のとおりです。
- 少し動いただけで息が切れる
- 肩を上下させて苦しそうに呼吸する
- 唇や爪が青紫色に見える(チアノーゼ)
- 息をするたびに胸が痛む
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が聞こえる
これらは体が酸素不足になっているサインです。ご高齢の方や喘息などの呼吸器の病気がある方は重症化しやすいため、一刻も早く医療機関を受診しましょう。
インフルエンザに続いて起こる肺炎については、関連記事「インフルエンザと肺炎」もあわせてご覧ください。
③激しい嘔吐や下痢が続く
嘔吐や下痢を繰り返すと、体から水分と電解質(塩分など)が失われ、脱水症状を起こすことがあります。脱水が進むと臓器の働きが落ち、体の小さいお子さんやご高齢の方では深刻な事態につながりかねません。脱水を疑うサインは以下のとおりです。
- 唇や口の中が乾いている
- ぐったりして、呼びかけへの反応が鈍い
- 尿の量が極端に少ない、または半日以上出ない
- 乳幼児でおむつが長時間濡れない、泣いても涙が出ない
- 皮膚をつまんでも元に戻りにくい
経口補水液を少しずつ飲んでも吐いてしまう場合や、上記のサインが一つでもみられる場合は、点滴による水分補給が必要な可能性があります。速やかに医療機関を受診しましょう。
④けいれんが起こる
けいれん(ひきつけ)は、高熱によって脳が異常に興奮して起こる症状で、緊急性の高いサインの一つです。お子さんでは高熱に伴う熱性けいれんが起こることがありますが、インフルエンザ脳症の初期症状として起こるけいれんもあります。緊急性が高いけいれんの特徴は以下のとおりです。
- 5分以上止まらない
- 一度治まっても、短時間で何度も繰り返す
- けいれんのあと、意識がはっきりと戻らない
- 体の左右どちらか片側だけがけいれんする
単純な熱性けいれんの多くは数分で自然に治まりますが、上記の特徴がみられる場合は脳症などの重い合併症が疑われます。体を横向きにして気道を確保し、衣服を緩めながら、直ちに救急車を呼びましょう。
インフルエンザの症状に関するよくある質問
熱が出ないインフルエンザはありますか?
あります。インフルエンザは38℃以上の高熱が急に出ることが多い一方、感染しても症状が出ない場合や、軽い症状だけで済む場合もあります。(※2)また、高齢の方や免疫力が落ちている方では、高い熱が出ないこともあります。熱が高くなくても、強いだるさや関節痛・筋肉痛などがあればインフルエンザの可能性があるため、気になる場合は医療機関に相談しましょう。
風邪とインフルエンザはどう見分けますか?
インフルエンザは、38℃以上の発熱や頭痛、関節痛・筋肉痛、全身のだるさが急に現れ、風邪に比べて全身症状が強いのが特徴です。(※2)(※4)咳や鼻水などの症状は、全身症状に続いて現れることが多いとされています。(※4)ただし、症状だけで見分けるのは困難なため、医師が症状や検査結果を総合して判断します。(※2)気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。
まとめ
インフルエンザは急な高熱や強い全身症状が特徴ですが、風邪など他の病気との見分けは専門家でも難しい場合があります。ご自身の症状だけで「インフルエンザだ」と決めつけるのは避けましょう。
症状だけでは原因の特定が難しいため、医師による診断が欠かせません。
つらい症状がある場合や重症化のリスクが高い方、注意が必要なサインがみられる場合は、時間を問わず速やかに医療機関を受診しましょう。抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服用を始めると、発熱期間を短くすることが期待できます。
熱が下がったあとも、ウイルスを排出しているといわれています。(※2)周囲への感染を広げないためにも、無理をせず体を休めて回復に専念しましょう。学校では、学校保健安全法施行規則により「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」が出席停止期間とされています。(※2)
家庭や職場でできる予防の工夫は、関連記事「インフルエンザはこう防ぐ!」もあわせてご覧ください。
発熱やのどの痛みなど症状が似ていて見分けにくい感染症に関連する記事はこちら⇒コロナウイルスとは?




