最終医学的確認日:2026年9月
急な高熱と「つばを飲み込むのもつらい」ほどの激しいのどの痛み、「もしかして溶連菌では?」と不安になっていませんか。子どもに多い病気ですが、大人もかかるため注意が必要です。
この記事では、溶連菌の症状や潜伏期間、風邪との見分け方をはじめ、抗菌薬による正しい治療法や重い合併症についても詳しく解説します。
ご自身と大切な家族の健康を守るため、受診の目安から家庭での感染対策まで、今すぐ実践できる正しい知識が身につきます。
この記事でわかること
- 溶連菌感染症の特徴と、風邪との見分け方
- 子どもと大人で異なる主な症状
- 受診の目安と検査・診断の方法
- 抗菌薬による治療と、最後まで飲み切る理由
- 潜伏期間と家庭でできる感染対策
- 登園・登校・仕事復帰の目安
溶連菌感染症とは?主にのどに起こる細菌感染症
溶連菌感染症は、「A群溶血性レンサ球菌」という細菌が、主にのどに感染することで起こる病気です。
一般的には、つばを飲み込むのもつらいほどの強い痛みを伴う咽頭炎や扁桃炎として知られています。
しかし、この細菌はのどだけでなく、皮膚に感染して化膿性の症状を起こすこともあり、引き起こす症状の幅が広いことも特徴です。(※1)
まれに、菌が全身に広がって命に関わる「劇症型溶連菌感染症」を起こすことがあります。(※2)ただし発症はごくまれで、通常ののどの感染とは経過が大きく異なります。
また、感染後に体の免疫反応が原因で、心臓や腎臓に影響が出る合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
5〜15歳の子どもに多いが大人も感染する
溶連菌感染症は、5歳から15歳の学童期の子どもに多い病気ですが、大人も感染します。
のどの痛み(咽頭炎)のうち溶連菌が原因となる割合は、子どもで20〜30%、大人で5〜15%と推定されています。(※3)子どもたちが集団生活を送る保育園や学校での流行をきっかけに、家庭内で大人へ感染するケースは少なくありません。
大人は症状が軽く出ることがあります。お子さんが溶連菌と診断された場合は、同居家族にのどの痛みや発熱などがあれば医療機関へ相談しましょう。
せきや鼻水が乏しいことは、溶連菌を疑う手がかりの一つ
溶連菌感染症と一般的な風邪を見分けるポイントは、せきや鼻水の有無です。
風邪の多くはウイルスが原因で、のどの痛みに加えてせきや鼻水、くしゃみなどを伴います。一方、細菌が原因である溶連菌感染症は、急な高熱と「つばを飲み込むのもつらい」ほどの強いのどの痛みが特徴で、せきや鼻水はあまりみられません。
両者の主な違いを下の表に整理します。
| 症状 | 溶連菌感染症 | 一般的な風邪 |
|---|---|---|
| 原因 | 細菌(A群溶血性レンサ球菌) | 主にウイルス |
| のどの痛み | 強いことが多い | さまざま |
| 発熱 | 38℃以上の高熱が出やすい | ない場合もある |
| せき・鼻水 | 出にくい | よく見られる |
| その他の特徴 | ・全身に広がる細かい発疹 ・舌が赤くぶつぶつになる「いちご舌」 (いずれも猩紅熱を伴う場合にみられることがある) | ・鼻づまり ・くしゃみ ・全身のだるさ |
ただし、症状だけで完全に見分けるのは困難です。細菌感染症である溶連菌には抗菌薬(抗生物質)による適切な治療が必要となるため、強いのどの痛みや高熱があれば早めに医療機関で検査を受けましょう。
溶連菌の主な症状
溶連菌感染症の症状は、ありふれたのどの痛みから、皮膚の発疹、全身のだるさまでさまざまです。
原因となるA群溶血性レンサ球菌は、軽い咽頭炎だけでなく、まれに菌血症(細菌が血液中に入り込むこと)のような重い感染症まで、非常に幅広い症状を引き起こすことが知られています。(※1)
頭痛、腹痛、吐き気、首のリンパ節の腫れなどがみられることもあります。特に、感染しやすい子どもと大人とでは症状の出方が違う場合があるため、それぞれの特徴をみていきましょう。
子どもに多い症状(のどの痛み・発熱・発疹・いちご舌)
子どもの溶連菌感染症では、一般的な風邪とは少し違う、いくつかの特徴的な症状が現れやすいです。
保護者の方が「いつもと違う」と気づくためのポイントを、下の表にまとめています。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 強いのどの痛み | ・つばを飲み込むのもつらくなるほどの激しい痛み ・のどの奥(扁桃腺)が真っ赤に腫れる ・白い膿のようなもの(白苔:はくたい)が付着することがある |
| 高熱 | 38℃以上の急な高熱が出ることが多い |
このほか、頭痛や腹痛、吐き気を感じるお子さんもいます。食欲が落ちてぐったりすることもあるため、のど以外の症状にも注意が必要です。
猩紅熱を伴う場合にみられる症状
溶連菌感染症のうち、猩紅熱を伴う場合には、皮膚や舌に以下のような特徴的な症状が現れることがあります。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 全身の発疹 | ・熱が出てから1〜2日後に現れることがある ・かゆみを伴う赤くて細かいブツブツが首や胸、手足に広がる |
| いちご舌 | ・舌の粒(舌乳頭)が腫れて赤くブツブツになる ・見た目が「いちご」のようになる |
これらは猩紅熱を伴う場合にみられる症状であり、溶連菌感染症にかかった人すべてに現れるものではありません。
大人はのどの痛みなど軽い症状だけの場合もある
大人が溶連菌に感染した場合、子どもにみられるような典型的な症状が出ず、軽い風邪のような症状で済むことも珍しくありません。
高熱ではなく微熱ですんだり、特徴的な発疹やいちご舌が現れなかったりすることが多く、のどの痛みや体のだるさだけを感じるケースもあります。
症状が軽くても、家庭や職場で周囲にうつす可能性は変わりません。次のような状況にあてはまる場合は、軽い症状でも一度医療機関で相談することをおすすめします。
- お子さんや同僚など、周りで溶連菌にかかった人がいる
- 市販の風邪薬を飲んでものどの痛みが良くならない
- せきや鼻水がないのに、のどの痛みだけが強い
溶連菌が疑われるときの受診目安
つばを飲み込めないほどの強いのどの痛みや38℃以上の高熱がある場合は、早めに医療機関を受診する目安となります。放置するとリウマチ熱などの合併症を起こすリスクがあるため、決して自己判断はせず、医師の診察を受けることが大切です。
受診すべきか迷った際は、以下の判断ステップを参考に速やかに受診を検討しましょう。
- ステップ1(緊急度の確認):38℃以上の発熱や強いのどの痛み、ぐったりしている場合は速やかに受診を検討する
- ステップ2(周囲の流行状況):家族や保育園・学校で溶連菌の流行があるか確認する
- ステップ3(診療科の選択):子どもの場合は小児科、大人の場合は内科または耳鼻咽喉科を選択する
小児科・内科・耳鼻咽喉科を受診する
溶連菌が疑われる症状がある場合は、年齢や症状に応じて診療科を選びます。
それぞれの診療科が向いているケースは、下の表のとおりです。
| 診療科 | 向いているケース |
|---|---|
| 小児科 | ・お子さんの発熱や発疹、のどの痛み ・全身の状態を総合的に診てもらいたいとき ・かかりつけ医がお子さんの状態を把握している場合 |
| 内科 | ・大人の発熱や体のだるさ、のどの痛み ・かかりつけの内科があるとき |
| 耳鼻咽喉科 | ・のどの痛みや腫れ、飲み込みにくさが特に強いとき ・ファイバースコープでのどの奥を詳しく診てほしいとき |
ご自身の症状や状況に合わせて、受診しやすい診療科を選んでください。
強いのどの痛みや高熱がある場合は早めに受診する
「つばを飲み込むのもつらい」ほどの激しいのどの痛みや、38℃以上の高熱は、溶連菌感染症を疑う重要なサインです。
特に、以下のような症状がみられるときは、早めに医療機関を受診してください。
- 強いのどの痛み(食べ物や飲み物が飲み込みにくい)
- 38℃以上の発熱
- 体や手足に広がる赤くて細かい発疹
- 舌が赤くブツブツになる「いちご舌」
- 食欲がなく、ぐったりしている
- 水分をあまりとれていない(脱水のサイン)
お子さんの場合は、のどの痛みだけでなく、発熱や首のリンパ節の腫れといった特徴的な症状がいくつかそろうと、溶連菌が原因である可能性がぐっと高まるとされています。(※4)
症状だけで風邪と見分けるのは難しいため、気になるサインがあれば早めに受診し、適切な診断を受けることが大切です。
溶連菌の検査と診断方法
溶連菌感染症の診断は、のどの診察と、原因菌の有無を調べる検査を組み合わせて行います。
症状だけでは風邪との区別が難しく、抗菌薬(抗生物質)による適切な治療につなげるために、検査で正確に原因を特定することが大切です。
検査には、その場で結果がわかる「迅速検査」と、より精度が高い「培養検査」の2種類があります。どちらの検査を行うかは、症状や周囲の流行状況などをみて医師が判断します。
のどをぬぐう迅速検査
迅速検査は、綿棒でのどの奥をぬぐい、5〜15分ほどで溶連菌の感染を判定する、最も一般的な検査です。
その場で結果がわかるため、陽性であればすぐに抗菌薬による治療を開始できます。検査は次の流れで進みます。
- 長い綿棒で、のどの奥にある扁桃の赤くなっている部分などをこする
- 採取した検体を専用のキットで調べる
- 5〜15分ほどで陽性か陰性かの結果が出る
のどの奥をこするため、少し「おえっ」となることもありますが、検査は一瞬で終わります。小さなお子さんでも安全に受けられます。
この検査で陽性だった場合、特に合併症のない大人ののどの痛みであれば、その原因が溶連菌である可能性は90%以上と非常に高いことがわかっています。(※4)
診断を確定する培養検査
培養検査は、迅速検査では見つけられないごく少量の菌も検出できる、より精密な検査です。
迅速検査で陰性でも、症状から溶連菌感染が強く疑われる場合に、診断を確定させる目的で行われます。
迅速検査と同じように綿棒でのどをぬぐい、採取した菌を検査室の専用の培地(菌を育てるためのもの)で数日間かけて増やし、溶連菌がいるかどうかを顕微鏡などで確認します。
結果がわかるまでに数日かかりますが、迅速検査よりも感度が高いのが特徴です。培養検査で陰性であれば、そののどの痛みが溶連菌によるものではないと、ほぼ確実に判断できると報告されています。(※4)
溶連菌の治療法
溶連菌感染症は、ウイルスが原因である多くの風邪とは違い、「細菌」が原因です。だからこそ、原因菌を直接攻撃できる「抗菌薬(抗生物質)」による治療が基本となります。
治療の目的は、単に目の前の症状を和らげるだけではありません。次の3つを同時に目指します。
- つらい症状(のどの痛みや熱)を速やかに改善する
- リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった、後々の重い合併症を防ぐ
- 家族や友人など、周囲の人への感染拡大を食い止める
この3つの目的を達成するために、医師の指示に従って正しく治療を受けることが何よりも大切です。
抗菌薬(抗生物質)で治療する
溶連菌感染症の治療には、原因である「A群溶血性レンサ球菌」を退治するための抗菌薬(抗生物質)が使われます。
市販の風邪薬や解熱鎮痛剤は、一時的に熱を下げたり、のどの痛みを和らげたりはできますが、原因菌そのものをなくすことはできません。痛みが治まっている間も、体の中では菌が生き残り、増殖する可能性があります。
そのため、診察と検査で溶連菌感染症と診断された場合は、医師がその細菌に有効な抗菌薬を処方します。
以前処方されて余った薬や、ご家族の薬を自己判断で使うのは避けてください。効果がないばかりか、アレルギー反応や思わぬ副作用を招く危険性があります。
正しい診断のもと、ご自身の症状と体質に合った薬を処方してもらうことが、早期の回復につながります 。
ペニシリン系抗菌薬が第一選択となることが多い
溶連菌の治療では、多くの場合「ペニシリン系」と呼ばれる種類の抗菌薬が最初に選ばれます。
これは、溶連菌がペニシリン系の抗菌薬に非常に効果的であることが古くから知られており、世界的な研究でも、多くの溶連菌が今なおペニシリンに有効であることが示されているためです。(※1)
つまり、長年の治療実績に裏付けられた、信頼性の高い薬といえます。
もちろん、過去にペニシリン系の薬でアレルギー(発疹など)が出た経験がある方には、セフェム系やマクロライド系といった別の種類の抗菌薬が処方されます。
医師は患者さん一人ひとりの年齢や体重、アレルギー歴、症状の重さなどを総合的にみて、最も適した薬と量を判断しています。
抗菌薬は決められた日数を飲み切る
処方された抗菌薬は、症状が良くなっても、必ず医師から指示された日数をすべて飲み切ってください。これは、溶連菌治療において最も重要な約束事です。
薬を飲み始めると1〜2日で熱が下がり、のどの痛みも和らぐため、「もう治った」と考えて服用をやめてしまう方が少なくありません。
しかし、症状がなくなっても、のどの奥には菌が残っている可能性があります。ここで薬をやめてしまうと、残った菌が再び増殖して症状をぶり返させたり、合併症につながったりすることがあります。(※1)
ペニシリン系の薬であれば10日間、他の薬でも5〜10日間など、指示された期間は必ず薬を飲み続けることが大切です。
熱が下がるまでの目安と副作用が出たときの対処
抗菌薬を飲み始めると、通常1〜2日程度で熱は下がり始め、のどの痛みも次第に楽になっていきます。これが、薬が効いている順調なサインです。
もし、薬を2〜3日飲んでも熱が下がらない、あるいは一度下がった熱が再び上がってくるような場合は、処方された薬が効きにくい、または他の病気が隠れている可能性も考えられます。このようなときは、必ず処方を受けた医療機関に再度相談してください。
また、薬を飲んでいる間に、下痢や吐き気、いつもと違う発疹などの症状が現れることがあります。これらは薬の副作用の可能性があります。
副作用が疑われる場合も、ご自身の判断で薬をやめてはいけません。まずは処方してくれた医師や薬局の薬剤師に電話で連絡し、どうすればよいか指示を仰ぎましょう。症状によっては、薬の変更などを検討します。
気になることがあれば遠慮なく連絡してください。
溶連菌で起こる可能性がある合併症
溶連菌感染症では、のどの症状が治まった数週間後に、心臓や腎臓に影響する合併症が起こることがあります。
合併症は、溶連菌そのものが心臓や腎臓に到達して悪さをするわけではありません。菌と戦うために体内で作られた「免疫」が、何らかの理由で誤って自分の体の組織を攻撃してしまうことで起こります。(※1)
代表的な2つの合併症(リウマチ熱・急性糸球体腎炎)
代表的な合併症は「リウマチ熱」と「急性糸球体腎炎」の2つです。これらは適切な抗菌薬治療によって発症を予防できることが臨床研究で示されています。(※1)それぞれの特徴を下の表にまとめています。
| 合併症 | 影響する場所 | 発症しやすい時期 | 主なサイン |
|---|---|---|---|
| リウマチ熱 | 心臓・関節・神経 | のどの症状が治まった2〜4週間後 | ・再び熱が出る ・関節が移動するように痛む、腫れる ・動悸や胸の痛み |
| 急性糸球体腎炎 | 腎臓 | のどの症状が治まった2〜4週間後 | ・尿が赤茶色になる(血尿) ・まぶたや顔、足がむくむ ・尿の量が急に減る |
いずれも、処方された抗菌薬を最後まで飲み切ることが最大の予防策です。治療が終わった後に尿検査を勧められることがあるのは、腎臓の合併症が起きていないかを確認するためです。
治療せずに放置した場合に大人・子どもに起こりうる合併症や、受診を急ぐべきサインは、関連記事「溶連菌を放置するとどうなる?」もあわせてご覧ください。
溶連菌を家族にうつさないための感染対策
溶連菌は、子どもが溶連菌の咽頭炎にかかった場合、症状のない同居家族のおよそ25%がこの菌を保有しているとされるほど、感染力が強い細菌です。(※5)
主な感染経路は、せきやくしゃみのしぶきに含まれる菌を吸い込む「飛沫感染」と、菌が付着した手で口や鼻に触れることで感染する「接触感染」の2つです。
特に、小さなお子さんがいるご家庭では、おもちゃをなめたり、顔を近づけて遊んだりすることで、あっという間に感染が広がる可能性があります。
現在のところ、溶連菌感染症を予防するためのワクチンはまだ開発されておらず、日々の基本的な感染対策が最も有効な防御策となります。(※1)
潜伏期間と人にうつる期間
溶連菌に感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、およそ2〜5日です。(※6)
注意が必要なのは、症状が出ていないこの潜伏期間中から、すでに他の人にうつす可能性がある点です。
感染力が最も強くなるのは、のどの痛みや発熱などの症状が出ている時期です。しかし、抗菌薬(抗生物質)を飲み始めると、菌の増殖が抑えられ、24時間ほどで感染力は急激に弱まります。
このため、保育園や学校は「抗菌薬を飲み始めてから24時間以上経過し、全身状態が良ければ」登園・登校できるとされています。
適切な治療を受けないままだと、菌をまき散らす期間が2〜3週間に及ぶこともあるため、早期の受診と治療が家族を守ることにもつながります。
家庭でできる消毒方法
家庭内で溶連菌の感染拡大を防ぐには、特別な消毒薬を準備するよりも、基本的な対策を家族全員で丁寧に行うことが最も重要です。
家庭ですぐに実践できる対策は、下の表のとおりです。
| 対策 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 流水と石けんでの手洗い | ・外出後や食事前、トイレの後にこまめに行う ・菌が付いた手で口や鼻を触るのを防ぐ |
| タオルやコップ、食器の共有を避ける | ・唾液が付着したものを介した感染を防ぐ ・食器は使用後すぐに洗い、可能であれば熱水で消毒する |
| よく触る場所をこまめに拭く | ドアノブ、リモコン、電気のスイッチ、おもちゃなどを市販の除菌シートで定期的に拭く |
溶連菌にはアルコール消毒も有効です。こうした地道な対策は、溶連菌だけでなく他の感染症の予防にもつながります。
家族内のピンポン感染を防ぐ方法
家族内で感染が何度も繰り返される「ピンポン感染」は、溶連菌でよくみられる問題です。
この連鎖を断ち切るために欠かせない3つのポイントを、下の表にまとめています。
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 症状がある家族は全員で受診する | 軽い症状の家族が次の感染源になるのを防ぐ |
| 溶連菌と診断され、抗菌薬を処方された人は、指示された期間服用する | 中途半端にやめると、残った菌が再び増殖する |
| 治療中も基本的な感染対策を全員で続ける | 手洗いやタオル・食器の共有を避ける対策を継続する |
溶連菌感染症には予防ワクチンがないため、家庭内で感染を広げないための取り組みが、家族を守るための特に重要な方法といえます。(※1)
溶連菌にかかったときの家庭でのケア
溶連菌感染症の回復には、抗菌薬による治療と並行して、ご家庭での適切なケアが欠かせません。安静にして体力を温存し、適切な食事と水分補給で回復を後押しすることが基本となります。
のどの痛みが強いときは、食事や水分をとること自体が苦痛になることも少なくありません。
無理に食べさせたり飲ませたりすることは、かえって体力を消耗させてしまうため、本人が受け入れられる範囲でケアを進めることが大切です。
のどが痛いときの食事
のどの痛みが強いときは、炎症を起こしている粘膜を刺激せず、スムーズに飲み込める食事を選ぶことが重要です。熱いものや硬いものは、腫れたのどを直接傷つけ、痛みを悪化させる原因になります。
のどごしが良い食事と、避けたい食事を下の表にまとめています。
| 分類 | 食事の例 |
|---|---|
| のどごしが良く栄養もとれる食事 | ・おかゆ、おじや・やわらかく煮込んだうどん ・コーンスープ、じゃがいものポタージュ ・ゼリー、プリン、アイスクリーム ・ヨーグルト、茶碗蒸し、豆腐 |
| 回復を妨げる可能性がある食事 | ・唐辛子やこしょうなど香辛料の効いた辛いもの ・酢の物や柑橘系のジュースなど酸味が強いもの ・熱すぎるスープや飲みもの ・硬いせんべいや揚げ物、パンの耳 |
食事がとれないほどの痛みがある場合は、無理に固形物をとる必要はありません。まずは脱水を防ぐことを最優先し、食欲が出てきたら食べやすいものから少しずつ試しましょう。
脱水を防ぐための水分補給
発熱やのどの痛みがある溶連菌感染症では、脱水症状を防ぐためのこまめな水分補給が特に重要になります。高熱で汗をかくことに加え、のどの痛みで飲む量が減るため、体は水分を失いやすい状態にあります。
特に小さなお子さんは、大人よりも脱水を起こしやすいため、意識的に水分をとらせることが大切です。一度にたくさん飲むと吐き気をもよおすこともあるため、スプーンやストローを使い、数回に分けて少しずつ与えるのが効果的です。
水分補給には、体に吸収されやすい以下のような飲み物が適しています。
- 水、白湯
- 麦茶などのノンカフェインのお茶
- 経口補水液
- 子ども用のイオン飲料
もし次のような脱水のサインがみられた場合は、家庭での対処が難しい可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。
- 尿の回数や量が普段より明らかに少ない(おむつが長時間濡れない)
- 口の中や唇がカサカサに乾いている
- 泣いても涙が出ない
- ぐったりして元気がない、ぼんやりしている
- 皮膚の張りがなく、つまんだ跡がなかなか戻らない
保育園・学校・仕事はいつから行ける?
溶連菌感染症と診断された後、いつから普段の生活に戻れるかは、抗菌薬(抗生物質)による治療をいつ始めたかと、症状がどれだけ回復したかによって決まります。
感染力が強い病気だからこそ、自己判断で復帰すると、保育園や学校、職場で感染を広げてしまう可能性があります。
ご自身の体をしっかり休ませて回復を早めるため、そして周りの人たちを守るためにも、復帰の目安を正しく理解しておくことが大切です。
溶連菌にかかったら登園・登校はいつから可能ですか?
お子さんの登園・登校については、日本小児科学会の指針で「適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力は失せるため、それ以降、登校(園)は可能である」とされています。(※6)「抗菌薬を飲み始めてから24時間以上経過し、全身状態が良好であること」が再開の目安です。
具体的には、以下の条件をすべて満たしているか、お子さんの様子をよく観察して判断しましょう。
- 抗菌薬(抗生物質)を飲み始めてから、丸1日(24時間)以上経っている
- 熱が下がり、平熱で過ごせている
- のどの強い痛みや発疹などの症状が和らぎ、普段通りに食事がとれる
「抗菌薬を飲み始めて24時間」という基準があるのは、抗菌薬を飲むことで体内の菌が大きく減り、他の人にうつす力がほとんどなくなるまでの時間がおよそ24時間だからです。
登園・登校許可証が必要か確認する
溶連菌感染症は、「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症」に分類されています。(※6)
そのため、通っている保育園や学校によっては、登園・登校を再開する際に「登園許可証」や「治癒証明書」といった書類の提出を求められることがあります。
復帰当日に慌てないよう、あらかじめ園や学校に以下の点を確認しておくとスムーズです。
- 登園・登校許可証の提出は必要か
- 必要な場合、園や学校指定の用紙があるか
- 保護者の記入でよいか、あるいは医師の記入が必要か
書類が必要かどうかは施設によってルールが異なります。受診した際に「学校に提出する登園許可証は必要でしょうか」と医師にひとこと相談しておくと安心です。
大人が仕事へ復帰する目安
大人の仕事復帰に関しては、法律で明確な出勤停止期間は定められていません。しかし、周囲へ感染を広げないという社会的な配慮から、お子さんの場合と同じ基準で判断することが推奨されます。
以下の2つの条件を満たしてから復帰するのが一般的です。
- 抗菌薬(抗生物質)を飲み始めてから24時間以上が経過している
- 熱がなく、強いのどの痛みや体のだるさといった自覚症状が改善している
特に、医療・介護・保育の従事者や、調理・接客業など、不特定多数の人と接する機会が多い職業の方は、より慎重な判断が求められます。
まずは職場の就業規則を確認し、上司に状況を報告・相談したうえで復帰日を決めるようにしましょう。体調が万全でない状態での無理な出勤は、ご自身の回復を遅らせるだけでなく、職場内で感染を広げる原因にもなりかねません。
まとめ|強いのどの痛みや発熱がある場合は早めに受診する
つばを飲み込むのもつらいほどの強いのどの痛みや高熱は、溶連菌感染症のサインかもしれません。これは、ウイルスが原因の多くの風邪とは違い、「A群溶血性レンサ球菌」という細菌による感染症です。
そのため、原因菌を直接叩く抗菌薬(抗生物質)による治療が欠かせません。治療で最も大切なのは、症状が消えても処方された抗菌薬を最後まで飲み切ることです。中途半端な治療は、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった合併症につながる可能性があります。(※1)
また、家族の誰か1人がかかると高い確率で他の家族にもうつるため、手洗いの徹底やタオル・食器の共有を避けるといった家庭内の対策も重要です。
溶連菌感染症との付き合い方で覚えておきたいポイントは以下の3つです。
- 風邪と決めつけず、早めに受診する
- 症状が消えても、抗菌薬は必ず最後まで飲み切る
- 治った後も、医師の指示があれば尿検査などで合併症の有無を確認する
溶連菌を予防するワクチンはまだ開発段階にあります。(※1)だからこそ、気になる症状があればためらわずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが、あなた自身と大切な周りの人を守るための第一歩です。
子どもの間で流行し、手洗いやタオルの共有を避ける家庭内対策が共通する感染症に関連する記事はこちら⇒手足口病とは?
高熱とのどの痛みで始まる子どもの感染症に関連する記事はこちら⇒プール熱(咽頭結膜熱)とは?
溶連菌感染症に関するよくある質問(FAQ)
溶連菌の潜伏期間はどれくらいですか?
溶連菌の潜伏期間はおよそ2〜5日です。発症前の潜伏期間中であっても、周囲へ菌をうつす可能性があるため注意が必要です。
溶連菌にかかったら登園や登校はいつからできますか?
適切な抗菌薬の服用を開始してから24時間以上が経過し、かつ発熱やのどの痛みが治まっていれば登園・登校が可能です。
症状が和らいだら抗菌薬の服用をやめてもよいですか?
症状が改善しても自己判断で服薬を中止してはいけません。体内に残った菌が再増殖したり、リウマチ熱などの合併症を引き起こす危険があるため、指示された期間必ず飲み切ってください。




