加齢黄斑変性の治療とは、目の奥の網膜の中心 (黄斑)に起きた病変の活動を抑えて、できるだけよい視力を保つための治療です。主なタイプである「新生血管型(以前の滲出型) 」では病気を抑える薬を目に注射する治療(抗VEGF療法)が最初に行われます。2025年には、治療薬のなかった萎縮型にも、進行を緩やかにする注射薬が加わりました。視力を元どおりにする治療ではないため、早く始めて続けることが大切です。この記事では日本眼科学会認定の眼科専門医が、治療の種類から注射の回数、副作用、費用までを解説します。
この記事でわかること
- 加齢黄斑変性の治療で目指すことと、新生血管型の治療法の選び方
- 2025年に承認された萎縮型の治療薬と、その位置づけ
- 抗VEGF注射の回数・間隔と、いつまで続けるかの目安
- 注射の副作用・すぐ受診したほうがよい症状と、自己負担の目安
加齢黄斑変性とは?治療を選ぶ前に知っておきたい2つのタイプ
加齢黄斑変性は、黄斑が傷み、見ようとするものの中心がゆがんだり見えにくくなったりする病気です。
黄斑が傷み、ゆがみや中心が見えにくくなる病気
黄斑は網膜の中心にあり、字を読む、顔を見分けるといった細かいものを見る働きを担う場所です。加齢黄斑変性は主に50歳以上でみられ、喫煙は発症や進行に関わる危険因子とされています(※1・※2)。主な症状は次のとおりです。
- ものがゆがんで見える(変視症)
- 見ようとする中心が暗い、または欠けて見える(中心暗点)
- 視力が下がる、色がわかりにくくなる
片目だけに起きると、もう片方の目が補うため、気づくのが遅れることがあります。
なぜ起こる?原因と危険因子
加齢黄斑変性は、加齢に体質や生活習慣が重なって起こると考えられています。黄斑は光が集まり、酸素も多く使う場所のため、細胞を傷める活性酸素が生じやすく、強い酸化ストレスを受け続けています。年齢とともにこれを防ぐ働きが弱まると、網膜の下に老廃物(ドルーゼン)がたまり、炎症が起きやすくなります。喫煙は、煙に含まれる活性酸素で酸化ストレスを強めるうえ、体の抗酸化の働きを弱め、炎症も起こりやすくすると考えられています。
この炎症には免疫のしくみの一つである補体が関わり、その働き方には遺伝的な個人差があるとされます。こうした変化が積み重なり、新生血管ができるタイプ(新生血管型)と、組織がゆっくり萎縮するタイプ(萎縮型)に分かれて進むと考えられています(※1、※2)。
- 加齢:主に50歳以上でみられ、年齢とともに増える
- 喫煙:自分で変えられる危険因子で、発症のリスクを大きく高める(後述)
- 体質:家族に加齢黄斑変性の方がいると、起こりやすいことがある
なお、紫外線と加齢黄斑変性との関連ははっきりしておらず、光を避ける対策で予防できることも確かめられていません。紫外線と目の病気については、関連記事「紫外線が目に与える影響とは?」をご覧ください。
新生血管型と萎縮型の違い
加齢黄斑変性には、新生血管型(以前は滲出型と呼ばれていました)と萎縮型があります。日本では新生血管型が大部分を占め、萎縮型は1割程度とされています(※2)。
| 項目 | 新生血管型 | 萎縮型 |
|---|---|---|
| 何が起きているか | 黄斑の下に異常な血管(新生血管)ができ、出血やむくみを起こす | 網膜とその下の組織がゆっくり萎縮する。進んだものを地図状萎縮という |
| 進み方 | 比較的速い。大きな出血で急に見えにくくなることがある | 年単位でゆっくり |
| 日本での割合 | 大部分 | 1割程度 |
| 主な治療 | 抗VEGF療法(第一選択)、光線力学的療法(PDT)、レーザー光凝固 | 地図状萎縮の進行を抑える注射薬(2025年承認)、経過観察 |
| 視力への影響 | 治療しないと、視力が大きく下がることがある | 萎縮が中心に及ぶと視力が下がる |
新生血管型は、新生血管のでき方によってさらにいくつかのタイプに分かれます。日本人に比較的多いのがポリープ状脈絡膜血管症(PCV)で、新生血管の先端にポリープのようなこぶ状の病変ができるタイプです。タイプによって、治療の組み合わせが変わることがあります(※1)。
なお、強い近視が原因で黄斑に萎縮や新生血管などが起きる「近視性黄斑症」は、加齢黄斑変性とは別の病気です。詳しくは関連記事「視力低下と失明を防ぐには」や、姉妹メディア マイオピアスクエアの「強度近視の黄斑の病気」をご覧ください。

新生血管型は異常な血管による出血やむくみ、萎縮型は網膜などの組織の萎縮が特徴です。
加齢黄斑変性は治る?治療で目指すこと
新生血管型では、黄斑の水分や出血が邪魔をして視力が低下します。この水分や出血が治療により引くと、視力が改善することが多くあります。ただし、すでに傷んだ細胞は元に戻らないため、回復するのは水分などで見えにくくなっていた部分までです。治療の目的は、黄斑の出血や水分が再発するのを抑えることで、こうして取り戻した視力を守っていくことです。効果には個人差があります。萎縮型の治療薬は萎縮が広がる速さを抑えるもので、視力を回復させる薬ではありません。
再発しやすく、もう片方の目にも起こりうる
病状が落ち着いても、通院は長く続くのが一般的です。理由は次の2つです。
- 再発しやすいため:治療により新生血管の活動が抑えられても、治療の効果が途切れると、再び活動が強まることがあります。
- もう片方の目にも起こりうるため:片目に発症した方は、もう片方の目にも発症することがあります。
定期的な検査で変化を早く見つけ、必要なときに治療を行うことが、視力を保つことにつながります。
新生血管型加齢黄斑変性の治療法
新生血管型加齢黄斑変性の治療の第一選択は、薬を目に注射する抗VEGF療法です(※1)。病変のタイプや位置によって光線力学的療法(PDT)やレーザー光凝固を検討し、黄斑の下に大きな出血が起きた場合に限って手術を行うことがあります。
抗VEGF療法:新生血管の成長と水漏れを抑える注射(第一選択)
新生血管は、VEGF(血管内皮増殖因子:血管を増やし、血液中の水分をしみ出させる物質)の働きで育ちます。抗VEGF療法は、VEGFの働きを抑える薬を目の中(硝子体)に注射し、新生血管の成長や出血・むくみを抑える治療です。
国内で使われている主な薬は、ラニビズマブ、アフリベルセプト、ブロルシズマブ、ファリシマブで、どれを使うかは病状をもとに眼科医が判断します。臨床試験では視力の維持や改善が示されていますが、効果には個人差があります。
副作用には、白目の出血(結膜下出血)、目の痛み、一時的な眼圧の上昇などがあり、まれに目の中の感染(眼内炎)、網膜剥離、目の中の炎症、脳卒中なども報告されています(詳しくは後述)。
光線力学的療法(PDT):光に反応する薬と弱いレーザーを組み合わせる治療
光に反応する薬(ベルテポルフィン)を点滴し、病変に弱いレーザーを当てて新生血管を閉じる治療です。この薬は、薬を取り込む入り口(受容体)が多い新生血管に集まります。点滴後に、この薬が反応する波長の弱いレーザーを病変に当てると、薬から活性酸素が出て新生血管の内側が傷つき、血管の中に血の塊(血栓)ができて新生血管が閉じます。
前述のポリープ状脈絡膜血管症(PCV)では、抗VEGF療法と組み合わせることがあります(※1)。
治療後48時間は、目や皮膚を直射日光や強い照明に当てないよう注意が必要です(※2)。副作用には視力の低下、点滴部位の痛みや腫れ、点滴中の背中や腰の痛みなどがあり(※5)、長期的には黄斑の萎縮を進める可能性も指摘されています(※1)。
レーザー光凝固:中心から離れた新生血管に限って行う治療
強いレーザーで新生血管を焼き固める治療です。レーザーを当てた部分は見えなくなる(暗点になる)ため、新生血管が黄斑の中心から離れている場合に限って検討します(※1)。
黄斑の下に大きな出血がある場合の手術
黄斑の下に大きな出血が起きた場合は、目の中にガスを入れたり硝子体手術を行ったりして、血液を黄斑の外へ移動させることがあります。出血から時間がたつと網膜が傷むため、早い時期に検討します(※1)。ただし、加齢黄斑変性そのものの標準治療は注射やレーザーで、硝子体手術は標準治療ではありません(※3)。
治療法はどう選ぶ?
治療法は、病変のタイプ、新生血管の位置、出血の有無などで選びます。
| こんなとき | 主に検討する治療 | ポイント |
|---|---|---|
| 新生血管型と診断された(タイプを問わず) | 抗VEGF療法 | 第一選択。間隔を調整しながら続ける |
| 新生血管型のうち、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV) | 抗VEGF療法、効果が不十分な場合などにPDTを併用することがある | PDTは、黄斑の萎縮が進むおそれもあり、病状をみて判断する |
| 抗VEGF療法の効果が不十分 | 抗VEGF薬の種類を切り替えPDTの併用 | 治療効果をみて判断する |
| 新生血管が中心から離れている | レーザー光凝固 | 中心に近い病変には行わない |
| 黄斑の下に大きな出血がある | ガスの注入や硝子体手術 | 出血出現から早い時期に検討する |
| 病変が瘢痕(傷あと)になり活動していない | 経過観察、ロービジョンケア | 注射の効果は期待しにくい |
萎縮型加齢黄斑変性に治療法はある?
これまでは萎縮型には、国内で承認された治療薬がありませんでしたが、2025年9月に地図状萎縮の進行を抑える注射薬アバシンカプタド ペゴルナトリウム(販売名:アイザベイ)が承認されました。ただし、萎縮が広がる速さを抑える治療で、視力を回復させる薬ではありません。
2025年に承認された注射薬(アバシンカプタド ペゴルナトリウム)
萎縮に関わるとされる補体(ほたい:免疫のしくみの一部)の働きを抑える薬で、抗VEGF薬と同じように目の中に注射します(※4、※5)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 承認 | 2025年9月19日、条件付き承認制度のもとで承認 |
| 効能又は効果 | 萎縮型加齢黄斑変性における地図状萎縮の進行抑制 |
| 投与のしかた | 目の中への注射。初回から12か月までは月1回、その後は2か月に1回 |
| 臨床試験の結果 | 偽の処置(シャム)と比べて萎縮が広がる速さが抑えられた。視力には差がみられなかった |
| 主な副作用 | 眼圧上昇、白目の出血や充血、目の痛みなど。まれに眼内炎、新生血管の発生(新生血管型への移行)、網膜剥離 |
| 治療の対象 | 地図状萎縮の範囲や中心への広がりを検査で確認し、眼科医が判断する |
効果には個人差があります。また承認にあたっては、国内で行われている臨床試験の結果の提出などが条件とされ、日本人での有効性・安全性や、使用中の新生血管の発生状況を引き続き確認していく段階の薬です(※6)。1年目は毎月の注射が続くため、期待できる効果と通院の負担、副作用を眼科医とよく相談して決めましょう。
萎縮型と診断されたら:定期検査とロービジョンケア
治療薬を使う場合も使わない場合も、次のことが大切です。
- 定期的な検査:萎縮型は年単位でゆっくり進むため、萎縮の広がりを定期的に確認します。新生血管型に変わることもあり、その場合は抗VEGF療法で治療できるため、早く見つけることが大切です。
- セルフチェック:検査の合間は、後述のアムスラーチャートで片目ずつ見え方を確認し、ゆがみが新しく出たときは次の予約を待たずに受診してください。
- ロービジョンケア:見えにくさが生活に影響してきたときは、拡大鏡や拡大読書器、照明の工夫などで、残っている視力を生活に生かす取り組みが役立ちます。眼科で相談でき、視力によっては身体障害者手帳による支援を受けられることがあります。
抗VEGF注射は何回する?いつまで続ける?
抗VEGF注射は、最初に月1回の注射を通常3回(薬によっては4回)行い、その後は病状に合わせて間隔を調整しながら続けます(※1)。いつまで続けるかは決まっておらず、年単位で続くことが多い治療です。
通院スケジュールの目安
通院のたびに、視力検査や眼底検査、OCT(光干渉断層計:網膜の断面を撮影する検査)で、黄斑に水分や出血が再発していないかどうかを確認し、注射の要否や間隔を決めます。
| 時期 | 注射の間隔 | 通院でおこなうこと |
|---|---|---|
| 導入期 | 約1か月ごとに通常3回(薬によっては4回) | 黄斑に水分や出血が引くかを確認する |
| 維持期 | 再発の状態に応じて4〜16週(約1〜4か月)ごと。調整できる範囲は薬によって異なる | 検査結果で間隔を延ばす・縮める、または必要なときに注射する |
| 安定後 | 注射を休み、経過をみることもある | 再発がないかを定期的に検査する |
| (参考)萎縮型の注射薬 | 初回から12か月までは月1回、その後は2か月に1回 | 萎縮の広がりや新生血管の発生を確認する |
※導入期の回数や維持期の進め方は、薬、病状、医療機関の方針によって異なります。

導入期は約1か月ごとに通常3回(薬によっては4回)注射し、維持期は病状に応じて注射の間隔を調整します。
間隔の決め方には3つの方法がある
- 必要時投与(PRN):定期的に検査し、再発がみられたときだけ注射する
- 間隔を少しずつ延ばす方法(treat-and-extend):通院のたびに注射し、再発がなければ次の注射までの間隔を少しずつ延ばし、再発があれば縮める
- 一定間隔での投与:決まった間隔で注射を続ける
ガイドラインでは、間隔を少しずつ延ばす方法で毎月の注射と同程度の視力の改善・維持が報告され、必要時投与では長期的に視力を保ちにくい例があるとされています(※1)。方法は、病状や通院の負担を考えて決めます。
効果が不十分なときは、薬を切り替えることがある
注射を続けても水分や出血が引かない、すぐに再発するといった場合は、別の抗VEGF薬への切り替えや、PDTとの併用を検討します(※1)。
いつまで続ける?注射を休む・やめる目安
注射をやめる時期に、決まった基準はありません(※1)。新生血管の活動が長く落ち着いていれば、注射を休んで経過をみることがあります。病変が傷あとのように固まってしまい( 瘢痕)になり注射の効果が期待しにくい場合は、経過観察に移ります。休んでいる間も再発することがあるため、定期的な検査は続けてください。
残念なことですが、途中で通院をやめてしまう方がいます。その原因として、長期的な通院に負担を感じること、目への注射というストレスがあること、お薬代が高く経済的負担がかかることなどが考えられます。治療を続けることのたいへんさは医師も理解しています。
ただ、6か月以上受診が途切れた人は、治療を再開しても以前の視力に戻らず、長期的な視力の経過が悪かったという報告があります(※11)。継続こそが重要な治療であることを理解して取り組んでいただきたいと思います。
注射当日の流れと副作用、すぐ受診したほうがよい症状
注射は点眼麻酔をして行い、針を刺している時間は数秒です。副作用の多くは軽く一時的ですが、まれに目の中の感染(眼内炎)などが起こるため、注射後数日は痛みと見え方の変化に注意してください。
注射当日の流れ
手順は医療機関によって異なりますが、一般的には次の流れです。
- 検査:視力や眼圧、OCTなどで病状を確認する
- 麻酔と消毒:点眼麻酔をし、目の周りと表面を消毒して、まぶたを器具で開く
- 注射:白目の部分から細い針で薬を注射する
- 確認:見え方や眼圧を確認し、問題がなければ帰宅する
当日は目をこすらず、洗顔や入浴は医療機関の指示に従ってください。見えにくさが残ることがあるため、当日の車の運転は控えましょう。
主な副作用
抗VEGF薬の注射でみられる主な副作用は次のとおりです(※5)。
- 比較的よくみられるもの:白目の出血(結膜下出血)、目の痛みや異物感、一時的な眼圧の上昇、黒い点や糸くずのようなものが見える(硝子体浮遊物)
- まれだが注意が必要なもの:目の中の感染(眼内炎)、網膜剥離・網膜裂孔、目の中の炎症(網膜の血管の炎症を含む)、水晶体の傷(外傷性白内障)
- 全身にかかわるもの:脳卒中や心筋虚血(心臓の血流不足)が、薬によっては重大な副作用として電子添文に記載されています。脳卒中や心臓の病気にかかったことがある方は、事前に医師に伝えてください。
結膜下出血は、多くは1〜2週間ほどで自然に消えます。注射直後に見える小さな丸い影(空気の泡)も、数日で消えることがほとんどです。
注射後すぐ受診したほうがよい症状
注射後に痛みが強くなる・急に見えにくくなる・充血がひどくなるときは、
注射を受けた医療機関にすぐ連絡を(夜間・休日で連絡がつかないときは救急外来へ)
| 症状 | 考えられること |
|---|---|
| 目の痛みや充血が強くなる、見え方が急に悪くなる(まぶしさや目やにをともなうこともある) | 目の中の感染(眼内炎)や、感染によらない炎症(無菌性眼内炎)。感染による眼内炎は、注射から数日たって現れることが多い |
| 黒い点や糸くず(飛蚊症)が急に増える、光が走って見える、見える範囲の一部が欠ける | 網膜裂孔・網膜剥離 |
眼内炎は注射の翌日より、数日たってから現れることが多いため、注射後しばらくは痛みや見え方の変化に注意してください。早く治療を始めるほど視力への影響を抑えやすいとされているので、症状に気づいたら、その日のうちに連絡してください。
加齢黄斑変性の治療費はいくら?
加齢黄斑変性の注射治療は保険診療です。新生血管型の抗VEGF注射の薬代の自己負担は、1回あたり3割負担で約2.0万〜4.4万円、1割負担で約0.7万〜1.5万円が目安です(2026年10月時点の薬価)。月の負担には、高額療養費制度による上限があります。
1回あたりの自己負担の目安
| 項目 | 薬価など(10割) | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 抗VEGF薬(新生血管型) | 約6.8万〜14.6万円 | 約0.7万〜1.5万円 | 約1.4万〜2.9万円 | 約2.0万〜4.4万円 |
| 萎縮型の注射薬 | 142,522円 | 約1.4万円 | 約2.9万円 | 約4.3万円 |
| 注射の手技料 | 6,000円(600点) | 600円 | 1,200円 | 1,800円 |
※薬価は2026年10月時点(※5、※7)。同じ成分でも製品によって薬価は異なり、改定で変わります。
※このほかに、診察料や検査料(OCTなど)がかかります。正確な費用は、受診を検討している医療機関にご確認ください。
自己負担の割合は、年齢や所得によって1〜3割に分かれます。
高額療養費制度で、月の負担に上限がある
1か月の自己負担が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度で、上限額は年齢と所得によって異なります(※8)。
- 70歳以上で一般的な所得の方:外来の上限は、2026年8月から月22,000円です(2027年8月にさらに見直される予定)。
- 69歳以下の方:所得に応じて、月ごとの上限額が決められています。
マイナ保険証を使うと、同じ医療機関の窓口での支払いが上限額までになります。金額は改定で変わるため、加入している健康保険の窓口や厚生労働省のページで確認してください。
治療しないとどうなる?失明との関係
新生血管型を治療せずにいると、出血やむくみで黄斑が傷み、中心の視力が大きく下がる可能性があります。ただし、見える範囲がすべてなくなることは少なく、まわりの視野は残ることが多いとされています。
タイプによって進み方が異なる
- 【新生血管型】比較的速く進み、大きな出血で急に見えにくくなることがあります。病変が瘢痕になると、治療をしても視力は戻りにくくなります。
- 【萎縮型】年単位でゆっくり進み、萎縮が黄斑の中心に広がると視力が下がります。
見えにくくなるまでの期間は、タイプや病変の位置、出血の有無で大きく異なり、一概には言えません。中心が見えにくくなると、読む、顔を見分ける、運転するといったことが難しくなり、生活に大きく影響します。
日本の視覚障害の原因では第4位
2019年度に日本で新たに視覚障害の認定を受けた方の原因を調べた全国調査では、黄斑変性は緑内障、網膜色素変性、糖尿病網膜症に次ぐ第4位(9.1%)と報告されています(※9)。
加齢黄斑変性は、受診が遅れると病変部が大きくなり見えない範囲が拡大し、治療を行っても視力が回復しにくくなります。片方の目から始まることが多く、その場合、もう片方の目がカバーするため、初期には気が付かないこともあります。
片目ずつカレンダーを見ることで視界の中心が見えにくかったり、ゆがんで見えたりする異常を発見しやすくなります。早く見つけて治療を始め、続けることで、できるだけよい視力を保てる可能性が高まります。
治療と一緒に取り組みたいこと(禁煙・食事・サプリメント・セルフチェック)
治療と並行して取り組みたいのは、禁煙と食生活の改善です。サプリメントについても、前段階の変化がある方などで、病気が進むのを抑える可能性が報告されています。また、ゆがみの変化に早く気づくためのセルフチェックも有用です。
禁煙:治療中の方にも勧められる生活習慣
喫煙は、加齢黄斑変性の発症や進行に関わる、自分で変えられる危険因子です。日本の久山町研究では、喫煙で後期の加齢黄斑変性の発症が4倍に増えたと報告されており(※1、※12) 、ガイドラインでも禁煙が勧められています(※1)。
食事とサプリメント
前述のとおり、黄斑は強い酸化ストレスを受け続けています。そのため、抗酸化作用をもつ栄養素をふだんの食事からとることが大切と考えられています。
緑黄色野菜に多いルテイン・ゼアキサンチンは、黄斑に集まって光による傷みから黄斑を守る黄斑色素の材料になります。このほか、野菜や果物に多いビタミンC、ナッツ類や植物油に多いビタミンE、抗酸化の働きを助ける亜鉛(魚介類や肉に多い)も大切です。
サプリメントは、こうした栄養素を、食事だけではとりにくい量で組み合わせたものです。海外の大規模研究(AREDS・AREDS2)では、前段階の変化(大きなドルーゼンなど)がある方や、片目がすでに進行した加齢黄斑変性になっている方で、新生血管型などに進むリスクを下げる可能性が報告されています(※1、※10)。片目を治療中の方も、この研究の対象に当たります。・未発症の方での効果は確立していません(※1、※2)。食事より多い量をとるため、使うかどうかは主治医に相談してください。
アムスラーチャートで片目ずつ確認する
アムスラーチャートは、方眼紙のような格子の中心に点がある図で、ゆがみに気づくきっかけになります。
- ふだん使っている眼鏡(老眼鏡)をかけ、30cmほど離して持つ
- 片目を手でおおい、もう片方の目で中心の点を見つめる
- 線がゆがむ、欠ける、ぼやける部分がないかを確認し、反対の目も同じように確認する
ゆがみや欠けが新しく出た、以前より強くなったときは、次の予約を待たずに眼科を受診してください。ただし、チャートで異常を感じなくても病気がないとは限らないため、定期的な検査は続けましょう。
よくある質問
まとめ:加齢黄斑変性は、早く治療を始めて続けることが視力を守る鍵
加齢黄斑変性は、早く治療を始めて続けることが大切です。新生血管型の抗VEGF注射では、水分や出血が引くと視力が改善することが多い一方、傷んだ細胞は元に戻りません。取り戻せた視力を保つため、注射は間隔を調整しながら年単位で続けるのが一般的です。
2025年には萎縮型にも、進行を緩やかにする注射薬が加わりました。どちらも定期検査を続け、ゆがみや中心の見えにくさに気づいたら、早めに眼科を受診してください。
参考文献
※1 日本網膜硝子体学会「新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン」日本眼科学会雑誌128巻9号(2024年)
※3 日本眼科学会・日本眼科医会「「加齢黄斑変性」のテレビ報道について」(2015年)
※4 アステラス製薬 ニュースリリース(2025年9月19日)
※5 KEGG MEDICUS 医療用医薬品情報(電子添文・薬価、2026年10月21日版)
※6 医薬品医療機器総合機構(PMDA)アバシンカプタド ペゴルナトリウム 審査報告書




